2026年1月のデビューから、わずか7カ月。ALPHA DRIVE ONEが2ND MINI ALBUMで見せるのは、力強さの奥にある繊細な“少年”の顔だ。
ALPHA DRIVE ONE(ALD1)は、Mnetのオーディション番組「BOYS II PLANET」から誕生したグローバルボーイズグループ。2026年1月、1ST MINI ALBUM「EUPHORIA」でデビューすると、初動売上144万枚を突破し、音楽番組4冠を達成した。5月にはプロローグシングル「No School Tomorrow」で、教室を飛び出すような爽やかさと自由奔放なエネルギーを披露。華々しいスタートを切った彼らが、8月24日にリリースしたのが、2ND MINI ALBUM「UNBREAKABLE : 少年BEAST」だ。
このアルバムで描かれるのは、偏見やレッテルによって、本当の自分より先に“何者か”と決めつけられてしまう少年たち。「少年BEAST」とは本人たちが選んだ名前ではなく、少し違う、少し異質だというだけで、世の中から与えられた呼び名である。荒々しく、危うく見える存在の内側に、誰よりも繊細で傷つきやすい心がある。その二面性を、パワフルな音楽と儚い感情表現の両方で立ち上げるのが本作だ。今回はMOVIE WALKER PRESS KOREA独占インタビューを交え、「UNBREAKABLE : 少年BEAST」の入口となるトレーラーフィルム「21世紀少年1」をひも解きながら、彼らが放つ新しい魅力に迫っていこう。
■孤独な少年たちが自らと向き合う姿を描いた「21世紀少年1」
アルバムの世界観を、まるで映画の予告編のように描いたトレーラーフィルムを手掛けたのは、監督作『第五胸椎』(05)が日本でも公開された新鋭パク・セヨン。その世界は幻想的でありながら、どこか闇を帯びていて、一瞬にして引き込まれる。本当にALPHA DRIVE ONEが主演するこんな映画があればいいのに…と思いながら筆者は観ていた。
病院でカウンセリングを受ける少年を演じたリーダーのLEO
映像の中で、LEO(リオ)、JUNSEO(ジュンソ)、ARNO(アルノ)、SANGWON(サンウォン)、XINLONG(シンロン)、ANXIN(アンシン)、SANGHYEON(サンヒョン)は、それぞれ異なる時代、異なる場所で孤独を抱えている。
全員が同じ場所に集まることはない。それでも、青い交信ブースから放たれる光や、ドビュッシーの「月の光」(Clair de Lune)の音色、鏡や水たまりに映る誰かの姿が、見えない糸のように全員をつないでいく。その“離れていてもつながっている”という感覚は、異なる個性やバックグラウンドを持つメンバーが出会い、一つになったALPHA DRIVE ONEというグループの姿にも、どこか重なって見えた。
病院の診察室のような場所にいるLEOは「鏡に映っている自分は僕に似ているけど違うんです」と語る。
音楽室で美しいピアノの音色を奏でているのはJUNSEO。しかし、楽譜をめくると、そこには無数の落書きが。思わず演奏の手を止めると、「続けてみろよ!」という声と共に、生徒たちから丸めた紙を投げつけられる。
「月の光」を見事に弾きこなしたJUNSEO
ANXINとARNOはその光景を前に、互いに目を合わせる。JUNSEOに手を差し伸べたい気持ちと、周囲の視線への恐れ。その間で立ち尽くしているかのような表情が印象的だ。
また別の場所では、クラスの集合写真を撮影している。教師から立ち位置や表情を執拗に直されるXINLONGは、いつの間にかフレームの端へと追いやられていた。その様子を見つめていたSANGWONは、「一緒に立とう」とXINLONGを自分のもとへ引き寄せる。クラスメイトたちから文句を言われながらも、隣に並ぶ2人。しかし、出来上がった集合写真では、なぜか2人の顔だけがブレて写っていた。
さらに別の場所では、どうやら演劇のオーディションが行われているようだ。翼を背負ったSANGHYEONは、頭をうなだれ、ステージの中央に座っている。審査員から厳しい評価を突きつけられるが、「僕のことを…誤解しているんだと思います」と、自分の言葉でしっかりと反論する。
■「いつもお互いにつながっているという感覚を持ちながら演じていました」
自らの過去を振り返りながら、孤独や不安を表現したと語るARNO
パク監督は今回の映像について、「誰もが一度は経験したことがある、あるいはいま、まさに向き合っているような普遍的な悩みを、それぞれのメンバーの個性や性格、アイデンティティを活かしながら、固有の物語として描きたいと考えました」と語っている。
ここで描かれる痛みは、わかりやすい悪意だけから生まれるものではない。なにげない視線や笑い声、“正しさ”を装った言葉が積み重なり、少年たちは「僕の何がいけないのだろう」「なぜ人と違うのだろう」と、自分自身まで疑い始める。
SANGWONは「いまの自分が抱えている悩みと、とても深く重なる物語だと感じました。誰かを演じるというよりも、自分の中にある感情を素直に取り出して見せるような気持ちでした」と明かす。SANGHYEONも「今回の演技は、自分にとって新しい挑戦だと思いました。感情を表情や体の動きで表現していく過程も新鮮で、とても意味のある経験になりました」と撮影を振り返る。ARNOも、周囲の視線によって自分を疑った過去を思い返し、「今回の役は、過去の自分をもう一度演じているような気持ちでした」と語ってくれた。
役を演じているというより、自分自身の内面と向き合っているようなメンバーたちの表情が、物語をよりリアルに、切実に描き出している。
散り散りになった少年たちの物語をつなぐのが、謎の青い交信ブースだ。どこか未来的でありながら、古い玩具のような手作り感もある不思議な装置。少年たちはそこへ「僕は…どうして違うんでしょうか」「変わりたいんです」「世間が見ている僕は、本当に僕なのでしょうか」と、誰にも言えなかった思いを残していく。
いまの自分が抱えている悩みと、とても深く重なる物語だと感じたSANGWON
パク監督は、この交信ブースを単なるファンタジーの装置にはしたくなかったのだそう。「幼いころの記憶を振り返ると、様々な葛藤を抱えたまま家に帰り、紙飛行機に願いを込めて空へ飛ばしたり、段ボール箱の中に入って壁に願い事を書いたりしていた瞬間が思い浮かびます。そうした幼く純粋な記憶から、この交信ブースは生まれました」と語っている。
廃遊園地の中で唯一鮮やかな色を放つ交信ブースの内部には、星空のような光景が広がっている。しかし、決してこの装置が少年たちを魔法のように救うわけではない。夜空へシグナルを放ったあと、ブースは壊れ、期待していた答えを返してはくれなくなってしまう。
XINLONGは、メンバーが異なる時代や場所にいても、「目には見えない信号を通してつながっているという感覚」を共通して意識していたと話す。1人で撮影する場面でも、どこかにいるメンバーの存在を感じているような雰囲気を表現しようとしたという。
LEOも撮影現場について、「メンバーみんな、それぞれが自分の感情に深く入り込もうとしていました」と回想。初めてに近いセリフのある演技に緊張しながらも、「いつもとは違う形で感情を表現することができて、とても興味深く、印象に残る経験になりました」と語っている。
青い交信ブースと共に、少年たちをつなぐ重要なシグナルとなるのが、ドビュッシーの「月の光」だ。最初はJUNSEOが実際に演奏するピアノ曲として登場するが、やがて旋律は時間と場所を越え、思いがけない場所から聞こえ始める。
パク監督にとって「月の光」は、幼いころ、家にあった唯一のCDの中で最もよく聴いていた、思い出深い曲なのだそう。「アンデルセン童話の世界に入り込んだような感覚になり、たくさんの想像をかき立ててくれた曲でもあります」と、その理由を明かし、撮影で同曲を演奏したJUNSEOもすっかり曲を気に入り、「撮影が終わったあとも、練習室で一人で弾いたりしていました」と振り返っている。
稲妻の演出が気に入ったというXINLONG
ARNOは、JUNSEOがつらい状況に置かれるシーンでANXINと目を合わせた瞬間について、「本当にお互いの感情が伝わってくるように感じました」と語る。ANXINも、メンバーが一緒に撮影する場面は多くなかったものの、「僕たちはいつもお互いにつながっているという感覚を持ちながら演じていました」と明かしている。
物語の中だけではなく、ALPHA DRIVE ONEというチームそのもののつながりが、映像に説得力を与えているのだろう。
■ALPHA DRIVE ONEが表現する強さと脆さ
トレーラーフィルムで描かれた静謐で繊細な物語。その先に待っているのは、アルバムのタイトル曲「BORN DIRE」だ。
ブリティッシュ・レイヴとパンクの荒々しいエネルギーを現代的に再解釈し、爆発的なブレイクビート、ディストーション・シンセ、ギターサウンド、ラップ、チャント、生々しいボーカルを融合。まるで“制御された混沌”の中を駆け抜けるような、ALPHA DRIVE ONEの強烈なアイデンティティを打ち出した一曲となっている。
一見すると、トレーラーフィルムの儚い世界観と「BORN DIRE」のアグレッシブな音像は対極にあるように思える。けれど、少年たちが押し込めてきた不安や恐れ、言えなかった思いが、一気に外へあふれ出したものだと考えると、2つは1本の線でつながる。
ARNOは「困難は僕たちを壊すためではなく、最終的には乗り越えるためにあるものだと思っています」と話し、SANGWONは楽曲を通して「孤独や恐れに立ち向かい、もう一度立ち上がる勇気と粘り強さを届けたいです」と語る。
羽根が舞った音楽室での撮影が印象的だったと語るANXIN
一方、LEOは「つらい瞬間にそっと寄り添ってくれる、小さな支えのような存在になれたら」と願い、ANXINも「誰かにとっては癒しになり、また誰かにとっては、自分自身をもう少し信じられる小さな勇気になってほしい」と語っている。また、JUNSEOは「今回のアルバムのテーマをしっかり表現したトレーラーフィルムになったと思います。他人の視線や偏見よりも、まずはありのままの自分自身をもっと愛してほしいです。そして、このアルバムの曲を聴いてくださるすべてのリスナーの皆さんにとって、小さな癒しになればうれしいです」とメッセージを送る。
SANGHYEONの「なにもしなければなにも始まりませんが、小さな一歩でも踏み出せば、新しい可能性が生まれると思います」という言葉も、この作品が伝える“UNBREAKABLE”の意味と重なる。さらにXINLONGは「曲そのものはとても力強い雰囲気ですが、その中に込められた物語は、じっくりと考えていただける作品だと思っています。多くの方に、その意味を一つ一つ見つけていく楽しさも感じていただけたらうれしいです。そして、誰かが迷いや不安を抱えている時に、この物語を通して少しでも力をもらえたらと思いますし、ALD1が皆さんにとって勇気や前へ進むための原動力になれたらうれしいです」と力強くコメントしてくれた。
SANGHYEONはオーディションに向けて天使の役を準備してきた少年を演じた
たとえ傷つき、立ち止まったとしても、それでも再び前へ進もうとすること。ALPHA DRIVE ONEが見せる強さは、自分たちの弱さを否定した先にあるのではなく、それを抱え、力へと変えた先にあるのだ。
トレーラーフィルムのラストで、少年たちを取り巻く現実が劇的に変わるわけではない。しかし、パク監督はこの映像を通して、「幼いころの夢や希望を思い出しながら、今置かれている状況の中でも、希望は決して遠くない場所にあるかもしれないということを伝えたかった」と話す。その言葉を象徴するかのように、映像の終盤には、彼らの思いが光り輝く青空へと吸い込まれていくシーンが登場する。ある種の“希望”を思わせるその光景が、少年たちの物語に差し込む、わずかな救いのように感じられた。
【写真を見る】トレーラーフィルム「21世紀少年1」に出演したALPHA DRIVE ONEへの独占インタビューも掲載!
ステージでは圧倒的なエネルギーで観客を引きつけ、物語の中では言葉にならない痛みを繊細な眼差しで伝える。力強さと脆さ、爆発力と静けさ。その両極を自在に行き来できる表現力の幅広さこそ、ALPHA DRIVE ONEの大きな魅力なのだろう。
文/紺野真利子
