北山宏光が、自身の好奇心を起点に新たな世界へ飛び込んでいく新番組「北山宏光THE WORLD BEYOND」。その前身となるのが、昨年放送されたソロ初のテレビ冠番組「NEW WORLD」だ。同番組では、親友の今市隆二とチームラボを訪れ、VRアーティスト・せきぐちあいみのもとでVRアートに挑戦。さらに、陶芸や茶道、キャイ~ンとの街歩き、鈴木おさむとの対談を重ね、最終話では音楽に合わせた打ち上げ花火の演出にも取り組んだ。”やってみたかったこと”や”会いたかった人”を通して、北山が今興味を持つものや、その奥にある思いを伝えてきた。
【HOMINIS撮り下ろし!】北山宏光が「絶対に変えたくない」と語るものとは?
その流れを受け継ぐ「北山宏光 THE WORLD BEYOND」でも、スーツ作りをはじめ、北山自身が初めて知る分野を掘り下げていく。新たなロケを終えたばかりの北山に、再び冠番組に取り組めることへの率直な思いや、視聴者と共有したい発見について聞いた。さらに、変化を恐れず挑戦し続ける理由や、全国ツアーを通して改めて感じているライブの尊さ、ファンへの思いにも迫った。番組では、7月9日の神戸国際会館こくさいホール公演を皮切りに、全国12都市17公演を巡るツアーにも密着。リハーサルから本番までを追い、アーティストとしてステージに立つ北山の素顔と、彼が描くクリエイティブの世界を映し出す。
――今日はすでに2本のロケを終えられたそうですが、まずは新たな冠番組「北山宏光 THE WORLD BEYOND」が決まったときのお気持ちを教えてください
「率直に嬉しかったです。番組を続けたいと思っても、なかなか続けられないという現実もたくさん見てきましたから。その中で、また機会をいただけたのは、昨年の『NEW WORLD』を見てくださった方や、喜んでくださった方がいたからだと思います」
――「NEW WORLD」の放送後には、また冠番組をやりたいという気持ちもありましたか?
「もちろんありました。ただ、やりたいと思ったからといって実現できる世界ではないこともわかっています。だからこそ、また挑戦できる機会をいただけたことは嬉しいですね」
――昨年の「NEW WORLD」では、チームラボを訪れるなど、さまざまな企画に挑戦されました。改めて振り返って、どのような時間でしたか?
「自分が興味を持っていることや、会いたい人、話したい人と実際に会えるのは、とてもいい時間だなと思いました。それに、僕がなぜそこに興味を持っているのか、どこに共鳴しているのかが、番組として形になったことも嬉しかったです。早くも『次は何をやろうか』『そろそろネタ切れなんじゃないか』なんて話もしていますけど(笑)。自分が興味を持っていることを掘り下げられる環境は、すごくありがたいですね」
――北山さん自身も、新しい刺激や発見を得られましたか?
「そうですね。こういう世界があるんだと知ることができました。例えば、ゴーグルをつけて3D空間の中に絵を描いたり、VRアートに触れたり。自分が知らなかったものを実際に体験できたのは楽しかったです」
――新番組「北山宏光 THE WORLD BEYOND」では、どのような北山さんの姿が見られそうでしょうか?
「今回も、僕が興味を持っていることをコンテンツとして形にしていきます。僕自身も初めて知ることが多いので、視聴者のみなさんと同じ目線で発見を楽しめる番組になるんじゃないかなと思っています。新しいことに触れるというのは、この番組を企画するうえで念頭に置いていることかもしれないですね」
――「視聴者と同じ目線で発見する」というのは、具体的にどのようなことでしょうか?
「今日のロケでは、スーツを作りに行ったんです。作ってくださる方がどんなこだわりを持っているのか、そこに至るまでにどんなルーツがあったのかを聞きました。スーツがどのように作られているのか、生地にはどんな種類があるのか。表地だけでなく裏地にもたくさんの選択肢があって、一着を作るためにこれだけ多くのことを考えるんだと知りました。普段は自分から知ろうとしなければ得られない情報を、番組を通して知ることができる。今回も、楽しみながら知識が増えていく番組になればいいなと思っています」
――「NEW WORLD」からさらにパワーアップした部分はありますか?
「パワーアップというよりは、引き続き同じコンセプトで取り組んでいる感覚ですね。少なくとも、パワーダウンすることはないと思います。『NEW WORLD』では最後に花火が上がったので、今回はどうするんだろうとは思っていますけど(笑)」
――今回も、北山さんが知りたいことや会いたい人、挑戦したいことを形にしていくと
「そうですね。それが番組のコンセプトなので、そこはあまりブレずに続けていきたいです」
――番組に限らず、北山さんはさまざまなことに挑戦し続けています。そのモチベーションの根底には、どのような思いがあるのでしょうか?
「何だろう……。現状維持があまり好きではないんだと思います。今に不満があるということではなくて、”変わらないために、変わり続ける”という感覚です。音楽活動もそうですが、時代に合わせて変化していかないと、自分が本当に変えたくないと思っている部分まで変わってしまう気がするんです。特にこの業界では、立ち止まることが停滞につながってしまうような感覚があります。だから、変わらないために変わり続けるという思いは、根底にありますね」
――その考え方は、長くこの世界で活動する中で身についたのでしょうか?
「この業界にいるからこそ、という部分はあると思います。移り変わりが早いですし、流行しているものもどんどん変わっていきますから。そこで、『自分は好きじゃないからやらない』とか、『変わるのが怖いから挑戦しない』と考えていると、時代の物差しと少しずつずれていってしまう。その姿勢に良さがある場合も、もちろんあると思います。ただ、僕には新しいものを取り入れながら、どんどん自分をバージョンアップしていくスタイルのほうが向いているのかなと思っています」
――変わり続けるためには、手放す勇気も必要ですよね
「そうですね。何かを手放すことも、きちんと選択肢として持っておく。ひとつのものに固執したり、しがみついたりせず、変わるべきものは変えて、循環させていくことが大切だと思います。一方で、自分自身のメンタルや根本にあるものは、そう簡単には変わらない。だから、いろいろなものを取り入れて、さまざまなことに挑戦しながら、変わる勇気を持って動いていくという感じですね」
――「変えたくないものがあるからこそ変えていく」とおっしゃっていました。作品作りにおいて、変わらず大切にしているものは何でしょうか?
「エンターテインメントであることですね。それが純粋なものであることも大切だと思っています。組織が大きくなれば、関わる人が増えて、物事が動くスピードも少しずつ遅くなります。もちろん、それぞれの立場や進め方の大切さもわかります。ただ、最終的にお客さんへ届けたときに、新しいものだと感じてもらい、楽しんでもらうことは変わらず大切にしたいです。そのためには、アプローチの仕方や情報の取り入れ方は変えてもいい。『こうでなければならない』と決めつける必要はないんじゃないかと思っています」
――現在は全国ツアーも始まっています。改めて、北山さんにとってライブとはどのような場所ですか?
「特にコロナ禍を経験して、人が集まってくれることや、生ものであるライブの尊さを強く感じるようになりました。今は映像コンテンツも多いですし、音楽もCDを買いに行かなくてもすぐに聴けます。世の中ではバズるという言葉もよく使われていますよね。そんな時代に、たった1日のために、これだけ多くの人が自分のもとへ集まってくれる。その尊さは、改めて感じています。ライブには、その場でしか感じられない温度や音の圧があります。もしかしたら、会場の匂いもそうかもしれない。実際に足を運ばなければ感じられないものがあるので、大きな会場でライブをさせてもらえていることには、毎年改めて感謝しています」
――今回は、これまで訪れたことのない地域でも公演を行うそうですね
「今回は、新しく訪れる場所も増えています。現地の方はもちろん、遠くから足を運んでくれる方もいると思います。ツアーに行けば、その土地の食べ物を楽しみにしていたり、泊まりがけで参加してくれたりするファンの方もいますよね。そうやって、いろいろな楽しみがつながっていくのも面白いなと思います。だから、MCの中であえてご当地のものを紹介するコーナーを作ることもあります。東京から来た方が『帰りにあれを買っていこう』と思ってくれたら、それもひとつの楽しみになるじゃないですか。ライブだけではなく、その土地へ向かう時間や、そこで過ごす時間も含めて楽しんでもらいたいです」
――ライブを観る時間だけでなく、会場へ向かう過程も含めて楽しんでほしいと
「そうですね。全部楽しんでほしいです。インターネット上のコンテンツだけでは得られない温度や体温のようなものが、ライブにはあります。僕にとって、それはかけがえのないものですし、変わらないために変わるという話で言えば、絶対に変えたくない部分のひとつです。だからこそ、常に興味を持ってもらえる情報を発信したり、興味を持ってもらえる人でいられるように変化したりしながら、入り口を広げていきたい。そのすべてが集まる場所がライブなんだと思います」
――お話を聞いていると、北山さんがファンのみなさんを大切にされていることが伝わってきます
「だって、わざわざ来てくれるわけですから。今はアイドルもアーティストもたくさんいて、いろいろな場所でライブが行われています。その中で、仕事をして得たお給料の使い道として僕のライブを選んで、足を運んでくれる。ありがたい以外にないですよね。大切にするという言葉だけでは表しきれないものだと思います。僕は20年以上活動しているので、20年以上応援してくれている方もいるでしょうし、最近ファンになってくれた方もいると思います。もちろん、応援してくれている期間の長さだけがすべてではありません。そういう意味でも、本当にありがたい存在ですし、大事にしたいという思いは、毎回感じています」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
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