

CAPAのモータースポーツフォトコンテスト「流し撮りGP 2026」第4戦の結果を発表します。
同じレース・同じテーマの表現バトルが楽しい
今月もまた「写真が表現するドラマ性」で勝負する作品が集まってきました。同じレースの同じテーマであっても「静と動」「明と暗」「広角と望遠」など、訴え方の手法が違っている。その場、その時の撮影環境を生かして、計算して、仕上がりをイメージしつつ写真を作り上げているところがうれしいです。
シーズンは前半4戦を終え、ランキング上位には実力派が僅差でひしめき合う混戦展開。さて後半戦に向けて、誰が抜け出してくるのか? 楽しみです!
〈流し撮りGP審査委員長〉小林 稔 (日本レース写真家協会 [JRPA] 会長)
GP1位「雨が祝う夜」中谷 洋

キヤノン EOS R1 RF24-70mm F2.8 L IS USM Tvモード (1/320秒 F2.8) +3補正 ISO1600 WB : オート 2026 鈴鹿8時間耐久ロード 鈴鹿サーキット : ホームストレート
作者コメント
梅雨の開催となった「雨の8耐」を象徴するイメージを、この1枚にまとめました。ゴールの後のウイニングランで、観客とハイタッチをするTSRのジョン・マクフィー選手です。写真的には、後ろから照らしてくれたSSTクラスの黄色いライトが良いアクセントになったと思います。
小林 稔 審査委員長の講評
2026年の8耐を象徴的に描く快作です。ライダーも観客もピットもずぶ濡れになりながら迎えた8時間目のフィニッシュを、皆で祝いたたえる瞬間が見事に再現されています。死闘を走り終えたパレードラップの緩やかなスピード感から、空間全体の歓喜を感じます。雨粒の飛び跳ね加減が絶妙で、露出とライティング、構図とシャッター速度などなど、しっかりと計算して待ち構えて撮られているところもイイ。ベストタイミング! という賛美がふさわしい作品です。


GP2位「螺旋」細野 勉

ニコン D5 AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR + TC-14E III Mモード (1/160秒 F4) ISO100 WB : 日陰 NDフィルター 2026 鈴鹿8時間耐久ロード 鈴鹿サーキット : 逆バンク
作者コメント
螺旋のごとく、いくつものトライを重ね続けるマシンとライダー。縁石のカーブラインを螺旋に見立て立体的な絵を目指しました。
小林 稔 審査委員長の講評
言葉では説明しにくいのですが、なんとも「味のある写真」です。構図、露出、照明、配色、ボケ演出など、すべてが合わさって物語に引き込まれていくエネルギーを感じます。シリーズチャンピオン獲得経験もある実力派のベテランには、「細野調」と呼べる作風・写体が整いつつあるのかもしれません。
GP3位「葛藤」渋谷浩一 (ルーキー応募)

ニコン Z8 AF-S NIKKOR 300mm f/2.8G ED VR II + TC-17E Mモード (1/100秒 F6.3) −1補正 ISO100 PLフィルター 2026 SUPER FORMULA 公式テスト 富士スピードウェイ : 300R
作者コメント
チームメイトがポイントランキングのトップに立つなか、ヘルメット越しの表情は結果に苦しんでいるようにも感じました。写真的には、高速コーナーの流し撮りで静寂感を狙ってみました。
小林 稔 審査委員長の講評
これぞ「ザ・流し撮り!」といった完璧な流し撮りです。ピタリと定まったフォーカスはドライバーのヘルメットを捉え、バイザーのロゴ文字までクリアに読み取れます。マシン描写はコックピット周りからサイド部までを被写界深度内に納めてシャープに描き出し、画面前端と後端がわずかに横方向に流れるも、縦ブレは皆無。美しく整理された緑の前景と路面の背景は筋状に流れて (ボケて)、タイヤの回転とともに動感を表現。100点です! シャッター速度1/100~200秒域でこのレベルの流し撮りを「繰り返し確実に撮れる」ようになることが第一目標です。そしてこの「一見フツーだけどシンプルで完璧な流し撮り」こそが、普遍的価値が高い流し撮り作品を生み出す基本撮影術なのだと思います。
GP4位「蒼流」細井 渉

ニコン Z9 NIKKOR Z 24-120mm f/4 S Mモード (1/20秒 F4) ISO1250 WB : 2950K 2026 スーパー耐久 富士24時間 富士スピードウェイ
作者コメント
深夜のサーキット。昼間には見ることのできない「24時間レースならではの景色」を捉えた。
小林 稔 審査委員長の講評
無人の観客席を前に淡々とラップを重ね続ける。24時間レースの地味で静かな深夜シーンを抒情的に物語っています。コース、スタンド、ピットビルの直線要素で区切られた構図内をマシンが駆け抜けます。動きをしっかりとトレースした正確な流し撮りが効いています。
GP5位「標 (しるべ) の先へ」榎良 久

キヤノン EOS-1D Mark IV EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM Mモード (1/60秒 F11) ISO100 WB : オート 2026 SUPER FORMULA 公式テスト 富士スピードウェイ : ピットロード
作者コメント
重くたれ込める雲の下、ファステストラップを目指してコースインしていく16号車。ピット屋上から俯瞰視すると、路面の赤白のゼブラがマシンの行く末を導く「矢印」のように見えました。派手さはありませんが、テスト特有の張り詰めた空気感と、マシンの「進むべき道」が1枚に収まってくれたような気がします。
小林 稔 審査委員長の講評
作者の思いとピット屋上からの景色が、ぴたりとマッチした作品です。マシンとゼブラゾーンの配色バランスも美しい。物語化されたシーン構成と高いグラフィックセンスを感じます。
GP6位「真夜中のブレーキングバトル」下山裕大

キヤノン EOS R7 RF70-200mm F2.8 L IS USM Mモード (1/50秒 F2.8) ISO6400 WB : オート 2026 スーパー耐久 富士24時間 富士スピードウェイ : ダンロップ
作者コメント
夜になり、場所によっては金網の影響が少なくなります。ダンロップコーナー最前列の金網に張り付いて、撮影にチャレンジしました。
小林 稔 審査委員長の講評
同じ24時間レースの夜間走行作品として、深夜の静けさを表現した4位「蒼流」に対し、赤く発熱するブレーキディスクにフォーカスした動的でエネルギッシュな流し撮り作品です。どちらもこのレースの特色である「夜」の訴求。そして、どちらにも共通しているのは、不要なブレのない「とても正確で適確な流し撮り技術」です。
GP7位「春の西日」野中翔平

キヤノン EOS-1D X Mark II タムロン SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2 Mモード (1/4000秒 F3.5) ISO160 WB : 7000K 2026 SUPER FORMULA モビリティリゾートもてぎ : 5コーナー
作者コメント
金曜日の練習走行、最終アタックの時間帯です。いちばん夕日が傾く時刻に、逆光になるポジションを探して撮影しました。5コーナーの形に対してのマシン配置バランスを意識して撮影しました。
小林 稔 審査委員長の講評
光線状態、撮影時刻、撮影位置、WBやレタッチなど、計画と計算で作り上げた努力賞作品です。もてぎで人気が上昇している撮影スポット「5コーナー俯瞰」作品。新定番スポットとして私も研究に行ってみますね。
GP8位「蒼炎」安藤眞哉 (ルーキー応募)

ソニー α1 II FE 400mm F2.8 GM OSS Mモード (1/40秒 F2.8) ISO4000 2026 スーパー耐久 富士24時間 富士スピードウェイ : ダンロップ
作者コメント
マフラーから吹き上がる青い炎を切り取りました。
小林 稔 審査委員長の講評
正確な流し撮り技術で、マシンがシャープに描かれています。シャッター速度にかかわらず、正確にマシンをフォローし続ける技術が身についていればこそ「低速シャッターでの流れ演出」は可能になります。この画面で、テント村の夜の賑わいを表しつつマシンの走行感を訴えるには「1/40秒が正解!」でした。
■流し撮りGP 2026 年間ランキング
→ ランキング表 (第4戦終了時点)