現代から第二次世界大戦末期の1945年へタイムスリップした女子高生が、そこで出会った特攻隊員との恋と別れを経験する『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23)。この作品は興収45億円突破を記録したが、タイムスリップと恋愛は映画のテーマとしてはとても相性がいいし、そこに反戦というメッセージを付加したことがヒットした要因の一つだったと思う。あれから約3年、物語上では7年後に設定された続編『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』が現在公開中だ。
象徴的な百合が咲き誇る丘も登場[c]2026「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会
過去の恋愛との訣別を描くだけに終わらない、多くの日本人が感じているジレンマ
高校3年生から大人になった百合(福原遥)は、特攻隊員として空に消えた彰(水上恒司)の夢でもあった高校教師になっていた。忙しい日々を送っているものの、いまだ彼女の心は1945年の“百合”が咲く丘に取り残されたままであり、そこには彰との思い出が強く刻まれていた。そんな百合の前に現れるのが、臨時的任用教員として百合が受け持つクラスの副担任に着任した青年、涼(細田佳央太)だ。
特攻隊員だった彰の夢を叶え、高校教師となった百合[c]2026「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会
涼には一途で純粋なところがあり、どこか彰の生まれ変わりのようにも見える。前作のラストで、空を見上げながら彰や共に旅立った特攻隊員たちのことを想い、「あなたたちが命を懸けて守った未来を私は精一杯生きます」と心に誓ったはずなのに、現実ではいまも時間の狭間で止まり続ける百合の気持ちが、涼との出会いによってどう変化していくか。そこが続編のメインプロットだ。
百合のクラスに赴任してきた臨時的任用教員の涼[c]2026「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会
彰を介して描かれる、忘れ去られようとする戦争の記憶と、一方で涼が運んでくる未来へ突き進む勇気との間で揺れ動く百合の葛藤。それは置き換えると、現代を生きる多くの日本人が感じているジレンマであり、この物語が過去の恋愛との訣別を描いただけで終わらない理由でもある。
【写真を見る】戦争で命を散らした特攻隊員たちの想いも描かれるなど強い反戦へのメッセージを感じさせる[c]2026「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」製作委員会
