
35年ぶりの日本武道館公演を行った爆風スランプとゲストとして登場した小島よしお(左)(c)池村隆司
4人組ロックバンド「爆風スランプ」が11日、東京・北の丸の日本武道館で一夜限りの公演「歌え、大きな玉ねぎの下で」を開いた。1991年以来35年ぶりとなる聖地帰還した。
♪千鳥ケ淵 月の水面 振り向けば 澄んだ空に光る玉ねぎ…。幕開けはバンドと同所の関係を象徴する代表曲「大きな玉ねぎの下で」。イントロが流れると「待ってました!」と言わんばかりの大歓声があがり、曲終わりには万雷の拍手が30秒以上続いた。
「爆風スランプ、35年ぶりの帰宅でございます!長く留守にしてしまってすまなかった武道館!」。サンプラザ中野くん(65)は喜びに満ちた声をあげた。ギターのパッパラー河合(65)もマイクを通さず生声で「ありがとう~!」と感謝を伝えた。
99年に活動休止したが、24年のデビュー40周年を機に再集結。同年に行ったツアーでは「次の夢は武道館で『大きな…』を歌う」と目標を掲げ、新曲を発表するなど走り続けてきた。中野くんは「25年も活動してなかったのに2年でこんなに集まっていただいて感謝です!どうしても見たいってチャンホン(台風15号の名称)も来た。持っているぜ!爆風スランプ」と叫んだ。
平均年齢66歳。デビュー当初は派手よりも危険の伴う演出で唯一無二のコミックバンドとして知られてきた。しかし、演奏技術は確かなもので、思わず体を揺らしたくなるパッパラー河合のギター、打楽器のように指で弦を弾くバーベQ和佐田(67)のベース、体に重く深くファンキー末吉(67)のドラム。35年ぶりの聖地でも実力を遺憾なく発揮した。
しかし、コミカルさは変わらない。メンバーが靴をくわえてヘッドバンキングをすることでおなじみの「ほら、アホになる」は令和版にアップデート。来場者全員にバンドロゴ入りスリッパが配布され、会場中がスリッパをくわえてヘドバンする光景が広がった。曲中に河合は被っていた帽子に水を入れて飲み干し、上着を脱いで水を浴びるなど破天荒。
35年ぶりの聖地は2時間30分のステージで、「Runner」「リゾ・ラバ」など全24曲を披露。終盤には来年9月から全国5都市を巡るZeppツアーの開催を発表し、「この曲のおかげで武道館と強いつながりを感じて、武道館に一番愛されているバンドだと思い込んでいます」とこの日2回目の「大きな…」で締めくくった。流れる汗はそのままに、再び聖地に立つ日に向けて4人は走っていく。
《小泉今日子がナレーション》開演前のナレーションは小泉今日子(60)が担当した。「35年ぶりに大きな玉ねぎの下に帰ってくるということでおめでとうございます!」とアナウンス。87年にバンドから「東の島にブタがいたVol.2」の提供を受けるなど交流がある。今年5月に開催された小泉の初の武道館公演では、観客と「大きな」「玉ねぎ」と掛け合い、会場は大盛り上がりだったという。また、最新曲に参加している小島よしお(45)と「東京ラテン系セニョリータ」(91年発表)の振り付けを担当したラッキィ池田氏(66)がゲスト出演した。
▽大きな玉ねぎの下で 1985年発売のアルバム「しあわせ」の収録曲。「玉ねぎ」は武道館の屋根にある擬宝珠(ぎぼし)のことで、形が似ている。ペンフレンドの男女が武道館のコンサートで会う約束をするが、女性が来ずに終わる失恋ソング。初の武道館公演で空席ができた場合の言い訳として作られた。89年にシングル化され、15年から最寄りの九段下駅の東京メトロ東西線発車メロディーに。昨年2月には曲をモチーフにした映画が公開された。
