劇場アニメーション作品『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の公式サイトで8月11日(火)、原作/脚本を手がけたナガノさんのオフィシャルインタビューが公開された(外部リンク)。

    インタビューでは、映画化が決まった際の心境から、制作チームとのやり取り、キャラクターの表情や演技へのこだわり、キャスティングや音楽への想いまでを幅広く紹介。

    ナガノさんは映画制作について、作画やコンテなど細かな部分まで確認したと説明。「悔いがないようにしたかった」と語り、できる限り深く制作に関わったことを明かしている。

    シリーズ初の映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』

    『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は、ナガノさんによる漫画『ちいかわ』初の劇場アニメ。7月24日から全国の映画館で公開され、17日間で約67億円の興行収入を記録している。

    『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』キービジュアル © ナガノ / 2026 「映画ちいかわ」製作委員会

    映画化されたのは、2023年に原作で発表された長編エピソード、通称「セイレーン編」。シリーズ屈指の長編として、原作連載時にもSNSで大きな反響を呼んだ。

    一枚のチラシをきっかけに島を訪れたちいかわ、ハチワレ、うさぎたちが、島民を連れ去っているという巨大な怪異・セイレーンの討伐計画に巻き込まれていく物語だ。

    原作/脚本をナガノさん、監督を及川啓さんが担当。アニメーション制作は、劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』などを手がけたサイピクが担当している。

    今回公開されたインタビューでは、そんな原作者のナガノさんが、漫画から映画へと『ちいかわ』を移し替える際に何を重視したのかが明かされている。

    「キャラクターたちそれぞれのイメージが崩れないように」作画やコンテまで細かく監修

    映画化にあたってナガノさんが特に重視したのは、「キャラクターたちそれぞれのイメージが崩れないように」した点。

    例えば、冒頭でちいかわとハチワレがチラシを見る場面では、ちいかわが横から手を出す仕草が「奪い取る」ように見えないよう要望。眉毛の角度や口の開き方など、表情についても細かく確認している。

    一方、映像化に際しての「間」や尺については、及川啓監督の判断を頼りにしたという。ナガノさん自身が削ろうとした場面について、監督から残した方が良いと提案されたこともあったと振り返っている。

    映画制作には作画やコンテの段階から深く参加。ナガノさんは「悔いがないようにしたかった」として、「出来ることは全部やらせていただきました」と語っている。

    また、映画だからこその見どころとして、原作にはない構図や「間」、背景で動いているキャラクターたち、セイレーンの登場シーン、うさぎのラップなどを紹介。

    戦闘シーンも映画ならではのダイナミックな表現になっており、原作では十分に表現できなかったラッコの強さも伝わるのではないかと語っている。

    セイレーン役・鈴木みのりの決め手は「ビブラート」

    キャスティングについての裏話も明らかになった。

    セイレーン役には、かわいらしさと怖さの双方を表現でき、さらに歌唱力を持つ声優を求めていたという。その条件に合ったのが鈴木みのりさん。

    彼女がオーディションテープで披露した歌のビブラートも決め手になったとしている。

    映画の音楽については、TVアニメ版から参加しているトクマルシューゴさんの起用をナガノさん自身が希望。

    劇中では「島のテーマ曲」を設定し、そのメロディーを複数の場面でアレンジして使用するようオーダーしたという。オープニングテーマとエンディングテーマについても、ナガノさんが制作した歌詞をもとにトクマルシューゴさんが作曲している。

    今後も『ちいかわ』映画化は続くのか?

    さらに原作「セイレーン編」の初期構想にも言及。

    ヒトハとフタバには当初、顔もセリフも存在していたほか、くりまんじゅうに似た「酒まんじゅう」という島の村長のようなキャラクターも構想されていたことが明かされた。

    さらにインタビュー終盤では、今後の映画展開についても言及。

    今回を「最初で最後と思ってやりきったつもり」としながらも、もし次回作が実現するならば、島二郎を主人公にした作品をつくりたいと回答。島二郎とオデが取っ組み合いの喧嘩をする物語という構想も披露している。

    原作者自身がどこまで映画制作に入り込み、漫画の『ちいかわ』を映像へ落とし込んでいったのか。制作の舞台裏が詰まった貴重なインタビューとなっている。

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    米村 智水

    株式会社カイユウ代表取締役。1986年生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業。出版社での編集業務や大手SNS運営会社でのWeb/コミュニティディレクターを経て、2011年に株式会社カイユウを創業。2013年にポップポータルメディア「KAI-YOU」を立ち上げる。以降、インターネット発のカルチャーを専門領域として、VTuber、ストリーマー、ヒップホップ、ゲーム、アニメ、同人文化など幅広いジャンルを取材・研究。クリエイターや企業へのインタビュー、コミュニティ分析、カルチャー史の記録を継続して行っている。企業や自治体との共同プロジェクト、マーケティング支援、コンテンツプロデュースなども手がける。編集者・記者としての関心は、2010年代以降のポップカルチャーとコミュニティ、それらが社会や産業へと発展していく過程など。

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