劇場アニメ『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の興行収入が、公開から17日間で約67億円を記録した。
興行通信社によれば、8月7日から9日までの週末3日間で動員114万7000人、興収16億9900万円と前週を大きく上回る成績をあげ、週末観客動員数で前週1位の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』を抜いて1位に返り咲いた。
7月24日の公開から勢いを維持し、興行収入70億円の大台を目前に捉えた。
公開初日には9.9億円、公開3日間では22億4033万3500円を記録。観客動員も150万人を突破するロケットスタートを切っていたが、その後も夏休み興行の中で数字を伸ばし続けている。
現在の推移を考えると、興行収入100億円突破も現実味を帯びてきた。
100億円突破も濃厚か 夏休み終了後も続くロングランに期待
公開前から一部のファンの間では100億円突破の可能性は取り沙汰されていたが、多くの客層はここまでの伸びは期待していなかった。
しかし蓋を開けてみると、公開初日の上映回数は劇場版「名探偵コナン」シリーズや『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』といった大規模作品公開時に匹敵する劇場も続出する事態に。
『ちいかわ』は子どもだけでなく成人層にも広く支持されており、原作ファンによるリピート鑑賞に加え、映画をきっかけにはじめて作品に触れる客層もまだまだ期待できる。
入場者特典第2弾「ボンボンドロップシール」で再加速
さらに興行収入を後押ししているのが入場者特典の存在だ。
公開初日からは、第1弾としてちいかわ、ハチワレ、うさぎ、モモンガら全8種類の「チャームミニフィギュア」が数量限定で配布された。
そして公開3週目にあたる8月8日からは、入場者特典第2弾として「ボンボンドロップシール」の配布がスタート。
映画『ちいかわ』入場者特典の「ボンボンドロップシール」/画像は公式Xより
ぷっくりと立体感のあるシールは、文具/雑貨市場でも絶大な人気を集めるアイテム。特典目当ての再鑑賞や新たな来場を促す材料となっている。
夏休み期間の真っただ中というこれ以上にないタイミングに加え、新たな入場者特典が投入──公開から2週間以上が経過した後も動員が落ち込みにくい状況が続いている。
原作漫画の「セイレーン編」を映画化──初見層にも広がる『ちいかわ』
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は、ある日ちいかわたちのもとに「島での簡単な討伐で100倍の報酬がもらえる」という怪しいチラシが届くところからはじまる。
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) March 15, 2023
島へ向かったちいかわ、ハチワレ、うさぎたちは、島民のヒトハとフタバ、そして巨大な人魚のような怪異・セイレーンらと遭遇。事件に巻き込まれていく──
今回映画化された「セイレーン編」は、可愛らしいキャラクターの日常という一般的な『ちいかわ』のイメージとは異なり、原作でも不穏な展開が続く長編エピソードとして知られる(もっと不穏なエピソードも多々あるのでチェックしてほしい)。
これまで『ちいかわ』をキャラクターの見た目でしか知らなかった層も多く取り込み、そのシリアスで過酷なテーマ性と物語性によって、初見層の反応がさらなる呼び水となり、口コミで話題が広がり続けている。
監督は『ウマ娘 プリティーダービー』シリーズなどの及川啓さん。アニメーション制作はサイピクが担当。原作・脚本はナガノさん自身が手がけた。
SNS発の漫画から、近年稀に見る巨大キャラクターIPとなった『ちいかわ』。シリーズ初の劇場版は、どこまで商業的な規模を拡大するのか。真の意味で国民的な作品になろうとする瞬間に今、我々は立ち会っている。
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米村 智水
株式会社カイユウ代表取締役。1986年生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業。出版社での編集業務や大手SNS運営会社でのWeb/コミュニティディレクターを経て、2011年に株式会社カイユウを創業。2013年にポップポータルメディア「KAI-YOU」を立ち上げる。以降、インターネット発のカルチャーを専門領域として、VTuber、ストリーマー、ヒップホップ、ゲーム、アニメ、同人文化など幅広いジャンルを取材・研究。クリエイターや企業へのインタビュー、コミュニティ分析、カルチャー史の記録を継続して行っている。企業や自治体との共同プロジェクト、マーケティング支援、コンテンツプロデュースなども手がける。編集者・記者としての関心は、2010年代以降のポップカルチャーとコミュニティ、それらが社会や産業へと発展していく過程など。
