俳優として、アーティストとして活躍を続けるDEAN FUJIOKA(ディーン・フジオカ)さん。最新曲「Loved One」は、今年4月期に放送されたヒューマンミステリードラマ「LOVED ONE」(フジテレビ系)の主題歌として話題のバラードです。 英語で「大切な人」「最愛の人」を意味するドラマや曲への思いなどを聞きました。
「生と死」に向き合う
――ドラマでは、過去の自分と向き合いながら、
冤罪(えんざい)
を証明していく法医学者・水沢真澄役で主演されました。クランクアップの時に、「この作品との出会いは、自分の中で何かの区切りになった」と話していましたが、どういうことでしょうか。
ここ数年の間に、長く付き合ってきた同年代の親友が3人、相次いで亡くなりました。そんな中、今作のオファーをいただいた時、今の自分の人生のタイミングと必然的なつながりのようなものを感じたんです。
DEAN FUJIOKAさん
友人を失った悲しみで、胸の奥にずっと何かがつかえることが、身に染みて分かりました。それと同時に、「自分にはあとどれだけの時間が残されているのか」と、いや応なしに「生と死」に向き合うことになりました。そんなタイミングで、今作の主演と主題歌という重責を担わせていただくことになった。それは、私のプライベートな歩みにおいても、運命的な一つの区切りだったのだと感じています。
実は、ドラマの中で、亡くなった友人3人とも、同じ名前の登場人物がいるんです。友人たちのことは、プロデューサーも周囲の人たちも知らなかったので、もちろん偶然なのですが、こういうことって本当にあるんだなとびっくりしました。
自分のキャリアにおいても、役者としてどのように「水沢真澄」というキャラクターと向き合うのかとか、主題歌を作る過程では、楽曲制作のプロセスがこれまでと異なるなど、明確に「区切り」がついていると感じました。いろいろなものの焦点が一点に集まったという意味で、一言で言うと「本当に運命的な出会い」だったんです。
俳優は演じる役が変われば、その都度、新たな向き合い方を見つけるところがあるので、新たな役との出会いは常に新鮮です。でも、楽曲制作に関しては、自身のアーティストとしてのスタンスや曲を作る理由などは、自分の内面から出てくるものなので、よほど大きなきっかけがないと変わりません。裏を返せば、「大きな変化」を作りづらかったりするので、そういう意味で、自分の音楽との向き合い方において、ここまでスタンスが変わったというのは、音楽のキャリアではデビュー以来、初めてかもしれません。
――「Loved One」は、ドラマの中で流れてくると、じんわりと心に染みてくるバラードです。メロディーと歌詞、どちらが先に生まれたのですか?
メロディーが先に完成して、その後、細かく歌詞を当てていきました。メロディーを作る際、最初に頭の中にあったのは、ドラマタイトルに使われている「loved one」という単語でした。
それに加え、「『愛する・愛している・
愛(いと)
しい』という気持ちって何なのだろう」と考えたときに、日常の中にある平凡な、たわいのない一コマで、「おはよう」「おやすみ」「ただいま」「お帰り」「ありがとう」などと、毎日繰り返す言葉の延長線上に、愛の輪郭があるんじゃないかなと思って、そんな歌詞を書きたいと思いました。
その上で、どういうメロディーが必要なのかを考え、曲の構造として「表紙を開いて物語が始まり、1ページずつめくって、最後には物語が終わって本を閉じる」ということを、曲を聞くたびに感じられるような作品に作り上げました。
「ちいかわ」が勇気をくれた
――新曲の制作やドラマの撮影などで多忙な日々の中で、楽屋が「ちいかわ御殿」になっていたそうですね。

最初は、メッセージアプリでちいかわのスタンプを、ちいかわとは知らずに使っていたんです。「なんかかわいいな」と思って(笑)。その後、ちいかわの原作やストーリーを知ったんです。
水沢真澄を演じるに当たって、孤高の天才とか、ただの優秀な法医学者にはしたくありませんでした。どこかで子どものまま大人になってしまった人間。たとえば、子どもの時に公園や森で遊んでいて、虫や小動物の死骸を見て、強烈に好奇心をそそられた――。そんな感覚をずっと残した人物像にしたいなと思いました。
だったら、ゆるキャラみたいな雰囲気が水沢真澄にあればいいなと思い、ふと見たら、そこにちいかわがいたんです(笑)。それがスタートだったのですが、インタビューなどでそのエピソードを話したら、関係者や共演者の皆さんがいろいろプレゼントをくださって、メイク台にちいかわ御殿が作れるくらいになりました。
撮影中、せりふが難しくて分量も多く、くじけそうになった時に、視線を台本から上げると、ちいかわがこっちを向いて、ほほ笑んでいるんです。見るたびに、とても勇気づけられましたね。
負のスパイラルを、正のスパイラルへ
――8月19日にファンクラブ10周年・バースデー記念イベントが開かれます。

「FamBam(ファムバム)」というオフィシャルファンクラブで、ほかのファンクラブではやらないことをたくさんやってきています。たとえば、毎年、フードバンク団体の「セカンドハーベスト・ジャパン」と手を組んで、ファンの皆さんの家庭で余っている食品などを募って、福祉団体やフードバンクなどに寄付する「FamBam Food Drive Project(ファムバム・フードドライブ・プロジェクト)」を実施しています。多い年だと2.5トンほど集まります。それから、ファンクラブの公式キャラクター「FamBam Monsters(ファムバム・モンスターズ)」を作って、その絵本の収益の一部を、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」を通じて、アジアの子どもたちへ寄付しています。
世の中には、自助努力では抜け出せない、圧倒的な不幸みたいなものが普通にありますよね。自分が今までいろいろ旅をしてきた中で、それを横目で見つつ、その時は何もできなかったけれど、忘れないことだけはできるのではと思ったのが、このような活動を始めるきっかけです。多くの人に賛同いただいて、10年間続けてこられました。
自分のキャリアだけでなく、生きている意味においても、実社会との接点は非常に重要だと感じています。もちろん、エンターテインメントも社会との接点の一つですが、ファンクラブの存在があるからこそ、フィランソロピー(社会貢献活動)なども展開していけるのだと思います。今度のファンクラブミーティングでは、10周年を祝いつつ、ここからさらに未来に向かって歩みを進めていけるよう、みんなと時間を分かち合えたらいいなと思っています。
(読売新聞メディア局 杉山智代乃/写真・秋元和夫)
あわせて読みたい
この記事のカテゴリ
身近な話題、リアルな体験談とアドバイスを紹介する「大手小町」
