2026年7月25日から26日にかけて、『VALORANT』の国内大会「VALORANT Challengers Japan 2026」(以下、VCJ)Season Finalsの最終2日間が、東京・立川市にある「アリーナ立川立飛」にて開催されました。

    本大会には、VCJ Split 2のトップ4チームである「REJECT」、「QT DIG∞」、「IGL」、「FENNEL」が出場し、2日間にわたる激闘をくり広げました。Day2のグランドファイナルでは、「REJECT」と「QT DIG∞」が対戦。5マップ目に突入する大激戦の末に「QT DIG∞」が勝利し、優勝トロフィーを掲げました。熱気に包まれた2日間の模様をお届けします。

    なお、記事最後には、公式応援ソングを披露したロックバンド「T.N.T」のボーカル、手越祐也さんへのインタビュー内容を一部抜粋して掲載しています。

    年1のオフライン、現行のVCJとして最後の開催に

    昨年のVCJは、5月に幕張メッセでSplit 2 Playoff Finals、8月に京王アリーナTOKYOでSeason Finalsと、2度のオフライン大会が開催されました。しかし、今年のオフラインは年に1度。シーズンを締めくくるSeason Finalsのみの開催で、ファンが待ち望んだオフラインの機会となりました。

    『VALORANT』の公式大会である「VALORANT Champions Tour」(以下、VCT)は、来年から大きく大会フォーマットが変わることが発表されています。2027年シーズンは、リーグ制が廃止され、トーナメント制の「VCT Cups」を新設。それに伴って、日本国内の大会形式も変化することが見込まれ、現行の形式としては最後のVCJ開催になったと言えます。

    今回の会場「アリーナ立川立飛」では、会場後方に最小限の実況解説席などが設けられたのみで、それ以外はすべて客席。おそらく最大限の客席を設けたのではないかと思われる配置でしたが、最後列や2階席までファンで埋まっていました。チームやオフィシャルの物販ブース、企業ブースなどは、隣接する多目的体育館内に設けられ、こちらもグッズを求めるファンで混雑していました。

    決勝進出をかけ、さまざまな思いがぶつかったDay1

    Day1には、Bo3でのセミファイナルが実施され、「REJECT」vs「IGZIST」の試合、そして「FENNEL」vs「QT DIG∞」の試合が行われました。負ければ敗退、勝てば翌日のグランドファイナルへ進出します。

    まずは、「REJECT」と「IGZIST」の対戦。「REJECT」は、ここまでSplit 2の試合を無敗で勝ち進んでいました。いったいどのチームが「REJECT」を倒すことができるのか。そんなラスボス的な存在として立ちはだかっていました。

    対する「IGZIST」は、つらい時期を乗り越え、念願のオフライン出場を叶えたチーム。特に6年ぶりの公式オフライン出場を果たしたoitaN選手は、日本一の座にかける並々ならぬ思いを語っていました。しかしながら、「REJECT」の壁は高く、マップカウント0-2で敗北。この試合にかける思いを知っているだけに、敗北に涙する「IGZIST」ファンの姿も見られました。


    REJECT 2-0 IGZIST


    マップ1:13-3(アセント)
    マップ2:13-11(サンセット)

    続いては、「FENNEL」と「QT DIG∞」の対戦。会場では「FENNEL」ファンの多さが目立ち、高い期待が寄せられていることがうかがえました。Main Stageでは「QT DIG∞」が勝利しており、「FENNEL」にとってはリベンジマッチです。

    しかし、「FENNEL」はリベンジを果たせず。「QT DIG∞」がマップカウント2-0で勝利し、グランドファイナル進出を決めました。「QT DIG∞」は、これまで何度もセミファイナルで敗れてきており、待望の初グランドファイナル出場となりました。

    この日、会場での「FENNEL」ユニフォームを着たファンの多さは、とても印象的でした。これはもちろん、シンプルにチーム人気の高さを表していると言えます。ただ、それだけでなく「FENNEL」は、ファンがユニフォームを着て声援を送る、競技としての応援カルチャーを強く意識しているチーム。そうしたチームの考えが、実際に反映されているように感じました。

    「FENNEL」はアパレルの展開にも力を入れているチームで、そのデザイン性の高さから、ユニフォームをおしゃれに着こなすファンも多く見かけました。競技における強さだけではない、チームのカラーやブランディングが色濃く表れた光景でもあると感じます。


    QT DIG∞ 2-0 FENNEL


    マップ1:14-12(アセント)
    マップ2:13-5(ヘイヴン)

    ドラマが生まれたグランドファイナル、勝利の涙

    Day2はショーマッチの後、いよいよグランドファイナルへ。日本一の座、そしてVCT Pacificへの出場権をかけた、「REJECT」と「QT DIG∞」によるBo5での頂上決戦が始まります。

    ここまでの実績を考えれば、率直に「REJECT」の優勝を予想していた人が多かったでしょう。しかしながら、「REJECT」がマップを取れば「QT DIG∞」が取り返す、激戦の展開を迎えました。

    この日も会場はファンでびっしりと埋まり、熱気に包まれていました。着ているユニフォームを見れば、当然そのチームのグランドファイナル出場を望んでいただろうと想像できます。それでも、グランドファイナルに勝ち進んだチームに、惜しみない声援を送るファンの姿からは、シーンそのものへの愛が伝わってきました。

    実際に、このグランドファイナルの試合を通して、どちらかのチームに偏った声援が送られることはありませんでした。純粋に良いプレイが出れば、歓声を上げる。日本の大会らしい、全チーム全選手へのリスペクトにあふれる応援でした。

    試合は、ついに最終マップに突入。これまでもVCJオフラインと言えば、オーバータイムやフルマップにもつれ込む、長丁場の大激戦が多く繰り広げられてきました。最後の最後までわからない、“これぞVCJ”と言える展開です。とてつもない緊張感に包まれるなか、接戦の最終マップを13-11で勝ちきったのは、「QT DIG∞」でした。

    なかでも、「QT DIG∞」のリーダーであるmisaya選手は、2021年の加入(当時のチーム名は「Sengoku Gaming」)からチームを移ることなく、長きにわたって挑戦を続けてきました。幾度もの悔しさを乗り越え、嬉し涙とともに優勝トロフィーを掲げたmisaya選手の姿は、VCJを追いかけてきた多くのファンの胸を打ったでしょう。

    優勝を手にした「QT DIG∞」は、8月13日より始まるVCT PacificのStage 2に出場。「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)や「ZETA DIVISION」(以下、ZETA)とともに、世界大会「VCT Champions」出場を目指して戦います。


    QT DIG∞ 3-2 REJECT


    マップ1:4-13(スプリット)
    マップ2:13-10(ロータス)
    マップ3:6-13(ヘイヴン)
    マップ4:13-6(ブリーズ)
    マップ5:13-11(アセント)

    『VALORANT』愛の深さを感じる手越さんのインタビュー

    今大会では、Day1のオープニングライブにロックバンド「T.N.T」が登場。公式応援ソング「RADIANT」を含む楽曲を披露し、会場を盛り上げました。そして、Day2のグランドファイナルでは、ボーカルの手越さんによるパフォーマンスとともに、選手入場が行われました。

    グランドファイナルの入場後、「T.N.T」のインタビューが実施されました。ボーカルの手越さんは、昨年もVCJの大会公式スペシャルサポーターを務めており、さまざまな場で『VALORANT』への愛を語ってきています。

    今回のインタビューでも、サッカーなどフィジカルスポーツの世界にもくわしい手越さんから、興味深い回答がいくつも飛び出しました。インタビューの内容から、手越さんのコメントを一部抜粋してお届けします。

    ――手越さんのVCJでの推し選手を、理由と合わせて教えてください。

    手越祐也さん(以下、手越):うわ、難しいな。ちょっとベタになっちゃうけど……。いや、ベタだとつまらないか。サッカーでも、好きな選手はクリロナ、メッシって言いたくないんですよ。でも、好きなんだよな……。やっぱりDepさんかな!

    Dep選手のことは「ZETA」の頃からずっと見ていて、世界大会で3位になったときも見ていました。世界で活躍して、“神の子”と呼ばれるDepさんが、日本の大会に参加している。それが僕としては、海外で得点王を取ったスター選手が、逆輸入で日本に来たような感覚なんです。

    先ほどのショーマッチで、Lazさんやcrowさんといった、Dep選手の元チームメイトが出ていましたけど、Depさんは選手として今も第一線にいる。しかも、今のところ無敗の「REJECT」を率いて、精神面でも経験面でも引っ張っています。あと、純粋に見た見た目がカッコいいですね。

    それに、「俺はいくんだ!」みたいな切れ味があるというか。 一時期デュエリストじゃないエージェントも使っていましたけど、やっぱりDepさんにはデュエリストを使っていてほしいなと。という感じで、Dep選手ですね。 他にもたくさんいるんですけど、ちょっとベタですみません(笑)。

    ――サッカーなどフィジカルスポーツにもくわしい手越さんから見て、eスポーツがフィジカルスポーツの人気により近づくためには、何が必要だと思いますか?

    手越:少なくとも日本では、ゲームがただの遊びだとか、勉強や成長を阻害するものだと考えられる時代は終わっていると思います。普通に仕事をするように稼げて、チームにスポンサーがついて、いろいろな夢のある生活ができる。そして、こうやってアリーナにたくさんの観客が集まっているということを、どんどん発信し続けることが大事だと思います。

    それから、選手の意識も大事だと思います。 例えば、野球の大谷翔平選手や、サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手は、子どもたちが見て純粋に「カッコいい、こうなりたい」と思う存在ですよね。eスポーツ選手も見た目、髪型とか厳しいことを言えば体型管理とか、そういうものも含めてカリスマ性が生まれます。だから、Dep選手に人気があると思うんですよね。

    そういう見られる側の選手としての意識も、チームのスタッフなどが「君らはスターなんだからね」と、しっかり教え込んでいく必要があると思います。子どもたちが見た時に、「カッコいい、僕も私もeスポーツプレイヤーになりたい」と思う人が増えれば、どんどん広がっていくと思います。

    ――優勝チームは、VCT Pacificで戦うことになります。そのチームへのエールをお願いします。

    手越:VCT Pacificは僕も見ていて、もちろん「DFM」や「ZETA」の試合も追っています。Chinaリージョンなど他地域も全部見ていますが、やっぱり世界は強い。世界ならではのスピード感や、1vs1の撃ち合いの強さがあります。

    サッカーの日本代表もそうだったのですが、僕は日本と世界の差が一番あるのは、メンタリティの部分だと思っているんです。どうしてもまだ日本のチームは、ここ一番の大事な局面で撃ち負けて、そこから流れが変わってしまったりする。それで「惜しかったよね」と。でも、そこで「惜しかった」と言っていては、いつまでも成長しないと思うんです。

    例えば、僕が歌のキーを外して、「まぁ練習がんばったし、惜しかったよね」では、ダメだと思うんですよ。それはアマチュアの考えなので。やっぱりプロは、勝負の世界は、勝たなければ意味がないと思っています。

    ただ、eスポーツの大会は、僕も配信のコメント欄を見ていますけど、劣勢になったりすると結構痛烈なコメントがきて、あれはやっぱり見えてしまいますよね。そういったもので、アグレッシブなプレイも止まってしまう。だから、もうちょっと応援してあげればいいのにと思うこともあります。

    でも、プロである以上、アンチや批判も跳ねのける、一発勝負で勝つメンタリティも、僕は大事だと思います。日本チームのレベルは、どんどん上がってきていると思うので。普段通りに、チームメイトとともに培ってきた、心は熱いけれど身体はリラックスした状態を出せれば、十分に戦えると思います。

    優勝したチームは、そこに行きたかった、敗れてきたチームの夢を背負って、世界と戦いに行くわけですから。「日本なめんなよ」と、日本リージョンのすごさを見せてほしいですね。僕らもこうしてVCJに携わらせてもらった以上、全力で応援したいと思いますし、みんなを巻き込んで「応援しようぜ!」というメッセージを出していきたいと思います。

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