中野量太監督が『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)以来、10年ぶりに完全オリジナル脚本を手掛け、坂口健太郎を主演に迎えた『私はあなたを知らない、』(8月28日公開)。このたび、坂口演じる孤独な青年、西山夕平が愛したシングルマザー、東浜紗月役を務めた堀田真由のオフィシャルコメントと場面カットが解禁となった。

    【写真を見る】堀田真由のナチュラルな表情から良き母親ぶりが伝わってくる【写真を見る】堀田真由のナチュラルな表情から良き母親ぶりが伝わってくる[c]IDKYPs./Pyramide Productions

    西山夕平は天涯孤独の身。粛々と働き、自分のなかで決められたルーティンで生活をし、たった一人のその環境を寂しいとも感じずに生きてきた。職場にやってきた新しいパート職員、紗月と出会うまでは。彼女と出会い、生きる喜びを得て夕平の毎日は輝いていく。そしてある日、紗月から5歳の娘、朝子を紹介される。彼女は実はシングルマザーだったのだ。紗月と朝子との生活で、これまで知らなかった“家族”という幸せの形に触れた夕平は心を開放していくが…。

    本作で自身初となるシングルマザー役に挑戦した堀田。堀田が演じるのは、幼い娘を女手一つで育てながら、よりよい生活を目指して懸命に生きる女性、紗月。夕平、朝子との穏やかな日々のなかで“家族”という温もりを育んでいく一方、仕事や将来への思いから、次第に夕平との価値観の違いが浮き彫りになっていく。脚本を読んだ当初について、「最初は共感を抱くことは難しかった。わからないことだらけのスタートだった」と率直な心境を吐露。子どもを産み育てた経験がないからこそ、中野監督と「紗月とはどういう人物か」を日々対話しながらキャラクターを模索し、いつしか「“わかりたい”と思うようになり、“私がこの紗月を守りたい”という気持ちが芽生えた」と語る。また、「紗月の未来を予測せずに演じることは役者としても挑戦的であり、順撮りの環境のなかで日々を丁寧に積み重ねた」と振り返っている。

    実は、紗月というキャラクターは脚本開発の段階から丁寧な設計が求められた人物。プロデューサーの深瀬和美は、「夕平の心情が丁寧に描かれることで、紗月が夕平を振り回す嫌な女に見えてしまうのではないかという懸念があった」と思い返し、「彼女がキャリアだけを追っている人物に見えないよう追加したシーンもある」と明かしている。

    同じくプロデューサーの若林雄介も、「子育てをして懸命に生きている紗月が、ただ自分勝手なだけだと思われる人物にはしたくなかった」と説明。朝子のために懸命に働き、幸せを求めて前に進もうとする紗月。その姿をどう描くかは、本作における大きなテーマの1つでもあった。

    子育てをしながら、仕事も懸命に頑張っている紗月子育てをしながら、仕事も懸命に頑張っている紗月[c]IDKYPs./Pyramide Productions

    そんな紗月役には、「愛される雰囲気を持った人を演じてほしい」という監督、プロデューサー陣の思いから堀田が起用された。深瀬は「紗月が頑張りすぎて、思わず刺々しい言葉を放ってしまうシーンでも、堀田さんなら人間味を持って演じてくれると思ったんです」とオファーの理由を明かし、「撮影中も堀田さんの柔らかい雰囲気に助けられました」と信頼を寄せている。

    また堀田は、中野監督との念願の初タッグについても言及。18歳の頃に『湯を沸かすほどの熱い愛』を劇場で観て深く感銘を受け、「いつか中野監督と仕事ができる役者になりたい」と思っていたことを明かし、「デビュー10周年という節目の年に、その目標が叶ったことが本当にうれしかった」と喜びを語る。中野監督については、「誰よりも作品と現場を愛している方。その思いがビシビシ伝わってきた」とコメント。続けて、「“赦し”や“家族”とは、なにかを考えながら、一緒に作品と向き合えた」と撮影の日々を述懐している。

    朝子を守るために懸命に生きる母、紗月。その複雑な心情と人間らしさを繊細に体現した堀田の新たな一面にも注目。“家族”をテーマに作品を撮り続ける中野監督が描く、ユーモアと愛情に満ちた渾身のヒューマンサスペンス『私はあなたを知らない、』をぜひ映画館でご覧いただきたい。

    文/山崎伸子

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