7月28日に発生した地震の影響により、安全が確認されるまでの間は臨時休館していましたが、施設および敷地内の安全確認が完了したため、8月5日(水)から開館しました(同館HPより)

    熊本県立美術館(熊本市中央区)で、「熊本県立美術館開館50周年記念特別展 わたしたちのルノワール」が7月18日から9月13日まで開催されています。

    19世紀を代表するフランス印象派の画家、ルノワール。明るく幸福な雰囲気に満ちたその作品は世界中で愛され、ここ日本においても最も人気のある画家の一人といえるでしょう。なぜルノワールは日本で愛されてきたのでしょうか。その理由の一つは、その作品を日本各地の美術館で“実際に見ることができる”という点にあるのかもしれません。

    本展は日本各地の美術館が所蔵するルノワール作品を一堂に集め、遠い異国の画家であったルノワールが日本に受容され、わたしたち日本人にとって身近な画家となっていくまで、いわば、「わたしたちのルノワール」になるまでの変遷を追うものです。

    ピエール=オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 ポーラ美術館蔵

    熊本県立美術館開館50周年記念特別展
    わたしたちのルノワール

    会場:熊本県立美術館(熊本県熊本市中央区二の丸2)

    会期:2026年7月18日(土)~9月13日(日)

    開館時間:9:30~17:15(入館は16:45まで)

    休館日:月曜日(祝日開館、翌平日休館)
    ※ただし、8月10日(月)、9月7日(月)は特別開館

    観覧料:一般1,800円、大学・専門学校生1,300円、高校生1,000円
    ※中学生以下無料
    ※障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)をお持ちの方は
    手帳の原本、もしくはミライロIDの登録画面提示で無料

    アクセス:JR熊本駅から市電で「熊本城・市役所前」下車、徒歩約15分/九州自動車道「熊本インター」から車で約30分

    詳細は、熊本県立美術館公式サイトまで。

    展覧会構成
    第1章 ルノワールとの出会い

    日本に初めてルノワールの作品がもたらされたのは1890年代中頃、購入者は明治期に活躍した美術商・林忠正であったといいます。林のコレクションは彼の死後に散逸しますが、ヨーロッパの新しい美術動向に対する関心が高まっていたこの時代、その後も山下新太郎や梅原龍三郎といったルノワールと知己にあった画家たちや、大原孫三郎、松方幸次郎といった名だたる実業家たちによってその作品は蒐集され、画家の存在は国内でも徐々に知られるところとなります。本章では、これら最初期に日本にもたらされたルノワール作品が、画家や作品について言及した当時の雑誌記事などの資料とともに展示されます。

    第2章 ルノワールと日本の洋画家たち

    明治41年(1908)、フランスに渡った画家・梅原龍三郎は、パリのリュクサンブール美術館で目にしたルノワールの作品に感激し、当時すでに大家となっていた画家を訪ねて師事しました。また梅原を介してルノワールと知り合った山下新太郎や安井曾太郎、同人誌『白樺』や画集などで間接的にルノワールの作品を知った中村彝らも、その芸術に多大な影響を受けたと言われます。本章では、同時代人としての画家・ルノワールに遭遇し、その作品に学んだ日本人画家たちの作品が並びます。

    第3章 印象派の時代

    1874年、パリにあった写真家ナダールのスタジオで「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社展」、世にいう「第一回印象派展」が開催されました。ルノワールはクロード・モネ、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレーらとともにその中心メンバーとして展覧会に参加。それまで王道とされたアカデミックな絵画様式に対し、大胆な筆致で移ろいゆく自然をとらえた彼らの作品は賛否を呼びます。その後、ルノワール自身は印象派の活動から徐々に距離を置くようになりますが、印象派の画家たちがサロン中心主義のフランス美術界に投じた一石は、やがてフランスにとどまらず世界中の美術界を巻き込み、その歴史を大きく変えていくことになるのです。本章では、ルノワールと同時代に活躍した印象派の画家たちの作品が一堂に会します。

    第4章 そして、わたしたちのルノワールへ

    熊本県立美術館の所蔵する《胸に花を飾る少女》は、開館間もない昭和54年度に購入され、長らく地域の人々に親しまれてきました。同様に、今日では多くのルノワール作品が各地の美術館に収蔵されており、わたしたちは気軽にその芸術に触れることができます。ルノワールが日本で最もポピュラーな西洋画家のひとりとしての地位を築き上げた所以の一つは、こうした作品の身近さにもあるといえるでしょう。本章では、日本国内に所蔵されるルノワール作品を一堂に集め、ルノワールという画家とその作品が、いかにして私たち日本人に愛されるようになっていったのかを探ります。

    主な展示作品を紹介
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 ポーラ美術館蔵
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《麦わら帽子の少女》 呉市立美術館蔵
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《三人の浴女》 埼玉県立近代美術館蔵
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《パリスの審判》 ひろしま美術館蔵
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《ルーベンス作「神々の会議」の模写》 国立西洋美術館蔵
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《モーリス・ドニ夫人》 諸橋近代美術館蔵

    熊本県立美術館の開館50周年記念展にふさわしく、本展には日本各地の美術館からルノワールの名品が集結します。幸福感に満ちた色彩世界を堪能できるのはもちろん、かつて「遠い異国の画家」であったこの巨匠が、いかにして日本の人々に受け入れられ、親しまれる存在へとなっていったのか。その歩みを詳細に知ることができる貴重な機会となりそうです。ルノワールに影響を受けた日本人画家の作品と見比べながら鑑賞することで、近代日本における西洋美術受容の一端も見えてきそうです。(美術展ナビ)

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