白麗(三山凌輝)

     項翼とは対照的に、前線へ斬り込むのではなく、遠距離から敵将を狙い、戦場へ大きな影響を与える。

     原作の函谷関初日では、臨武君と戦う秦将・鱗坊を離れた地点から射抜き、明確な戦果を挙げる。

     さらに遠距離から秦軍の要所を狙い続けたため、蒙恬は白麗を放置できないと判断。楽華隊の機動力を生かして一気に接近し、自由に弓を使わせないよう動く。

     映画版でも、この攻防を拾い、白麗が矢をつがえた瞬間から標的へ届くまでの緊張感と、それを崩そうとする蒙恬の速さを対比させている。

     原作では後に、白麗が蒙武と汗明の一騎打ちへ弓で介入しようとし、それを阻止するため蒙恬が動いた結果、蒙恬が汗明の一撃を受ける展開へつながっていく。

     しかし本作では、合従軍戦の二日目以降や蒙武対汗明の決着まで描かれないため、白麗のさらなる見せ場は、続編が製作され、原作に沿って物語が進む場合に持ち越されることになる。

     また原作では、項翼が白麗を守るように戦う場面を通して、二人の腐れ縁めいた関係も見えてくるが、映画では初登場人物が多いためか、まず楚の若き二枚看板として機能が整理されている。

     演じる三山凌輝は、長い髪と端正な顔立ち、獲物を静かに見据える冷たい眼差しによって、原作の中性的な美貌を再現した。

     身体を大きく動かさずとも、矢を構えた瞬間に戦場の空気を変える。派手な接近戦とは異なる恐怖を成立させた点が見事である。

    ZAKKY

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