2026.08.02 ![]()
BY FRONTROW Editorial Dept.

写真:スプラッシュ/アフロ
7年がかりで完成させた映画のコピーが、公開前に突然消えた。ニコラス・ケイジ主演の第2次世界大戦スパイスリラー『フォルティチュード(Fortitude)』のプロデューサーが、Netflixを相手取り、少なくとも1億500万ドル(約165億円※)の損害賠償を求める訴訟を米国時間7月29日に起こした。(フロントロウ編集部)
※2026年8月2日時点の為替レートで換算
7年と4,500万ドルが詰まった未公開作
米ハリウッド・リポーター(THR)によると、脚本家兼プロデューサーのサイモン・アフラムと、アフラムが経営する英国の製作会社Op-Fortitudeが、カリフォルニア州の連邦裁判所に提訴した。問題の映画は第2次世界大戦中、連合軍がナチス・ドイツを欺くために展開した実在の欺瞞作戦『フォーティテュード作戦』を題材にした作品だ。アフラムが7年をかけ、4,500万ドル以上の自己資金を投じて完成させた作品で、完成後、Netflixを含む配給会社への販売を進めていた。
監督を務めたのはサイモン・ウェスト。ニコラス・ケイジが主演を務めた1997年のアクション映画『コン・エアー』(Con Air)や、アンジェリーナ・ジョリー主演の『ラーラ・クロフト/トゥームレイダー』(Lara Croft: Tomb Raider)で知られる実力派だ。出演陣も豪華で、マシュー・グード、マイケル・シーン、ベン・キングズレーといった英国を代表する俳優たちが名を連ねている。
Netflixのオフィスで何が起きていたか
訴状の記述によれば、アフラムは今年6月15日、Netflixの試写用として映画の暗号化されていないマスターコピーを収めたハードドライブを渡した。しかし同月25日、Netflixのオリジナル映画部門のディレクター、ショーン・バーニーから異変を告げるメールが届いた。
「先週、オフィスのデスクからかなりの量のドライブが盗まれた。セキュリティチームと対応しているが手がかりはない。海賊版の流出に備え、監視チームが警戒中だ」
訴状ではNetflixが盗難の詳細や、警察への被害届の有無について情報を開示しなかったとも主張されている。盗まれたハードドライブには暗号化されていない完成版が保存されていたため、製作側は海賊版の流出によって作品の市場価値が損なわれたと主張している。
Netflixは責任を否定、訴訟の焦点は
Netflixはザ・ハリウッド・リポーター(THR)への声明で訴えを全面否定した。
「Netflixは、業界標準の適切な保護措置が取られていない状態で納品された映画の損失リスクを負う義務はないと主張する。我々は『フォルティチュード』の権利を保有していないが、コンテンツセキュリティを重視しており、製作チームをサポートするための措置を追加で講じた。これには徹底的な調査の実施と、既知の海賊版サイトを監視するサービスの提供が含まれる」
アフラムは声明の中で、「この作品は自分ひとりの映画ではない。7年間、並外れたキャストが命を吹き込んでくれた表現の場が、世界に届けられるべき機会を失おうとしている」と訴えた。訴訟では盗難によって映画の販売機会が損なわれ、世界公開によって得られたはずの知名度や評価も失われたと主張されている。映画は現在も買い手を探しており、今後の公開予定は明らかになっていない。
