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立命館大学映像学部 中村彰憲教授による、海外ゲーム情報を中心とした連載ブログ。今回は、開幕となった“ChinaJoy 2026”と中国市場2026年上半期の速報値についてリポートする。
ChinaJoy 2026開幕!
中国ゲーム業界にとって、もっとも熱い季節がやってきた。今年で23回目を数えるアジア最大級のデジタルエンターテインメントイベント“China Digital Entertainment Expo & Conference 2026(ChinaJoy 2026) ”の開催だ。2026年7月31日~8月3日まで、上海新国際博覧中心での開催となる。その最新情報と、あわせて中国市場2026年上半期の速報値が報告されたので、本稿にてお届けしたい。
■900企業が1000タイトルを出展
会場の上海新国際博覧中心(SNIEC)
23回目を迎えるChinaJoyは、出展企業数900あまりと、例年にも増して出展企業がも多くなっている。そのうち、外資系企業は、カナダ、イギリス、ドイツ、韓国そして日本を含む275社を数える。
一般向けの出展は350社。ビジネス向けの展示は500社にのぼる。そのうちのおよそ半数の46.6%が外資系企業であるのが特徴だ。日本人によって廈門で創業されたスタジオなども含めるとその数はさらに増えることだろう(筆者とともに
『ファミ通ゲーム白書』で中国パートを執筆する高橋玲央奈氏が率いるレオナソフトもそのひとつだ)。
あわせて、Steamでも600ものゲームタイトルがChina Joy特集のラインアップとして加えられている。中国ゲーム産業のトレンドを計る上では、現場に足を運ぶのが肝要だが、オンラインでも中国イベントの最先端の一端を楽しむことができる。例年同様、PlayStation、 Blizzard Entertainmentといった海外大手によるブースを皮切りに、Tencent、NetEase、Zhejiang Century Huatongといった中国大手企業がしのぎを削る開催となるようだ。
■テーマは“Level Up with AI” 注目すべきは、本年のテーマが“Level Up with AI”とされている点だ。まさにAIとともに歩まんとしている中国のゲーム業界を象徴するテーマとなっている。2025年12月の中国における調査によれば、現在、中国ゲームスタジオの8割がゲーム制作においてAIを活用していることが明らかになっており、5割程度とされる欧米や日本のゲーム業界と比較して、大きく前に踏み出している印象だ。
中国のユーザー層が、AI活用に関して、そこまで違和感を覚えていないという点も大きいだろう。ちなみにAIショート動画の市場規模は2025年の段階で3800億円を超え、もはや日本のコンソールゲームのソフト市場を凌駕する規模となっており、さらにその成長率は現在も加速している。
このような中、今年のChinaJoyではUnitree Robotics、LimX Dynamics、MagicLab、Lumi Robotics、 Yunmu Intelligent Manufacturingなどのロボットメーカーがヒューマノイドロボットを披露することが決定している。
開幕前日発表、中国市場26年上半期の速報値
SNIECに隣接するケリーホテルでは毎年さまざまなカンファレンスが開催される
ChinaJoyの前日には、ChinaJoy会場に隣接する上海浦東嘉里大酒店(Kerry Hotel Pudong・以下、ケリーホテル)で関連カンファレンス“China Digital Entertainment Conference(CDEC)”が開催された。そこでは中国音像与数字出版協会(中国音数協)の第一副理事長で游戯工委(GPC)主任委員の張毅君氏が2026年上半期の市場規模を報告している。
中国音数協は、中国市場について年に2回報告しているが、そのひとつがChinaJoyに関連する2026年7月末の“CDEC(上半期の市場を発表)”。さらに、12月開催の“中国ゲーム産業年次会”にて、通期の市場規模について発表するのが恒例になっている。
張氏によれば、2026年上半期における中国ゲーム市場規模は1884.5億元(3兆7690億円)となり、前年比12.17%増となった。なお、アカウント数はここ数年来、高止まりしているが、その数は7億アカウントに迫るところまで来ている。とはいっても、もはや誰にも驚かれないのが相変わらず中国らしい。
中国音数協 第一副理事長兼游戯工委(GPC)主任委員、張毅君氏
■SNS内ゲームアプリとPCダウンロードの伸び顕著
中国上半期のゲーム市場推移(左)およびアカウント数推移(右)
各セグメントで見ると、モバイルゲームが相変わらずのトップで1352.10 億元(2兆7042億円)。前年比7.90%増と全体の成長率よりは低いが、相変わらず全体市場の71.75%を占める。
これに対し、ひさびさに躍進を遂げたのがPCにダウンロードしてインストールするタイプのゲームだ。市場規模は452.88億元(9057.6億円)と前年比 27.92%増。市場全体の24.3%を占めていることから、上半期でもっとも勢いのあるセクターはここであると言えるだろう。

中国上半期のPCゲーム市場推移
中国市場において、具体的にどの作品が貢献しているのかを想定する上で重要なのカテゴリーとして、eスポーツと二次元ジャンル(アニメ・美少女系)の市場動向があるが、今回の発表では、eスポーツは前年同期比896.16億元(1兆7923.2 億円)、前年比 11.12%増となった一方で、二次元系(アニメ風)ゲームは132.69億元(2653.8億円)、前年同期比 8.97%減と、ここ数年と同様需要が頭打ちとなる傾向にある。
そこで、何が市場に貢献したのかを思い起こしてみると、昨年(2025年)来人気を持続させ、マルチプラットホーム戦略で成功したTencentによる新作『
デルタフォース』の存在が浮かび上がる。
その一方で、近年の大ヒット作である『
黒神話:悟空』のような新規有力作リリースの欠如や、収束に向けて動いているNintendo Switchなど複数の要因が重なり、コンソールゲーム向けゲームの市場規模は前年同時期から7.6%減の9.61億元(192.2億円)となった。
中国上半期のコンソールゲーム市場推移
■海外展開の規模増大と貢献タイトル
特筆すべきは中国国産の自主開発タイトルの海外展開である。今回その規模が、前年同期比30.22%増の123.72億米ドル(約1.86兆円)に達したことに筆者は着目している。もしこの調子で進んだと仮定すると、2026年中国産ゲームの海外展開は3.6兆円強ということになり、これは規模として日本のゲーム市場全体に匹敵するものとなる。

中国産ゲーム上半期の海外売り上げ推移
規模増大の理由としては、すでに安定してヒットしている作品に加え、新作が相次いでヒットしたことが挙げられた。具体的には、昨今、世界的に人気になっているFUNFLYによるサバイバル系RPGゲーム『ラストウォー:サバイバル』とCentury Gamesによる『ホワイトアウト・サバイバル』が、この躍進に貢献していると筆者は見ている。
裏づけとなるのが、2025年のIAP収益(ゲーム内収益)グローバルランキングだ。Sensor Towerによると、このランキングにおいて上記の『ラストウォー:サバイバル』と『ホワイトアウト・サバイバル』が1・2フィニッシュを飾っている。
Sensor Towerのデータは、モバイルのみのものだが、いまやモバイルは世界最大のゲームプラットフォームであり、躍進に寄与しているしても大げさとは言えないだろう。このあたりの状況は、業界最大のゲーム市場年鑑
『ファミ通ゲーム白書2026』において、筆者が北阪幹生氏、高橋玲央奈氏とともに担当している中国パートにおいて、詳しく書かせていただいているので、機会があれば手に取ってほしい(間もなく発売されるらしい)。
こうした状況下で、いよいよChinaJoy 2026が開幕する。出展が決まっている上記のCentury Gamesには、個人的に注目している。このあたりについては、改めてリポートしたいところだ。
※1元=20円、1米ドル=150円で換算しています
※海外関連記事につき、会期と配信にずれが生ずる場合がございます
※本稿で言及のあったゲーム業界年鑑『ファミ通ゲーム白書2026』は8月6日発売予定です
