【写真を見る】そっくり!パク・ジョンミン&ヨン・サンホ監督に、似顔絵と名前が彫られた“世界に1つだけ”のハンコが送られた

    上映前の会場から大きな拍手を浴びて登場した、サンホ監督とジョンミン。試写会の前日には最大震度7を観測する「令和8年熊本地震」が発生したが、「こんばんは」と日本語で挨拶したジョンミンは、「日本に悲しいニュースが流れていると聞きました。喪失が大きいと思いますが、ぜひ力を出していただきたいと思います。僕たちもずっと、声援を送り続けたいと思います」と被災地に寄り添いながら、メッセージを送った。

    本作は『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)を手掛け、Netflixドラマ「ガス人間」の脚本とエグゼクティブプロデューサーも務めたヨン・サンホ監督が、2018年に発表した自身初のグラフィックノベルを映画化したサスペンス・ミステリー。韓国でもっとも美しい判子を刻む盲目の篆刻家、ヨンギュ(クォン・ヘヒョ)。息子のドンファンは偉大な父を敬い、彼の事業を陰ながら支えていた。そんなある日、40年前に失踪した母の白骨遺体が発見される。

    映画化までの道のりについて振り返ったサンホ監督は、「『ガス人間』の片山慎三監督にお会いして。監督の前作を観ていたら、小さな予算にも関わらず、立派なものをつくっている。自分も低予算の映画をつくってみようと思いました」と片山監督から刺激を受けたことを告白。「そこでパク・ジョンミンさんに連絡をして『一緒にやりませんか?』とお話ししたところ、快く応じてくださった。そのように意気投合して、いまこの場に立っています」と語った。

    主演のパク・ジョンミンは、主人公ドンファンと1970年代の回想シーンに登場する若き日の父ヨンギュの2役を演じ、第62回百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞した。一人二役という難役も「俳優というのは、キャラクターをうまく表現しなければいけない。そのために悩むのは、常に同じこと」とジョンミン。「特に大変だったことはないんですが、あえて言うならば、低予算、短い時間のなかで2人の人物を行ったり来たりしながら、演じることが大変でした」と明かしつつ、「それにもかかわらず、お金を一銭ももらわなかったというのは…大丈夫です」と茶目っ気と共に、ノーギャラ出演だと続けて会場から大きな拍手を浴びた。

    ハンコを作る職人を演じたジョンミンは、役作りとして「ハンコを作るための技術を習った」という。「そこで習った技術を使って、監督にハンコを彫って差し上げました。彫ってあげたのはよかったんですが、間違えてしまって。“ヨン・サンホ”と彫るところ、“ヨン・ホサン”と彫ってしまった」と苦笑い。サンホ監督は「ありがとうございます」とお礼を述べながら、「一番、嫌な契約を結ぶ時にその判子を使いたいと思います」と笑顔を浮かべた。さらにジョンミンが「おそらく、僕と契約をする時に使うんじゃないかな」と思案し、サンホ監督が「休み時間に、スタッフや同僚の方にもハンコを作ってあげていた。他の人の名前は、間違っていなかった。僕のものだけ間違っていた。僕には、練習用として作ったのではないか」とこぼすなど、2人の息の合った掛け合いに終始、会場は温かな笑いに包まれていた。

    またこの日は、ドンファンの父の職業が篆刻家であることにちなみ、日本を代表するこの道60年の女性印章彫刻師の伊藤睦子が駆けつけ、ジョンミンとサンホ監督の似顔絵と名前が彫られた“世界に一つだけ”のハンコを贈呈する場面もあった。サプライズプレゼントを受け取った2人は、興味津々の様子でハンコを見つめながら「ありがとうございます」と大感激。

    ジョンミンは「一生、持ち続けます」と熱っぽく切り出し、「本当にステキ。今後、もし結婚することがあれば、そしてもし子どもが生まれたりするのであれば、代々の家宝にしたいと思います」とすっかり気に入った様子。「もともとこういったプレゼントは、あまり喜ばない人間」だというサンホ監督も、「これは本当にうれしい」と笑顔を見せ、「今後、作品の契約を結ぶ時にはこのハンコを使いたい」と早くも出番を待ち望むと、会場から大きな拍手が上がった。伊藤は「うれしいです」と2人の反応に目尻を下げ、「1日かけて彫りました。『顔』という映画の題なので、似顔絵がいいかなと思って」とコメント。ジョンミンは「お店に遊びに行きます」と再会を楽しみにしていた。

    そして花束ゲストとして俳優の穂志もえかも登壇するなど、2人にたくさんのプレゼントが用意されていた。韓国映画からあらゆる刺激をもらってきたという穂志は、「観終わった後に、動けない時間がありました」と本作の感想を吐露。「監督の作品は、貧困や差別、格差をまっすぐに見つめる力がある。映画の力強さとして圧倒される。そしてどんな悪そうなキャラクターにも愛情がある。だからこそ、すべてのキャラクターの立場を想像することができました」と惚れ込んだと語る。

    サンホ監督は「ここに来て、圧倒されっぱなしです」としみじみ。「ハンコに圧倒され、花束があまりにも大きかったので、それにも圧倒された」と会場を笑わせながら、「感想にも圧倒されました。映画をよく観てくださって、本当にありがとうございます。これからも頑張って、いい映画をつくり続けたいと思います」と励まされたと感謝しきり。ジョンミンが「監督の映画に出演してみたいですか?」と尋ね、穂志が「もちろんです」と熱望するなか、ジョンミンが「僕を通してくださったら、手数料をちょっとだけいただいて繋ぎます」とジョークを飛ばすなど、ステージが楽しい雰囲気に満ちあふれたこの日。

    穂志から、韓国の俳優がどのような演技のトレーニングをしているのかと質問を投げかけるひと幕もあったが、ジョンミンは「映画や本など、いろいろなものを観るようにしています。俳優にとって重要なのは、感情の幅を広く使うことができるよう、さまざまな感情を自分自身に身につけておくこと。人間が生きていくうえで得る感情は、限界があると思うんです。だからこそ、さまざまな人の視点から、いろいろなものを見るようにしています」と真摯な回答を繰り出していた。

    取材・文/成田おり枝

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