俳優として精力的に活動する一方、監督として短編映画を手がけるなど、名実ともにキャリアを積み上げてきた岡本多緒。最新主演作では世界的な評価を獲得し、俳優として新たな輝きを放つ。プライベートでは新しい命をおなかに宿し、公私共に新しいステージを迎える彼女の、今の心境とは──。
2026年5月23日、第79回カンヌ国際映画祭の授賞式で俳優の岡本多緒とヴィルジニー・エフィラが濱口竜介監督作品『急に具合が悪くなる』にて最優秀女優賞を受賞。多緒の受賞は日本人女性初となる快挙で、作品中でも交流を深めたふたりの授賞式のステージ上でのやり取りやスピーチは世界中の注目を集めた。世界最高峰の映画祭で栄誉に輝いた今、その瞬間に感じたこと、作品に込めた思いを聞いた。
──カンヌ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞されたお気持ちは?
1カ月以上経った今でも実感がわかず、信じられないです。授賞式への招待も直前にお声がかかったので、ヴィルジニーと一緒に「ん、なぜ私たちも招待されたのだろう?」という感じでした。発表された瞬間はもう、本当に驚きで頭のなかが真っ白になりましたね。
──授賞式で「シャネル」のドレスとハイジュエリーを着用されましたが、その装いについてどんな思いがありますか?
シルクのドレープが重なったブラックのドレスは、レッドカーペットにふさわしいとても優雅なデザインでした。そこに、彗星モチーフの“コメット クチュール”のダイヤモンドのイヤリングを合わせたバランスが素敵で、フレッシュな気分で晴れの舞台に立てたことが嬉しかったです。
5月23日、カンヌ国際映画祭クロージングセレモニーのレッドカーペットに登場した多緒。ドレスは「シャネル」2026年秋冬コレクションより、刺繍が施されたシルク仕立て。「シャネル」の“コメット クチュール”のイヤリングや“プリュム ドゥ シャネル”のリングが、特別な輝きを引き立てる
©CHANEL
──本作に出演し、影響を受けたことや印象的だったことは?
現場に入る前の準備やフランスでの撮影期間を含め、作品に関わるすべての経験が今までにないほど豊かで、自分の人生に良い変化をもたらしてくれました。なかでも、撮影中に濱口監督がおっしゃった「分からないまま飛び込んでみてほしい」という言葉が記憶に鮮明に残っています。当初、真理という役を理解するために監督に質問ばかりしていたんですが、「決まり事からはいったん解放されてほしい、分からない状態の新鮮な感覚を大事にしてみませんか?」 と言われました。それ以来、不確かなことや分からないことに対して必要以上に怖がらず、飛び込んでも良いのかな、と思えるようになりました。その場でしか生まれない偶然性を大切にする、そういった新しい考え方を知れたという意味でも、今回の作品は私の人生の転換点になったと思います。
──作中では、ケアする側、される側の分断を超えていく葛藤を描いていますが、多緒さんご自身、人間関係で大切にしていることは?
シンプルに、人に“関心を寄せる”ことです。俳優やモデルという職業柄、映画作品のように長い時間を共にする人もいれば、今日の撮影のように1日限りの出会いになる人も多いのですが、どんなときもお互いに気持ちよく仕事ができたらいいなと思っています。そのためにはやはり、相手の話に耳を傾けること、他人の考えに興味を持つということを意識していきたいですね。
リラクシングにまとう柔らかなリボンの煌めき
巻いて、結んで──クチュールメゾンならではの生地の柔らかなドレープやノットの表情を、ダイヤモンドとホワイトゴールドで映し取ったリュバン(リボン)をモチーフにしたブローチ。リュバンがもつ愛らしさを、アシンメトリーなフォルムと硬質な輝きでモダンに解釈。
Bijoux de Diamants コレクションより“リュバン ドゥ シャネル”ブローチ[WG×ダイヤモンド]〈上から〉¥16,900,000~、¥18,900,000~[ともに受注オーダ一・参考価格] ニット ¥845,900(すべてシャネル/シャネル カスタマー ケア センター)
──ご自身で企画された短編映画『サン・アンド・ムーン』、『マイ・スウィート・パーラ』では、監督や脚本も手がけられています。今後どんな作品を予定していますか?
ドキュメンタリーに挑戦してみたいです。とはいえ、これまで手がけた作品とは制作の手法やスキルが異なるため、まずは勉強し直すことからスタートしなければなりません。もともとノンフィクション映画が好きなのですが、先日、俳優のケイト・ブランシェットさんも創設に関わっている難民映画製作者を支援する「難民映画基金」のイベントに登壇させていただいて、ドキュメンタリー映画ならではのメッセージに強く心を惹かれました。近い将来、レンズを通して自分の知的好奇心をアウトプットすることができたらいいなと思っています。


パリ郊外の介護施設「自由の庭」の施設長、マリー=ルー・フォンテーヌは、理想の介護を目指しながらも人手不足や現実との狭間で苦悩していた。そんな彼女が出会ったのは、がん闘病中の日本人演出家・森崎真理。真理が手がける一人芝居に心を動かされたマリー=ルーは、偶然の縁をきっかけに交流を深めていく。病の進行とともに2人の絆は深まり、やがて魂を通わせるような特別な関係へと変わっていく。
『急に具合が悪くなる』公開中
第79回カンヌ国際映画祭 最優秀女優賞受賞(ヴィルジニー・エフィラ&岡本多緒)
出演:ヴィルジニー・エフィラ 岡本多緒 長塚京三 黒崎煌代
監督:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
配給:ビターズ・エンド
提供:Soudain JPN Partners
フランス=日本=ドイツ=ベルギー合作
https://www.bitters.co.jp/soudain/
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お問い合わせ先
シャネル カスタマー ケア センター tel: 0120-525-519
関連情報
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©︎marie claire/photos: Seiji Fujimori / styling: Rena Semba / hair: Chika Keisuke / make-up: Tomomi Shibusawa〈beauty direction〉 / nail: Hiro / realization: Shino Sakurai
Profile
岡本多緒
14歳でモデルデビュー。パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのコレクションや雑誌、世界的メゾンの広告などでトップモデル「TAO」として活躍する。2013年に映画『ウルヴァリン:SAMURAI』で俳優デビューし、国内外の話題作に出演。2023年からは拠点を日本に移し、初監督・脚本・出演作の短編映画『サン・アンド・ムーン』が東京国際映画祭に選出。監督最新作『マイ・スウィート・パーラ』が国内外の映画祭で上映されるなど、表現の幅を広げている。主演映画『急に具合が悪くなる』が公開中。
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