こんにちは! そろそろ2026-27年秋冬シーズンのアイテムが店頭に並び始める頃。狙っているアイテムの発売を心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。私が同シーズンのパリ・ファッションウィークでWish Listに追加したのが、「マメ クロゴウチ」と「ツチヤ カバン」のコラボレーションによるレザーアイテムでした。

Courtesy of MAME KUROGOUCHI

Courtesy of MAME KUROGOUCHI
ランウェイで目にした瞬間から気になっていたのですが、ちょうどmyELLEのイベント登壇のために日本へ帰省した際、「土屋鞄製造所」の工房を取材する機会に恵まれました。しかも当日は、「マメ クロゴウチ」の黒河内真衣子デザイナーも同行して、製造の現場を一緒に見学させていただくことに。
そもそも、どのようにしてこのコラボレーションが実現したのか? きっかけは、「レザーグッズに挑戦したい」という黒河内デザイナーの長年の夢にあったようです。「すでに世の中にはたくさんの製品が存在するのに、『マメ クロゴウチ』が作る意味は何だろう、とずっと自問自答していました。そんな中で、『土屋鞄製造所』の子どもたちのために作るランドセルから始まり、長く使い続けることを前提にしたものづくりや企業としての姿勢に感銘を受けました。もしここの職人と協業できれば、ブランドのアイコンとなるような理想のバッグが作れるのではないかと思ったのです」と明かした黒河内デザイナー。

3サイズで展開される“Mayu Bucket Bag”。写真はLサイズとSサイズ。
一方「土屋鞄製造所」でも、工房で働く職人、特に女性スタッフを中心に「マメ クロゴウチ」のファンが多く、互いへの共感が自然な形で今回の協業へとつながっていったといいます。黒河内デザイナーが実際に工房を訪れ、その技術や哲学に触れるなかで構想はさらに膨らみ、バッグ4型とスモールレザーグッズ5型、全9型のコレクションへと結実しました。

金具に刻印されたのは、「マメ クロゴウチ」の新しいロゴ。
黒河内デザイナーは日本の工芸や職人技術への造詣が深く、これまでに有田焼や竹細工、伝統的な染織技術などをリサーチし、それらを現代的なファッションとして再解釈してきました。伝統を引用するのではなく、技術や思想を現代の装いへ翻訳することに重きを置いています。そんな彼女が敬愛する「土屋鞄製造所」は、1965年にランドセルづくりから始まったレザーブランド。子どもたちの6年間の成長に寄り添うという考えのもと、丈夫さや軽さ、美しさはもちろん、修理しながら長く使えることまで見据えたものづくりを続けてきました。こうした両者の背景を考えると、今回の協業は必然的な出会いだったようにも感じられます。

土屋鞄製造所の西新井本店兼工房。※本件取材時(2026年6月)は旧西新井工房を取材。現在、工房のみ別拠点へ移転済。
東京都足立区に位置する「土屋鞄製造所」の工房ではランドセルと、2000年から始まった大人向け商品の製作が行われており、そして店舗も併設されています(※2026年6月取材当時。現在、工房のみ別拠点へ移転済)。工房内の大部分を占めているのが、原点であるランドセルづくり。ここでは革の選定から始まり、裁断、すき、縫製へと工程が進みます。革を薄くすいたり、曲線に合わせて加工したりと、数多くの手仕事を経て立体的なフォルムへと仕上げられていきます。

店舗内に並ぶ色とりどりのランドセル。
ランドセルは150以上のパーツ、約300もの工程から成り立っているそう。これまで私はラグジュアリーブランドのバッグ製作の現場を取材する機会もありましたが、「土屋鞄製造所」のランドセルの工程数は一般的なレザーバッグと比べても2倍近く多い印象です。その理由の一つが、長く使うことを前提とした設計にあるようです。パーツを細かく分けることでメンテナンスや修理をしやすくし、使い続けられるようにするため。細やかな配慮が、ものづくりの隅々にまで行き届いていました。

ランドセル工房内の様子。
続いて、工房2階にある「マメ クロゴウチ」とのコラボバッグの製作現場へ。そこでは、私がWish Listに追加したバケットタイプの“Mayu Bucket Bag”が職人たちの手によって丁寧に作られていました。その名の通り、繭を思わせる立体的なシルエットが特徴で、3サイズで展開されるバッグは、「竹籠が着想源になった」と黒河内デザイナー。
使用されているのは、ランドセルに用いられる革よりも柔らかく、シボが強すぎず、かといってツヤも出すぎない絶妙な質感のレザー。底面にはダーツが施されており、何も入れていない状態でもふっくらとした立体感をキープするよう設計されています。花器や彫刻を思わせるフォルムは、「マメ クロゴウチ」がこれまで追求してきた曲線美とも重なる美しいたたずまい。

編み込みの内側や、ステッチまで美しいディテール。見えない部分にまで宿る丁寧な手仕事に職人技術が光ります。
一見するとシンプルなバッグですが、その製作には想像以上の手間がかけられているようです。特に強度が求められるハンドルの付け根部分と繊細な編み込みを両立させるため、ミリ単位での調整で試行錯誤を重ねたといいます。バッグのサイズによって編み目を変えるこだわりよう。造形としての美しさと、日常で使う道具としての実用性のどちらも妥協しないものづくりこそ、このコラボレーションの神髄なのかもしれません。

計39パーツで構成された”Yama Leather Vest”。ランドセルに用いられるパーツや製造技術を応用し、ファッションピースへと昇華されています。
コラボアイテムの中で特にユニークだったのが、ランドセルの技術から着想を得た”Yama Leather Vest”です。アウトドアベストのように背面にポケットを備えながら、内部にはランドセルにも使われる芯材やクッション材を応用。職人たちは膨らみやダーツの位置を何度も調整しながら、身体の延長のようなフィット感を追求したといいます。フロントの片側には実際に使用されている「土屋鞄」のランドセルのDカンを、もう片側には本コラボレーションを象徴するオリジナルの金具が配されており、両者のものづくりがひとつのアイテムの中で自然に共存していました。

カラビナ付きのキーリングに、ポーチやカードスリーブなどアクセサリーを自由に組み合わせて。
この他に、⾃然界に存在するたおやかな曲線をレザーで表現したポーチやキーリング、それらをジョイントできるストラップ付きのカラビナに、コンパクトなウォレットといったアクセサリーもラインナップ。そして製品には、新しくなったロゴが刻印されています。これら全ては、「私が実際に使いたいアイテムをデザインした」という黒河内デザイナー自身の等身大の感覚から生まれたもの。
![]()
実際に“Mayu Bucket Bag”を約半年愛用しているという彼女は、こんなエピソードも明かしてくれました。「一度、水筒のキャップをきちんと閉めていなくて、バッグの中で水をこぼしてしまったことがあったんです。でも乾いた後も全く問題なく使えていて、その耐久性に感動しました」。ランドセルは毎日子どもたちが使うことを前提としているからこそ、「土屋鞄製造所」では耐久性や強度に関する独自の検査を実施しているそうです。そのランドセルづくりで培われた厳しい品質基準は、今回のコラボバッグにも受け継がれています。とはいえ、防水仕様ではないため、水筒のキャップの閉め忘れにはご注意を。
ランウェイで一目ぼれしたバッグでしたが、工房を訪れた今はその美しいたたずまい以上に、背景にある両者のものづくりの思想に惹かれています。店頭に並ぶ7月末が待ち遠しいのはもちろんのこと、この出会いからどんなプロダクトが生まれていくのか。この継続的なコラボレーションにも期待が高まります!
![「マメ クロゴウチ」と「ツチヤ カバン」が協働! コラボバッグが生まれる工房を訪ねて|ファッション|ELLE[エル デジタル] 「マメ クロゴウチ」と「ツチヤ カバン」が協働! コラボバッグが生まれる工房を訪ねて|ファッション|ELLE[エル デジタル]](https://www.magmoe.com/wp-content/uploads/2026/07/ae3439d2-dc22-401f-81f6-f92736595a30-1024x512.jpg)