「思春期の子育てについて、あなたが直面している悩みや葛藤を聞かせてください」──。組織開発・人材育成のプロフェッショナルである中竹竜二さんの書籍企画始動にあたって、読者の皆さまへのアンケートのお願いを、
「親の言葉は、なぜ届かないのか」──思春期時代の「人を育てる」の難しさ
でお知らせいたしました。
開始直後から予想をはるかに超えるスピードで、非常に多くの方々から切実な思いの丈が寄せられています。ご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。
すでに集まった回答の傾向をいち早く共有すべく、アンケート結果の「中間集計報告」と、全回答を読み込んだ中竹さんからのメッセージをお届けします。
〈調査概要〉
調査方式:「日経BOOKプラス」記事上のアンケートフォームよりインターネット上での回答。
調査期間:2026年6月10日~6月24日。
調査対象:小学校高学年~高校生の子を持つ親。
有効回答数:109人(うち女性86.1%、正社員35.2%)。
9割の親が直面している「対話の限界」と「深い孤立感」
アンケートの回答者で最も多い年代は40代後半で34.3%、次いで50代前半(28.7%)となり、回答者の86.1%が母親でした。裏を返せば、父親の声はまだ十分に届いていない、ということでもあります。
回答者のうち「日常で子どもとのコミュニケーションに悩むことがある」と答えた人はなんと89.8%。さらに、「他の家庭の話やSNSの情報を見聞きして『(この悩みは)うちだけかも』『うちは違うかも』と感じることがある」と答えた人は72.2%に。悩みの対象として挙げるのは「第一子」が67.6%で圧倒的となり、その年代は小学校高学年から大学生まで幅広く分布しました。
これらの数値から浮かび上がってくるのは、「わが子の思春期」に初めて向き合い、戸惑い、孤立感を抱きながら悩む親たちの姿です。

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わが子とのコミュニケーションの問題の中身として上位に挙がったのは「言いたいことが伝わっていない(43.5%)」「本音を言ってくれない(22.2%)」というもの。
自由記述欄には「スマホやイヤホンばかりで会話のタイミングがつかめない」といった、今の時代ならではの“遮断の壁”に突き当たっている悲鳴も端々に。さらには「不登校」など親子の対話が求められる局面をいかに乗り越えるかという難題に対する悩み、「夫婦間で子育ての方針が合わない」といったパートナーシップの悩みなど、複雑に絡み合った問題のリアリティーが浮かび上がってきました。
すでに思春期の子育てを終えた世代の方からも、「あのときの私の対応は、本当に正解だったのだろうか」と、今なお胸に残る迷いの声が寄せられました。

(イラスト:POMO@Ymo/stock.adobe.com)
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これだけの声が集まったこと自体が、一つの発見だった
中竹さんが一つひとつ読みながら最初に発した言葉は「これほど多くの方が『うちだけかもしれない』と、たった一人で抱え込んでいたんだ」でした。でも、これだけの声が集まったこと自体が、その悩みが決して例外ではない何よりの証しだと。「まずお伝えしたいのは、今感じている行き詰まりは、あなたの育て方が間違っているからではない、ということです。そこからしか始まらない」と中竹さんは話します。
そして、この思春期という嵐の時期を、必ずしもネガティブなものとして捉える必要はないのだと中竹さんは続けます。
「思春期の子育ては、ただ大変な時期ということではありません。子どもが思い通りに動かなくなるこの時期は、裏を返せば、人との関わり方を根本から学び直せる時期でもあります。ここで身につけた関わり方は、子育てが終わったあとも必ず生きてきます。職場で人を育てるときも、いつか自分自身が介護や次の仕事に向き合うときも、支えになるはずです」
小手先のテクニックではなく、「構造」の理解を伝えたい
では、なぜ私たちの思いは子どもに届かないのでしょうか。中竹さんは「小手先のテクニックではなく、問題の本質を理解するための視点が必要だ」と指摘します。
「これから準備する書籍を通じて私が提示したいことのキーワードは、子育てで起きる事象の背景にある『構造』を理解するということです。子どもが『別に』とシャッターを下ろしたり、反抗的な態度をとったりする。それは、表面に出てきた『事象』に過ぎません。私たちが本当に目を向けるべきなのは、その裏側にある『構造』です。なぜ子どもはその言葉を選んだのか。その背景にどんな心理や環境があるのか。構造さえ見えてくれば、親の側の声のかけ方は自然と変わってきます」
日々子どもと接していると、つい相手の「言葉」そのものに一喜一憂し、感情的に言い返してしまいがちです。しかし、そこから一歩引いて「なぜこの子は今、こうした態度をとっているのか」、そして「なぜ自分は、心がざわつくのだろう」という背景の構造を見つめること。それが、こじれた糸を解きほぐす第一歩になるのだと、中竹さんは強調します。
同時に、身につけたいのは「課題を分離する」という視点です。
「たとえば、思春期の子をめぐって夫婦の方針が合わない、という悩み。表向きは子どものことで悩んでいるようでいて、解きほぐしてみると、本当に引っかかっているのは夫婦のすれ違いのほうだった、ということがあります。今自分を苦しめているのは、子ども自身が向き合うべきことなのか。夫婦の間で解くべきことなのか。それとも、親である自分自身の不安なのか。ごちゃまぜになっているものを、一つずつ分けていく作業が必要です。
これらを冷静に分解して整理するスキルもまた、今の苦しみを解きほぐすためには不可欠になるでしょう」
子育ての扉を開くカギは、必ずある
アンケートは現在も募集中で、編集部では中竹さんと共に、悩みの詳細を読み解くための当事者へのデプス・インタビュー(深層取材)も同時に進めています。
「子どもとの関係が閉ざされている、本音が全く見えないと感じていたとしても、どうか焦らないでください。閉じているように見えても、扉を開く手がかりは必ずあります。集まった一つひとつの声を、私も読み解いていきます。わが子との関係を結び直していく道を、皆さんと一緒に探していきたいと思っています」
本プロジェクトの土台となるアンケート調査は、8月15日まで回答を募集しています。手探りの子育ての中で感じるリアルな迷いや声を編集部までお寄せください。皆さんから集まった回答をもとに、今日から実践できて将来にわたって長く効く、親子関係の育み方のアプローチを、中竹さんが組み立てて体系化していきます。どうぞご期待ください。
なお、今回声を寄せてくださった方の多くはお母さんでした。けれど、思春期の子どもとの向き合い方に戸惑うのは、お父さんも同じはずです。お父さんの声も、ぜひ聞かせてください。
文/宮本恵理子
【アンケートご協力のお願い】(8月15日締め切り)
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