2026年07月28日 16時00分
    AI


    AnthropicはAI・Claudeを開発するために海賊版書籍を使ったとして作家グループに訴えられていましたが、2026年7月27日にAnthropicと原告の和解案が承認されました。しかし、その裁判資料からAnthropicが「数百万冊もの印刷された書籍を製本から裁断してスキャンした後、AIのトレーニングのためだけに使用して、原本を廃棄していた」ことが明らかになり、一部から批判を集めています。

    Anthropic destroyed millions of print books to build its AI models – Ars Technica
    https://arstechnica.com/ai/2025/06/anthropic-destroyed-millions-of-print-books-to-build-its-ai-models/


    AI Companies Are Buying Tons of Old Books Because They’re Free of AI Slop
    https://www.404media.co/ai-companies-are-buying-tons-of-old-books-because-theyre-free-of-ai-slop/

    資料によると、Anthropicは2024年2月にGoogleブックスの書籍スキャンプロジェクトの元パートナーシップ責任者であるトム・ターベイ氏を雇用し、「世界中のあらゆる書籍を入手するように」という指示を送ったとのこと。Googleは2015年に書籍スキャンのフェアユースを巡った裁判で有利な判決を勝ち取っており、Anthropicはそれを再現することを目的としていたとみられています。

    書籍のデータが重要視される理由として、AI企業向けに大量の書誌データや書籍情報を提供しているISBNdbは、「2022年以前に出版された印刷書籍はAI生成テキストを含まないため、低品質なAI生成文章をAIが学習してしまう『AIスロップ』の悪循環を避けられるため、AIトレーニングデータに最適です」と説明しています。


    Anthropicはまず、質の高いトレーニングデータを求めて海賊版書籍のデジタル版を収集しました。しかし、2024年に3人のアメリカ人作家がAnthropicを訴え、2025年の判決では「AI企業が合法的に取得した書籍でAIをトレーニングするのに著者の許可は必要ない」という判決が下されましたが、Anthropicが海賊版サイトのデータを使ったことについては問題視されました。そこでAnthropicは、海賊版電子書籍からより安全な情報源である紙の本へと方針を転換します。

    「AI企業が合法的に取得した書籍でAIをトレーニングするのに著者の許可は必要ない」という判決が下される – GIGAZINE


    Googleの場合は、図書館から借りた本をスキャンしてから返却する方針を採用したため、特許取得済みの非破壊カメラを主に用いました。一方でAnthropicは中古書籍を大量購入して破壊処理することにより自社でデジタル化する方針を採用しました。裁判資料では、安価かつ高速に大量の書籍をデジタル化するため、この方法を採用したとされています。

    多くの場合、Anthropicは購入した書籍の背表紙を裁断してページをばらばらにし、高速スキャナーで1ページずつ読み取ってデジタルデータ化した後、OCR(光学文字認識)によってテキストデータへ変換しました。使用済みの紙の原本は全て廃棄されたとのこと。

    こうした需要は古書市場にも影響を与えています。オランダメディアのNL Timesによると、古書店では近年、IT企業とみられる購入者が一般にはあまり知られていない専門書や絶版本を大量購入するケースが報告されているそうです。古書業界ではAI企業による購入は売り上げ増加につながるとの見方もある一方で、希少本や専門書が大量に失われることで、将来的な入手性や価格に影響を与える可能性も指摘されています。404 Mediaに語った古書商によると、希少本がこのAIのトレーニングに用いられており、戦争・火災・数世紀にわたる取り扱いを生き延びた本が破壊的スキャンにより廃棄されていると考えられるとのこと。

    Anthropicは大手小売業者から書籍をまとめて購入しており、この過程で貴重な書籍が破壊されたという記述は裁判資料にはありませんでした。しかし、一部の希少本ディーラーたちは、「AIモデルの訓練のために、初版本など珍しい版の本を破壊してしまっているのではないか」と懸念しています。


    AnthropicはAIのトレーニングのためにスキャンした後、原本を再販売などすることなく廃棄するため、法律上はフェアユースに該当し問題ないとされています。しかし、GoogleやInternet Archiveが非破壊スキャンを採用しているにもかかわらず、コストや迅速さのために貴重な本が失われてしまう可能性のある方法を採用しているということで、Anthropicに対する批判の声が挙がっています。これに対しAI企業・SpaceXAIのイーロン・マスク氏は「SpaceXAIチームに、図書館にある希少な書籍を保存し、単に背表紙を切り離してスキャンするのではなく、手間をかけてスキャンするよう依頼しました」と反応しています。

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