山々に囲まれた諏訪湖の西岸。かつて「糸の都」と称され、のちに「東洋のスイス」と呼ばれた長野県岡谷市が、今年、市制施行90周年の節目を迎えている。人間で言えば卒寿、歴史の重みに静かにひれ伏すような年齢だ。この古き佳きモノづくりの街が、自らのアニバーサリーに選んだ起爆剤は、あまりにも予想外で、どうしようもなく尖っていた。

    諏訪湖の底を揺らす、90年目の初期衝動

    UNAGI ROCK FESTIVAL=ウナギロックフェスティバル。
    その名前を聞いたとき、思わず耳を疑った方も多いのではないだろうか。ウナギとロック。どういう関連性があるのか? 岡谷のことを知らない方には、カオスなミスマッチにしか思えない。検索してみると、ブラジリアン柔術の締め技がヒット! もしかして格闘技イベント? いやいや、正真正銘のロック・フェスティバルなのだ。
    実は岡谷は「うなぎの街」をPRしている。うなぎ登りという言葉もあるが、静まり返る諏訪湖の水面に、ディストーションで唸りをあげるベースの重低音が振動する情景を想像したとき、新しい地平に向かっていることを実感し、ぞくっとする感覚が襲ってきた。
    綺麗にまとまった祝賀式典なら、どこでもできる。厳かな雰囲気の祝典は岡谷市が別の機会にやるさ。この泥臭く、しかし職人たちの執念が染みついた地表から湧き上がるのは、アンプを限界まで震わせる爆音。それは100周年に向けたシャウトなのではないか!

    「岡谷市制90年」「うなぎのまち岡谷の会発足30周年」を銘打った挑戦

    『UNAGI ROCK FESTIVAL 2026』は、90周年を記念する企画が行われる街の「LAKE SUWA WONDERLAND プロジェクト」のメイン・イベントとして位置付けられている。30代〜50代の音楽好きをメインターゲットに、ファミリー層やライブ初心者、フェス未経験の方も楽しめるフェスを目指す。岡谷出身の音楽プロデューサーが仕掛けた。

    「音楽の仕事に携わる中。いつか岡谷で音楽フェスを開催して、自分を育ててくれた、この風光明媚な素敵な街を有名にしたいと数年ずっと考えていました。人口も減少し若者も減ってしまったけど、だったら大人が青春時代に戻って楽しめるロックフェスにしてしまえ! 多くの大人のロックファンに観光がてら遊びに来て欲しい。そんな気持ちでゼロから立ち上げた“ウナギロックフェスティバル”です。素晴らしいアーティストの皆さんが来てくれます。みんなで盛大に迎えましょう」

    10月3日はChar、FIELD OF VIEW、nobodyknows+、RED WARRIORS、サスケ、SEAMO。

    Char(10月3日出演)

    Char(10月3日出演)

    FIELD OF VIEW(10月3日出演)

    FIELD OF VIEW(10月3日出演)

    nobodyknows+(10月3日出演)

    nobodyknows+(10月3日出演)

    RED WARRIORS(10月3日出演)

    RED WARRIORS(10月3日出演)

    サスケ(10月3日出演)

    サスケ(10月3日出演)

    SEAMO(10月3日出演)

    SEAMO(10月3日出演)

    10月4日はDo As Infinity、GOING UNDER GROUND、菊池桃子、LINDBERG、MONKEY MAJIK、wacci、安田レイが集う。

    Do As Infinity(10月4日出演)

    Do As Infinity(10月4日出演)

    GOING UNDER GROUND(10月4日出演)

    GOING UNDER GROUND(10月4日出演)

    菊池桃子(10月4日出演)

    菊池桃子(10月4日出演)

    LINDBERG(10月4日出演)

    LINDBERG(10月4日出演)

    MONKEY MAJIK(10月4日出演)

    MONKEY MAJIK(10月4日出演)

    wacci(10月4日出演)

    wacci(10月4日出演)

    安田レイ(10月4日出演)

    安田レイ(10月4日出演)

    そして開演前に会場を盛り上げる「オープニングアクト」は、MOS、さとう。の出演を予定している。 まさに、幅広い世代に訴えかけるアーティストたちだ。今からワクワクが止まらない!

    MOS(10月3日オープニングアクト出演)

    MOS(10月3日オープニングアクト出演)

    さとう。(10月4日オープニングアクト出演)

    さとう。(10月4日オープニングアクト出演)

    シルクと精密が紡ぐ、ハイブリッドな「音響とグルーヴ」

    岡谷の歴史を紐解くことは、そのまま「リズム」の変遷を辿ることに等しい。明治から昭和にかけて、この街は世界を席巻するシルクの街だった。かつて無数の製糸工場が立ち並び、全国から集まった工女たちが繭(まゆ)から極細の糸を紡ぎ出していた時代。彼女たちの指先が均一に動き、座繰(ざぐ)り機が回る音。そこには、切なくも確かな「反復のリズム」があった。生活のために、生きるために紡ぎ出される糸のリズム。それはどこか、初期のフォークやブルースが持つ、哀愁を帯びたリフレインを想起させる。

    そして時代は下り、製糸業と入れ替わりで岡谷はオルタナティブな進化を遂げる。時計やカメラ、光学機器を作る「精密機械工業」への転換だ。狂いのない歯車、1ミクロンの誤差も許さない金属加工。職人たちが冷たい鉄と対話し、機械が正確無比なビートを刻み始める。

    この製糸の細やかな指先と、精密の冷徹なビートが融合したとき、岡谷独自の「ハイブリッドなグルーヴ」が誕生した。
    それら産業を並行して生まれた合唱文化は地域に企業に根付いていった。諏訪大社に奉納された和太鼓をメロディアスなサウンドに変換させたダイナミックな演奏は、日本の和太鼓カンパニーの源流になった。300人もの市民が揃い打ちする現在の太鼓祭りへと発展している。世界的指揮者・小澤征爾が絶賛した音を誇るカノラホールは岡谷の宝だ。『UNAGI ROCK FESTIVAL 2026』は、そうした音楽文化に、新たな疾風を巻き起こす。

    『UNAGI ROCK FESTIVAL 2026』では、おかやキッチンカーフェス、キッズアクティビティイベントも同時開催。
    諏訪湖を渡る風、フェス会場の熱狂、うなぎの焦げる匂いと味噌の深い香り。フェス飯をかき込みながら、汗まみれで唸るリフを浴びる。体内で炸裂する濃厚な旨味と、耳から脳髄へと突き抜けるノイズ。その瞬間、私たちは岡谷という街の生命力そのものを、文字通り「喰らっている」のだ。
     

    文=いまいこういち

    ライブ情報

    『UNAGI ROCK FESTIVAL 2026』

    日程: 2026年10月3日(土)・4日(日)
    会場: 岡谷市民総合体育館 スワンドーム(長野県岡谷市南宮3-2-1)
    時間: 開場 11:00 / 開演 12:00 / 終演 19:30(予定)

    主な出演者:
    10月3日: Char  FIELD OF VIEW  nobodyknows+  RED WARRIORS  サスケ  SEAMO
    ※オープニングアクト MOS
    10月4日: Do As Infinity  GOING UNDER GROUND   菊池桃子  LINDBERG  MONKEY MAJIK   wacci  安田レイ
    ※オープニングアクト さとう。
     

    料金: 一般券 8800円 / 中高生券 5000円 / VIP指定席券 12000円(※VIPは売り切れ)
     

    LAKE SUWA WONDERLAND実行委員会:岡谷市・岡谷商工会議所・岡谷市観光協会・うなぎのまち岡谷の会 制作運営 株式会社セブンスライブマネジメント

     

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