【今夜はLuckyFes Night】神はサイコロを振らない、「愛」と「量子もつれ」が導く4人の音楽

    近年のロックシーンにおいて、圧倒的なライブパフォーマンスと文学的な歌詞世界で独自の存在感を放つ神はサイコロを振らないだが、2025年には初の日本武道館公演を、2026年にはぴあアリーナMM公演を成功させ、バンドとしてさらなる飛躍を遂げる一方、その楽曲は人の感情や人生観、さらには科学や哲学といったテーマまでをも内包し、多くのリスナーの共感を集めている。

    <LuckyFes’26>の開催を目前に控え、出演アーティストをゲストに迎えたLuckyFM特別番組「今夜はLuckyFes Night」に登場した柳田周作(Vo, G)と吉田喜一(G)は、バンドのルーツや創作の原点、そして4人だからこそ生まれる神はサイコロを振らないという共同体について語ってくれた。影響を受けたアーティストや楽曲制作の背景はもちろん、「量子もつれ」や「確率論」といったバンド名にも通じる科学的な発想が、どのように彼らの音楽やメンバーの関係性と結び付いているのか、その独自の世界観も明らかにしてくれた。

    論理と感性、ユーモアと真剣さ。一見すると相反する要素を自然に行き来しながら、自分たちだけの表現を追求し続ける神はサイコロを振らないは、確かな信頼関係と音楽に対する飽くなき探究心を礎に、バンドという存在を超えて自らの存在そのものを高らかに謳う存在となっていた。

    LuckyFM茨城放送アナウンサー煙山ゆう、吉田喜一(G)、柳田周作(Vo, G)

    ──(煙山ゆうアナ)直接お会いできるのが嬉しすぎて、昨夜は遠足前夜の小学生状態でした。

    柳田周作(Vo, G):ありがたいです。しかもそのTシャツは去年のホールツアーの…。

    ──(煙山ゆうアナ)2025年の<神はサイコロを振らない Hall Tour 2025 “Lovey Dovey City”>東京公演でゲットしたものを着て来ました。推し活みたいになっちゃってますが(笑)。

    柳田周作(Vo, G):ありがとうございます。なんか下手なこと言えなくなってきた(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)いえいえ、そもそもおふたりの最初の出会いのきっかけというのは?

    吉田喜一(G):4人とも九州産業大学という同じ大学で、柳田くんと黒川くんが音楽部のサークルで出会ってからが始まりで。

    柳田周作(Vo, G):そう、ドラムの黒川くんと「一緒にバンド組もうよ」って話をしていたんですけど、気がついたら別のバンドを組んでて。

    ──(煙山ゆうアナ)いきなり黒川さんの裏切りが(笑)。

    柳田周作(Vo, G):でも別に僕も「絶対バンドやりたい」って感じでもなくて、1人で弾き語りっていうか、シンガーソングライターみたいな感じで大阪とか東京に行って路上ライブをしたりしていたので。そしたら黒川くんのバンド終わっちゃったみたいで、僕のとこに来て「一緒にバンドやろうよ」って言ってくれたんです。僕もやっぱ心強いし、バンドをやりたいっていう憧れもあったので、「じゃあ一緒にやりましょうか」っていうところで。そもそも僕はボーカルをやるつもりもなく普通にギターを弾いていたかったので、まずはボーカルを探したんですけど、あんまピンと来る人がいなかったので、弾き語りも演っていた僕が「とりあえず歌っとくわ」みたいな感じで始まりました。

    ──(煙山ゆうアナ)ボーカルをやりたいと思っていなかっただなんて。

    柳田周作(Vo, G):元々中学でも高校でもSIAM SHADEのKAZUMAパートを弾くのが楽しすぎたので。ただ、僕が歌うとなると、自ずと「リードギターいるよな」ってことで、軽音サークルからとびっきりいいギタリストを連れてきてくれって亮介にお願いして、で吉田くんが入ったという感じでございます。

    ──(煙山ゆうアナ)この4人でバンドを結成してもう11年目になりますけど、出会った時にビビっとくるものはあったんですか?

    柳田周作(Vo, G):あったんだと思います。だから、好きな音楽の話とかする前からみんなで鍋食べたりとか、音楽以外の時間も結構多かったんかな。同じ大学だし歳も近いから。

    ──(煙山ゆうアナ)4人とも個性がバラバラだなと思うんですけど、それぞれ役割分担とかあったりするんですか?

    柳田周作(Vo, G):どうですか?

    吉田喜一(G):決めてないような気が…。

    ──(煙山ゆうアナ)音楽を始めたきっかけもそれぞれだと思うんですけど、1番影響を受けたアーティストとかルーツというのは?

    柳田周作(Vo, G):めっちゃありますし、青春時代に聴いてきて僕らの礎となった平成の最高な曲たちのカバーだけで回るという<COVER LIVE TOUR 2026 “ROOTS”>というツアーを3月に行なったのですが、さっき出てきたSIAM SHADEとかは僕のリズムギターの概念の礎だし、KAZUMAさんはコーラスもめっちゃ上手なので、そこも歌心の糧になったのかな。あとは秦基博さんとかは、初めて「歌ってみたいな」と思わせてくれたアーティストだったりします。

    吉田喜一(G):僕らの世代にはめっちゃ多いんですけど、やっぱELLEGARDEN。それこそ僕より先に楽器を始めた子たちはELLEGARDENの影響が強かったりしますよね。あと共通するアーティストで言えばP.T.P.とか。

    柳田周作(Vo, G):Pay money To my Painはむしろ逆輸入っていうか、海外から日本ラウドの祖先みたいな形で知って、すごく憧れてました。未だに大好き。

    ──(煙山ゆうアナ)私も、神サイはP.T.P.とちょっと似てるなって思っていました。

    柳田周作(Vo, G):ほんとっすか?それ多分、音楽以外のところですよね?

    ──(煙山ゆうアナ)え?いや音楽も。逆に音楽じゃないところで似ているところがあるんですか?

    柳田周作(Vo, G):そう、僕ら、なんかメンバー間の雰囲気がめっちゃ似てるなって思いますね。

    ──(煙山ゆうアナ)ちょっと儚げだけど強い雰囲気とかも共通していて、曲の作りにも影響を受けているのかなと思っていました。

    柳田周作(Vo, G):嬉しい。それで言うと、歌詞というか歌っていることも近いというか、多分K(Vo)さんってめっちゃ繊細なんでしょうね。

    ──(煙山ゆうアナ)共感できるというか、「こういうことを思っていたんだ」ということを言葉にしてくれている感じがすごく似ていて、「言ってくれてありがとうございます」みたいな気持ちになります(笑)。初めて曲を作ったのっていつ頃なんですか?

    柳田周作(Vo, G):5歳です(笑)。

    ──早っ。どんな5歳なの(笑)。

    柳田周作(Vo, G):伯父が音を聴いて譜面に起こす写譜屋さんをしているんですけど、即興でデタラメに歌った5歳の僕の歌に伯父がその場で伴奏をつけてくれまして、マイナー調でめちゃくちゃ渋い「鶏の卵」っていう曲です。

    ──(煙山ゆうアナ)5歳でマイナーの曲、伯父様の伴奏…いろいろ凄い。

    柳田周作(Vo, G):ギターのコードとかも知らないですから、クラシックギターを開放弦のままストロークしながら、その場で舞い降りてきたものを歌っていく(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)伯父さまと2人で。

    柳田周作(Vo, G):そうっすね、伯父とのグルーブの中で(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)伯父様にお会いしたい。そして吉田さんは、キレのあるカッティングから繊細な音、激しい強音まで巧みに操るギタースタイルが印象的なんですが、ライブではどんなことを意識しているんですか?

    吉田喜一(G):難しいんですけど…最近はギターのプレイそのものっていうよりも、ギターの全体像みたいなところをすごくイメージするようになってきて、それこそPay money To my PainのPABLO(G)さんから機材のこととか、細かな設定とか小さなニュアンスをもっと自分でコントロールできるようになれっていうお話をしてもらってから、繊細なとこから大きな音まで、会場全体にまで気を配ってやるようになってきたですね。

    ──(煙山ゆうアナ)私、吉田さんが上げているInstagramのギターソロ動画をめっちゃ見てるんです。

    吉田喜一(G):ありがとうございます。でも、それこそギターは始めるのがちょっと遅くて、高校の終わりぐらいなんです。柳田くんはちょっと早めの中学?

    柳田周作(Vo, G):中1でアコギを始めた。

    吉田喜一(G):自分では客観視できない細かい部分を教えてもらったり、バンドでディスカッションしながら、自分のスキルを高めていくみたいなところがあります。

    ──(煙山ゆうアナ)先日のライブではシンセも演奏していましたけど、他に「この楽器も挑戦してみたい」みたいなものは?

    吉田喜一(G):めっちゃあります。バンド自体もそういうテンション感になっていて、それこそ「ギタリストだからギターを弾かなきゃいけない」とか「ギタリストだからギターソロ弾かなきゃいけない」みたいなのもなくなってきていて、「全員で音楽をやる」ってところに1番フォーカスしてきているので、他の楽器に対してもめっちゃ寛容というか、どんどんやってみたいなって思います。

    ──(煙山ゆうアナ)今1番やりたい楽器って?

    吉田喜一(G):今1番やりたいのはカリンバ。これが友達の家とかにあると楽しくて無限に触っちゃうんですね。だから自分で持っちゃうと怖いんですよ。これをずっと触るおじさんになっちゃいそうで。

    ──(煙山ゆうアナ)ギターが泣いちゃいますね(笑)。

    吉田喜一(G):こういうアコースティックな楽器にもっとチャレンジしていきたいなっていう気持ちがありますね。

    ──(煙山ゆうアナ)そんな神サイですが、4月には3rd Full Album『EINSTEIN = ROSEN BRIDGE』がリリースされましたね。

    柳田周作(Vo, G):今回のアルバムは特になんですけど、原点回帰というかメンバーみんなでディレクションしていて、各楽器のレコーディングもボーカルのテイクも全部メンバーで選んでいるんです。今まではプロデューサーさんをお迎えしたりアレンジャーさんを入れたりしていたんですけど、そこで吸収したことや技術を見よう見真似で、俺らが納得のいくまでやるという。自分の部屋でアレンジまで見越して曲を作って、メンバーにうちに来てもらって、僕の部屋で録っていく。だから時間の制限がなかったんですよ。よぴ(吉田)も全身銀タイツを着ながら、僕の家でずっとギターを弾いてくれてました(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)全身銀タイツ(笑)…あの2026年6月14日開催の単独アリーナ公演で、銀色の全身タイツで登場するというサプライズがありましたけど(笑)、あの銀タイツ?

    柳田周作(Vo, G):あれは僕の私物(笑)。で、録音にあたってまずはメンバーのテンションをどうやったら上がるかなみたいなことを模索して、結果、まずは吉田くんに銀タイツを着てもらったんですけど、すっごいみなぎっていて(笑)。

    吉田喜一(G):いや、僕もそうはならんやろと思ってたんすけど、あのタイツって意外と理にかなっていて、身体の摩擦が少なくて、気持ちもシャキッと…。

    ──(煙山ゆうアナ)スイッチ入りました?

    柳田周作(Vo, G):なんかキラキラした目でギターを弾いてくれていました。

    吉田喜一(G):神サイならではですね。

    柳田周作(Vo, G):これは僕らだけじゃないかな。ドラムの黒川くんも、ちょうどクリスマスの時期だったんで、全身銀タイツにサンタ帽を被りながら、ちゃんとレコーディングスタジオでレコーディングしましたね。

    ──(煙山ゆうアナ)スタジオでのちゃんとした録音と、自宅でのリラックスしたプレイが融合した作品なんですね。

    柳田周作(Vo, G):そうです。レコーディングスタジオでアンプを鳴らして、マイキングのプロがちゃんとセットするといい音で録れるのは間違いないんですけど、プレイ自体はその緊張がいい方向に向く人とテイクがちょっとぶれちゃう人とかいろいろですよね。基本的にこのメンバー4人って、ライブ本番よりもリハの方がプレイが良かったりするんですよ。何も考えずに音を鳴らしている時って肩の力が抜けていて、なんか人間臭いっていうか、見られるとか聞かれる意識もないから、ある意味すごく近く感じる。ライブではライブの良さがあるんですけどね。

    ──(煙山ゆうアナ)確かにスタジオでは、時間に追われたりしますよね。

    柳田周作(Vo, G):そうなんですよ。時間ない中で、何せギターとボーカルは後に回されるから(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)そうやって完成した『EINSTEIN = ROSEN BRIDGE』ですが、どんなアルバムになっていますでしょうか。

    柳田周作(Vo, G):すごく実験的なアルバム。自分の家で録ったって言いましたけど、アレンジもメンバー内で完結させるようにしていたので、詞を書きながらアレンジをしているみたいな全部同時進行で、作詞、作曲、編曲を同軸でやっていた楽曲たちもあったり。アコギにつけるアタッチメント的なものから曲が生まれていったり、生ドラムの音じゃない曲だけど、ところどころ入るタムの音だけはスタジオでめっちゃいい音で録ってみたりとか、ロックバンドだからどうこうっていう枠組みを飛び越えて、俺たちが好きな音をとにかく突き詰めていくようなアルバムになったのかな。

    ──(煙山ゆうアナ)自由度が高い?

    柳田周作(Vo, G):そうですね。なんか「部室で作った」みたいなそういう感じかも。

    ──(煙山ゆうアナ)『EINSTEIN = ROSEN BRIDGE』というタイトルは?

    柳田周作(Vo, G):これ話し出すとめっちゃ長くなるんで、かいつまむとワームホールの話で、例えばこの紙の端から端へ移動するのに10年かかるというときに、紙をペラっと折り曲げて端と端をくっつけちゃえば、10年かけずにすぐに行けちゃいますよね…みたいな話なんですけど、話し出すとこれだけで終わっちゃう物理の話なので、これはYouTubeで色々調べてみてください(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)今作の楽曲を聴いていると、宇宙とか空とかがテーマなのかなっていう曲が多い印象がありました。

    柳田周作(Vo, G):そのあたりは大好きで、野村泰紀先生というカリフォルニア大学バークレー校で理論物理学の教授をしている方がいるのですが、講演会にも行ってきて直接質問してきたんです。「音って波ですけど、僕らは音楽という波に愛とか思いを乗せてお客さんに伝えているわけなんですけど、これって見えないものですが、物理でどう説明しますか?」って。そしたらめっちゃ困ってました(笑)。ただそれは「スピリチュアルでもなく物理でもなく、グレーだ」って言っていましたね。今現時点ではパッとは答えは出ない。けど、そのあともいろんな人が質問をしていたんですけど、ちょいちょいその話に戻って来ていたので、僕は野村先生の中でも、ちょっとなんか風穴を開けてたんかな、みたいに勝手に思っていました(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)野村先生を困らせた(笑)。

    柳田周作(Vo, G):ここに関しては宇宙とかも関係ないからこそ難かったのかな、みたいな(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)宇宙と音楽ってどうつながるんでしょうね。

    柳田周作(Vo, G):ただ、『インターステラー』っていう超大作のSF映画があるんですけど、8割は誠実に物理と向き合っている内容なんですけど、残りの2割は神話みたいな…もう愛なんですよ。最後の方に「愛は時間と空間を超越する唯一のもの」という表現が出てくるんですけど、結局は言っていることは一緒というか、クリストファー・ノーラン監督もあれだけ壮大なストーリーを描いておきながらも「やっぱ愛なんだな」みたいな。僕らも「この音が好きなんや」とか「この楽器使ってみようぜ」とか色々実験的なことを演るけど、結果伝えたいのはそこかな、みたいな。

    ──(煙山ゆうアナ)「愛」なのか…。

    柳田周作(Vo, G):愛だなって感じです。

    ──(煙山ゆうアナ)神サイって、ロックなものもあれば浮遊感がある曲とか、チルい曲もバラードもあったりと、本当に変幻自在なんですけど、このアルバムで一番好き…愛を感じる曲を選ぶとすればどうですか?

    柳田周作(Vo, G):俺、よぴが選ぶ曲、分かりますよ。当てていいですか? 「Balloon of Shooting Star」です。

    吉田喜一(G):おおー、素晴らしい、正解です。凄い。さすが。

    柳田周作(Vo, G):なんなら僕もそれって感じですね。元々は、他にも候補あったし「選べねえ」ってなっていたんすけど、ぴあアリーナMM(6月14日に開催された単独公演)を経た今、もうこれって感じですね。

    ──(煙山ゆうアナ)何故に?

    柳田周作(Vo, G):愛ですね。これこそがもう愛ですね。

    ──(煙山ゆうアナ)ぴあアリーナMMでは「Balloon of Shooting Star」を演っている時に、ちっちゃい子たちがわらわらと出てきて、本当に可愛かったですよね。

    柳田周作(Vo, G):可愛いっすよね。ほんとに瞳がキラキラした無垢な少年で、20年前の僕らを召喚したみたいだった。

    ──(煙山ゆうアナ)本当に素晴らしいライブでした。

    吉田喜一(G):一瞬で通り過ぎていったなっていう気持ち。家に帰って映像を観て、やっと実感が湧いてくるというか、なんかそんな1日でしたね。

    柳田周作(Vo, G):「やばいことやっちゃったな」って感じなんですよ。知り合いの美容師の方が「本当に音楽とかそういうのも超えてた」「マジでなんだったんですか、あれは」って言っていたんですけど、ミュージシャン仲間や先輩からも「なんやったんやあれは」って。多分、音楽ライブを超えて、この目に見えないもの…さっきの「愛」とか「思いやり」みたいなものが、あの場で伝わっていたと思う。あの日、生まれて初めてちゃんとエゴサしまして、ライブの直後にくまなくSNSを見たんですけど、今までのライブの感想とは訳が違っていて、まじで凄かったんだろうな、エンタメとか超えていたんだなって思いました。みんな「かっこよかった」とか「楽しかった」とかじゃなくて、「なんかやばいものを見てしまった」みたいな感想なんですよ。言語化できないんすけど僕ら自身もそう感じていて、「僕らはこれをただ演っていけばいいんだな」って思えたライブっていうか。

    ──(煙山ゆうアナ)すごい。

    柳田周作(Vo, G):今回初めてのセンターステージだったので、メンバー同士で円になって向かい合いながら演奏したんですけど、その領域には誰も近づけなくて、円形になった僕らの周りを囲ったお客さんたちが、それを覗き見している感じ。これがひとつの答えなわけでもなくて序章みたいなもので、「なんか気づいちゃった」って感じ。今まではお客さんへの意識があったけど、じゃなくて僕らは4人でリハスタや、部室みたいなところでめっちゃ楽しんでいたらそれでいいんだろうという、根本に気付けた。

    ──(煙山ゆうアナ)10年経ったからこそ「気付いちゃった」って、これが序章なんですね。

    柳田周作(Vo, G):やっと「これか」って感じ。あとはもう、楽しみしかないじゃんっていう。

    ──(煙山ゆうアナ)最後に4人で輪になって座って歌っている時、4人が最初に出会って音楽を始めた時ってこんな感じだったのか…と、4人の青春時代をこっそり見させてもらってありがとうという気持ちになっていました。

    柳田周作(Vo, G):ああ、嬉しい。

    ──(煙山ゆうアナ)1曲目が「白に融ける」で、初期のファンも今のファンもすごく刺さるセトリでしたね。

    柳田周作(Vo, G):どうやってセトリを構築したか全く思い出せないんですけど、「白に融ける」から「白昼夢」「Smoke」という3曲の流れはセットリストを組む前から見えていたし、「藤雨」もLEDで藤の花の景色が見えていました。「Balloon of Shooting Star」ではセンターステージで20年前の自分たちを召喚して8人で演奏するっていうのも、このアルバムを作っていた時にはぴあアリーナMMでのライブが決まっていたので、そこでどんな景色を見せたいかっていうところが軸にあったんです。「白昼夢」のバックが白いシルエット調になるのも最初から見えていて、「神サイってずっと白がつきまとうな」と思っていたんですけど、アンミカさんの「白って200色あんねん」のなかで、カラーコードFFFFFFの超ド白って日本の伝統色らしいんですよね。武道館公演でも白っていう白紙のパレットからいろんな色を塗りつぶしていって、最後「スケッチ」で終わるという演出だったので、僕らは常に何色にでもなれる日本男児として、ね(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)すごく自由な音楽で、何にも縛られていないですよね。ただ、歌詞が面白い「ちょっとだけかゆい」という曲が、後半に披露されたのはどうしてなんですか?

    柳田周作(Vo, G):そう、そうなんですよ、大体こういう、とんちきソングみたいなのって、普通は中盤ぐらいにやりますよね。ただ今回センターステージの芝生をみんなに見せたくなくて幕をずっと引いていたので、次のセンターステージへの切り替えるためだけの曲なんです。なのに、演出に1番お金がかかってる(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)結構火柱も上がっていたり。

    柳田周作(Vo, G):そう、ファイヤーも煙もあってトロッコで歌ったり。

    ──(煙山ゆうアナ)そして全員が例の全身銀タイツで。柳田さんは羽も生えていて。

    吉田喜一(G):羽が生えてること、知らなかったからね。

    柳田周作(Vo, G):実はメンバーのことすらも驚かせたくて、リハの時もちゃんと羽は隠していたんですよ。なので、メンバーは普通に全身銀タイツで、触覚が生えた俺が出てくると思っていたんですけど、本番で初めて僕を見たら…。

    吉田喜一(G):小林幸子さんが出てきたのかなって思った。

    ──(煙山ゆうアナ)トロッコで巡回して踊りながらっていう(笑)。

    吉田喜一(G):炎が出る場所とかも知らなくて、あわや消し炭になるとこで、危なかったんですよ。命がけ(笑)。

    ──(煙山ゆうアナ)すごいですね。やりたいことは全部やったんですね。

    柳田周作(Vo, G):やり尽くした。とにかくお金かけましょう、とにかく派手にいきましょうって。

    ──(煙山ゆうアナ)そしてラストは、中央の芝で輪になって座って、「スケッチ」という大切な楽曲を披露していましたけど、距離もすごく近かったので、お客さんの顔も結構見えたでしょうね。

    柳田周作(Vo, G):この日のライブで1番4人だけになっていた時間っていうか、あそこには僕らと20年前の少年の時の僕らしか入れない異空間だったんで、お客さんへの意識が僕はあんまりなかったんです。ただただメンバーを見ながら歌うみたいな、そういう時間でしたね。

    ──(煙山ゆうアナ)あの時、柳田さんがMCでちょっとだけ涙ぐむシーンがありましたけど、覚えていますか?

    柳田周作(Vo, G):ほんとっすか。マジすか。全然覚えてない。MCの内容も覚えてないです。バンドを始めた当初はMCで話すことをメモしていたりしたんですけど、もうここ数年はやめました。結局お客さんが入ったら気持ちも変わるし、そこで自分が感じたものを喋るのが本来だし。この時は、お客さんへの感謝はもちろん伝えたんですけど、普通に向かい合いながら部室で座ってメンバーと喋っているみたいな時間だったんで、もうMCですらなかったような気もする。この異空間の中でただ時間が流れているだけ、みたいな。

    ──(煙山ゆうアナ)あの時、柳田さんは「世界中が敵になっても、この4人はばらけないと思う」って言っていたんですよ。「家族みたいな存在です」とか「仲間です」とかはよくありますけど、その言葉が出てくるって凄いなと思いました。

    柳田周作(Vo, G):す、凄いことを言っていましたね(笑)。それちょっと、怖くない?

    ──(煙山ゆうアナ)怖くはないです(笑)。だから「メンバーの皆さんはどういう存在ですか?」って訊くことすらちょっとためらってしまうんですが。

    吉田喜一(G):でもメンバーに関しては、友達でもない、仕事仲間でもない。先輩でも後輩でもないみたいな、ちょっと言語化に困っているんですよね。1番近いのはさっき言ったようなことなのかもしれないですね。

    柳田周作(Vo, G):結局これも物理なんだろうなって思うんですけど、「量子もつれ」という現象があって、神サイというメンバー4人が「もつれ合っている集合体」で、どれか1個欠けると成立しなくなっちゃうというか壊れちゃう、そういうもろい存在なんですよ。量子って数が増えれば増えるほど脆くなっていくので、「神はサイコロを振らない」というバンド名は、確率論の話でもあったりするんですけど、アインシュタインがそれを批判するために言った言葉なんです。でも、僕らの中で起きているこの現象は量子もつれなわけで、アインシュタインは「神様がサイコロを振るわけないやん」って言ったものの、結局量子もつれというものが存在することが分かり、それで量子コンピューターも実在するんですけど、でもそのアインシュタインの批判があったから今がある、という見解もあるんですね。俺らが何も気付かぬまま11年かけて、今それを体現してしまっている…ヤバいことやっているかもな、みたいな。だから「4人の関係性って何なんだろう」って考えた時にも、量子もつれ以外何も浮かばないって感じ。

    ──(煙山ゆうアナ)理解できてはいないですけど、分かった気がします。

    柳田周作(Vo, G):そう、僕ら物理なんか全く分かってないですよ。分かんないけど、それ以上でも以下でもないってか、それでしかない気がする。

    ──(煙山ゆうアナ)そんな神サイは、<LuckyFes’26>では2日目の8月9日(日)に1番大きなRAINBOW STAGEに出演となりますね。

    柳田周作(Vo, G):いえーい。ありがとうございます。ほんとにありがとうございます。さっきの話でいくと、ただ僕らの見えない何かを勝手に見てくれたら、多分めっちゃ楽しい気がすると思います。

    吉田喜一(G):フェスって1年の中で1番特別なお祭りというか、やっぱ一生の思い出になるっすよね。

    柳田周作(Vo, G):同じ日で言えば同郷で一緒にしのぎを削り合ってきたガチの戦友たちがいて、ポルカドットスティングレイとPaleduskに関しては、キャパ200ぐらいのQueblickっていうライブハウスでイベントをみんなで演ってましたからね。Paleduskとは無料ツーマンとかも一緒にやって、ジャンルは全然違うのに仲良くて。ポルカに関しては、ミツヤさんが僕らが出会った軽音サークルの先輩だったりするんですよ。そんな人たちと一緒にやれて嬉しい。

    ──(煙山ゆうアナ)時間帯はバラけているので観に行けそうですか?

    柳田周作(Vo, G):観に行きたいですね。BABYMETALも観に行きたいし。

    ──(煙山ゆうアナ)LuckyFesはジャンルレスですから。

    柳田周作(Vo, G):最高ですね。いわゆるロックで固められたタイムテーブルより、もうなんかジャンルとか関係ないんで、異種格闘技みたいな方が僕らは演りやすいです。

    ──(煙山ゆうアナ)暑さ対策という点はいかがですか?

    柳田周作(Vo, G):最近僕、たまに山登りをこっそりしたりしてて、山登りグッズをいっぱい買っているんですけど、山登り用の服ってフェスにいいんですよ。汗をとにかく吸って外に出してくれて、UVカットとかあるし、帽子とかも首元まで覆ってくれるやつとかもあるんで。僕は最近ずっと登山用の服で生活しています。部屋の中にも外行くときも。なのでぜひ。

    ──(煙山ゆうアナ)LuckyFesでは、ぜひ自然も楽しんでもらえれば。

    柳田周作(Vo, G):めっちゃいいっすね。ただ自然を感じるためだけの服装を持っていって、ライブも見つつひたすら自然を楽しみたいです。

    吉田喜一(G):僕ら神サイは、見えない部分にすごく魅力があるバンドだなと思ってるんで、五感…その時の匂いだとか耳だけじゃないところで感じてほしいなって思いますね。楽しんでいただけたらなと思います。これからもどんどん大きなことに挑戦していこうと思っているので、ぜひ僕らの活動をチェックしてください。お願いします。

    編集◎烏丸哲也(BARKS)

    2026年7月23日(木)放送:神はサイコロを振らない(柳田周作・吉田喜一)

    ◆ME:Iオフィシャルサイト
    ◆LuckyFesオフィシャルサイト

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