放送局、動画配信サービスで多数の海外ドラマがリリースされているが、現場の人間にとってはここ数年、かなり先の見えにくい状況になっているようだ。『グッド・ワイフ』シリーズや『エイリアン:アース』のプロデュースを手掛けてきたデヴィッド・W・ザッカーが語った。
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「制作がどの段階でも突然中止される可能性がある」
米Deadlineのインタビューに応じたザッカーは、かつてのパイロットシーズン時代には最終判断の時期が明確だったのに対し、現在は「制作がどの段階であっても突然中止される可能性がある」と話している。

「昔のテレビ業界は季節ごとに動いていました。パイロットシーズン(翌シーズンに向けて新作ドラマの第1話を作る時期)の頃は、その混乱や慌ただしさに皆が文句を言っていたものですが、それでも5月までには(番組の去就に関して)必ず何らかの決断が下されることが分かっていました。その結果を私たちが気に入るかどうかは別として、放送局はその頃までには最終的に決断しなければならなかったのですから」
放送局のドラマは基本的に、秋に始まり翌年の春に終わるスケジュールだ。しかしストリーミングサービスが台頭したことにより、現在は作品開発や制作決定が年間を通じて行われるようになり、市場の先行きは以前よりはるかに不透明になっている。その結果、脚本家や俳優は長期間、自分の作品の去就が分からない状態に置かれることも珍しくないという。
ベテランのプロデューサーであるザッカーは、そんな状況について 「“危機”という表現は決して大袈裟ではないでしょう」と述べ、警鐘を鳴らす。
「私が話すプロデューサー、監督、脚本家、エージェントの誰一人として異論を唱えませんが、現在は以前の2倍の時間をかけて、得られる成果は半分程度という時代になっています。それだけでも十分に危機的ですが、それに加えて、“いつ、どのように、なぜ意思決定が行われるのか”が極めて予測しにくくなっています。その結果、自分の仕事がいつ決まるのかという見通しを立てることすらできません」
「ここ5、6年で最も大きく変わったのは、制作がどの段階まで進んでいても突然中止される可能性があることです。場合によっては、完成した作品ですら公開されないことがあります。その根本的な原因の一つは、今は多くの場合で、“この時期までに必ず決断しなければならない”という仕組み自体が存在しないことです」
「今のテレビ業界は映画業界に近いものになっています。自分の企画がいつ、どのような基準で評価されるのか、あるいはいつ結論が出るのか、その見通しがほとんど立ちません。私たちのところにも、何ヵ月もの間“あと一歩”という状態で止まっている企画がいくつもあります。こんな状況でどうやって人々が生活していけるのか分かりません。脚本家は仕事が始まるのを待ち続け、俳優もその企画にスケジュールを空けておくべきかどうか判断できないままです。だからこそ、“危機”という言葉は決して的外れではないと思います」
ザッカーはまた、そんな先行き不透明な業界で生き抜くために重要なことにも言及。「このクリエイティブな世界で生き残る唯一の方法は、自分の伝えたいことに情熱を持つ脚本家、監督、俳優を信じることです。私たちは彼らのビジョンを支え、その実現を後押しします。そして、タイミングが味方してくれることを願うしかありません」
「振り返ってみれば、パイロットシーズンの時代も本質的には同じでした。ある意味では、当時も今も戦い方はそれほど変わっていません。すべては脚本家と、その人が物語に込めるビジョンから始まり、そこに共感し、同じ熱意を持って作品化してくれる放送局やストリーミングサービスと巡り会えることを願う――それがすべてなのです」
近年、パイロットを作らずにいきなりシリーズを発注する、お披露目前から2シーズン制作が決まるなどの動きが見られるが、現場の人間にとって必ずしもやりやすくなったわけではないようだ。
『グッド・ワイフ』はHuluにて配信中。(海外ドラマNAVI)
