7月31日より映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』が公開。トム・ホランドが主演を務めるマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)内での『スパイダーマン』シリーズとしては待望の4作目ということで大きな注目を集めている。この4作品や派生作品を含む『スパイダーマン』シリーズでは、毎回日本語吹替版で国内アーティストが主題歌を務めてきた。本稿ではこれまでの『スパイダーマン』日本語吹替版主題歌を振り返る。

     今夏公開の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』主題歌は、Mrs. GREEN APPLEの「Brand New」。華やかなストリングスとダイナミックなバンドサウンドの親和、そして大森元貴(Vo/Gt)の軽やかで伸びやかな歌声が壮大な『スパイダーマン』の物語に華々しく寄り添う1曲だ。歌詞においても〈孤独を知って/愛を知る〉〈君を救う/それはつまり/僕も救う〉〈僕の正しさはここにある〉と孤立無援となったスパイダーマン=ピーター・パーカーの心の内を代弁するようなフレーズが並ぶ。Mrs. GREEN APPLEの『スパイダーマン』シリーズ、ひいてはMCUへの愛を感じさせる1曲に仕上がっている。

    Brand New

     『スパイダーマン』シリーズとしては初となるアニメ作品となった『スパイダーマン:スパイダーバース』。2018年に公開された本作の日本語版主題歌はTK from 凛として時雨の「P.S. RED I」。TKらしい緊張感のあるハイトーンボイスに激しいバンドサウンドとシリアスなピアノ、ストリングスが加わる、まさにTK from 凛として時雨の真骨頂とも言えるようなバンドアンサンブルが炸裂する楽曲となっている。〈I’m a Hero〉というフレーズから始まり〈僕は孤独で弱気な Spy だ〉〈僕は奇跡を掴んだ Spider〉と続いていく歌詞は、悪を砕く一般的なヒーロー像だけではなく、ヒーローが抱える孤独な側面と立ち上がる意思も表現し、サウンドと絡み合う歌声によって強く胸に刺さる。

    TK from 凛として時雨 『P.S. RED I』 / 映画「スパイダーマン:スパイダーバース」日本語吹替版主題歌

     『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編として2023年に公開されたのは『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』。本作の日本語版主題歌はLiSAの「REALiZE」だ。バンドでの活動をルーツに持ち、ロックフェスでも爪痕を残し続けるLiSAのポテンシャルが、最大級に活かされたロックチューンである。LiSA自身によって手がけられた歌詞は、〈糸を握って〉というフレーズにスパイダーマンらしさを覚えつつも、〈誰かの賞賛・共感なんかいらないや〉〈これしか僕には出来ないんだ〉など、全体を通してヒーローとして生きるスパイダーマン=マイルス・モラレスと、シンガーとしてひとりステージに立ち続けるLiSA自身を重ね合わせたような、“覚悟”をテーマとした主題歌となっている。

    LiSA「REALiZE」Lyric Video(映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』日本語吹替版主題歌)

     スパイダーマンの宿敵であるヴェノムに焦点を当てた2018年公開の映画『ヴェノム』の日本語吹替版主題歌には、UVERworldが「GOOD and EVIL」を書き下ろした。UVERworldらしいミクスチャーロックチューンである本作は、『ヴェノム』のダークなムードにマッチしているだけでなく、“善と悪”という『ヴェノム』に限らずほかの『スパイダーマン』シリーズやMCU作品にも共通するテーマを描いていることが印象的だ。また「GOOD and EVIL」においても〈僕を一人にした世界を〉と“孤独”にまつわるフレーズがやはり登場する。

    UVERworld 『GOOD and EVIL』Short Ver.

     これまでさまざまなアーティストが『スパイダーマン』シリーズ、関連作の日本語吹替版主題歌を担当してきたが、どの曲にも共通しているのがヒーローであるスパイダーマンらの孤独を描いていることだ。それは『スパイダーマン』という作品そのもののテーマとも共通している。各アーティストのフィルターを通し、音楽で描かれるその感情を今あらためて感じてほしい。

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    ふじもと

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    愛知県在住のカルチャーライター。音楽、漫画、各種書籍、映画、ドラマ、アニメ等について様々執筆。コラム、書評、映画批評etc…をReal Sound、文春オンライン、Billboard JAPAN等各メディアへ寄稿。Podcast番組「Hello,CULTURE in Podcast」も運営中。

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