
映画『エゴイスト』で世界的な賞賛を得た松永大司監督による繊細かつ冷酷な映像美、原作・太田愛×脚本・櫻井武晴が紡ぎ出すクライムミステリーと配信前から話題のPrime Originalドラマシリーズ『犯罪者』。この中で“謎の男”滝川を演じるチョン・イルに本作との出会い、役へのアプローチなどを聞いた。高橋一生、斎藤工、水上恒司との共演に際しての思いや、プライベートの話も語ってくれた。


――Prime Originalドラマシリーズ『犯罪者』のオファーを受けられた時の思いからお聞かせください。
実は、松永(大司)監督と知り合ったのは、4年ほど前なんです。『エゴイスト』という松永監督の作品が韓国で公開されたときに、監督が韓国を訪れて、そのときに偶然お会いしたのが、ご縁の始まりでした。その後、僕が出演しました『高速道路家族』という作品が日本で公開されたときに、監督がこの作品をご覧くださって、それで「必ず一緒に仕事をしたい」とおっしゃってくださったんです。そこから始まって、今回の『犯罪者』という作品に繋がりました。
去年の初めぐらいに「この仕事でご一緒したい」という提案をいただいたんですけれども、滝川という特別なキャラクターを演じてほしいというお話だったので、簡単ではないと思ったのですが、このキャラクターについて「他の俳優は全然思い浮かばない」。「チョンイルしか浮かばなかった」というふうにおっしゃってくださいまして。監督がそれぐらい深い愛情を持って声をかけてくださったので、ぜひこの役に向き合っていきたいと思いました。
僕自身も挑戦したことのない役を演じるわけですけど、今年はデビュー20周年という年でもありますし、初めて日本の作品に出演することができ、そして素晴らしい作品と出合うことができて、とても感慨深いなと思っています。

――撮影現場でご苦労されたこと、あるいは楽しかったことなど印象的な出来事は?
まず、撮影しながら、こんなに長い間、雨に打たれたのが初めてでした(笑)。日本に2ヶ月ほど滞在をしながら撮影するのは初めての経験だったのですが、そのおかげで、日本のいろんな場所を訪れ、時間を過ごすことができて、とてもいい記憶として残っています。
――松永監督は、リハーサルも念入りに行われるそうですが、松永監督からのディレクションで印象的だったことを教えてください。
監督さんとは、常に英語でコミュニケーションをとっていました。しかし撮影の時は、より専門的な細かい部分を話し合わなければいけませんので、常に通訳さんがサポートに入ってくださいました。監督からのディレクションで印象に残っていることとしては、演技をする時に、「とにかく空っぽの状態にして、演技しなさい」とおっしゃってくださるんです。それがすごく心の中の記憶として残っています。
先日ADRの録音時に、自分が映っているシーンをいくつか見せてもらったんです。今までにないまなざし、あるいは表情、そういったものを見ることができたんです。それがとても新鮮な感じがしました。チョン・イルという人物を知っていて、本作をご覧になる方は、私と同じような、新鮮な驚きがあるのではないのかなと思います。非常にインパクトの強いキャラクターなので、配信が終わった後に、またインタビューしていただく機会があるのであれば、より多くのことを語れるのではないか、と思っています。

――重厚で深刻なシーンも多い作品ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
撮影現場は、とても雰囲気が明るかったです。ただ、スタッフ・キャストの皆さんが本当に真摯な姿勢で撮影に臨んでいましたので、他のことをするゆとりはありませんでした。特に滝川という人物は、1人で行動しているキャラクターなので、あまり他のキャストさんと会う機会が多くなかったんです。なのでお酒を一杯飲みに行くようなことはできませんでした。ただ、撮影終盤に、スタッフの方々と一緒に飲みに行く機会はありました。たくさんのお話を交わすことができてとても良い時間でした。おそらく配信が始まって、プロモーションが始まったら、その時にみんなで時間を合わせて一杯飲むこともできるのではないのかなと思っていて、それを楽しみにしています。

――チョン・イルさんはこの『犯罪者』という作品が持つ魅力をどう捉えていますか?
この作品を全体的に見たときに、さまざまな人の卑怯な部分が見えてくるんです。また、パッと見て、外見は良い人に見えるけれども、深く知っていくと、そうでない人もいます。そういう人間の心理や内面をじっくり見ることができるのがこの作品の魅力なのではないのか、と思っています。
僕が演じた滝川は、サイコパスで共感能力がなくて、人間に対する哀れみを感じることができずに生きてきたキャラクターですが、徐々に変化する部分もあるんです。そういったポイントに注目していただくと、また新たな見方ができるのではないのかな、と思います。
――本作の出演を通して、得たこと、学んだことがあれば、教えてください。
日本語が少し上達したなとに思います。そして、本当に運が良かったし、ありがたいことに、素晴らしい監督さん、スタッフさん、俳優さんたちととお仕事をすることができて、その全てが幸せだったなと思っています。チョン・イルという俳優にとって、新しい人生のチャプターが開けたのではないのかという思いがあります。私はあまり多くのことに意味づけをしたくはないんですが、今年は偶然にも僕にとって「デビュー20周年」であり、またこの作品が日本での初ドラマなので、本当に7月の配信が待ち遠しいです。今年・来年とさまざまな活動につながっていき、いろいろと変わっていくのではないかな、と思っています。40代がとても楽しみで、ワクワクしています。

――お忙しい日々だと思うのですが、プライベートでのリフレッシュする方法は何かありますか?
短い時間でもいいので、1人の時間を過ごそうというのは意識しています。ちょっとした時間でも歩いたりして、気分転換をしていますね。忙しい時は、朝早く、あるいは仕事が終わった後に、1人の時間を持って考える時間を作ったりしています。何も考えないというか、頭を空にする、という時間も大切かな、と思いますね。
――少しお休みがあれば出かけられたり?
そうですね。休みの日には、温泉に行ったり、運動をしたりしています。
ただ、撮影期間中はそういうことがなかなかできない。何か次の撮影の準備して、色んなことを考えているので、少しでも時間が空いた時は、大事な時間として過ごしています。

――個人的に成し遂げたいことはありますか?例えば、ここに行きたい、これを挑戦してみたい、などありますでしょうか?
今年は20周年を迎えるので、基本的には休まずに仕事をしたいんですが、家族旅行には行きたいなと思っています。9月に日本でファンイベントを準備しているんです。なので、それが終わった後に、日本で旅行をしようかと考えていますが、まだ具体的な計画を立てているわけではないです。
――それは美味しいものを食べたり、というような?
今は食べ物にはそれほど大きな関心がないので、みんながリラックスして休めるのがいいなと思っています。落ち着いて休めるような空間を探したいなと思っています。

――20周年という大事な時を経て、今後への展望を最後にお聞かせいただければと思います。
来年以降は、さまざまな国で活動していきたいなと考えています。日本だけではなく、いろいろな国において、俳優としての活動を広げていくための準備を行っている最中です。
また今年もすでにいろんな計画がありますが、合間を見て、ボランティア活動もする予定なので、それも続けていきたいです。

Prime Original ドラマシリーズ『犯罪者』
7月17日(金)より世界独占配信
出演:高橋一生・斎藤工・水上恒司・ユースケ・サンタマリア・MEGUMI・青木崇高・チョン・イル・井上瑞稀(KEY TO LIT)/内野聖陽
原作:太田愛『犯罪者』(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:櫻井武晴
監督:松永大司
制作:PROTX
©️ PROTX

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