2026.07.13
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山形県
#土門拳写真美術館#山形

細江英公(1933~2024)と土門拳(1909~1990)はともに近現代の写真界に大きな足跡を残した。
土門は1933年に写真の道を歩み始め、その仕事はやがて日中戦争から太平洋戦争へと連なる時代の渦へと飲み込まれていく。戦争期に国策協力的な撮影を数多く手がけたことへの反省は、戦後の彼を新しい写真の模索へと駆り立て、のちに写真界に大きな影響を与える「リアリズム写真運動」へと繋がっていった。その一方、当時の土門は “写真的肉体” という造語を用いて、欧米の写真家に負けない日本独自の力強い写真の在り方を目指してもいた。また同時期によく手がけたヌード写真などの背景には、戦後日本人の生命や生活の逞しさ・美しさを、肉体というモチーフを通じて表現したいという意志があったようである。
翻って、戦後の写真界において肉体やヌードに取り組み金字塔を打ち立てた作家として広く知られているのが細江英公だ。1950年代初頭に若くして頭角を現した細江は、小説家・三島由紀夫を被写体とした代表作『薔薇刑』をはじめ、人間の肉体を多様な実験的手法のもとで捉えた作品群によって強烈な視覚世界を提示し、生命や性といった根源的命題を私たちに突きつけてきた。そしてその写真表現は細江にとって「時代への反逆」であり、激動の戦後社会に対する「密室からの叫び」でもあったという。
両者はともに山形県に生まれ、写真界を牽引するとともに各々の立場から後進の育成に熱心に取り組んだ点でも共通する。世代や作品のスタイルが異なっても、互いの写真に敬意を抱き合っていた2人のあいだには深い交流があった。
本展は、時代や社会に応答しながら独自の写真世界を切り拓いた細江と土門による史上初の2人展。「肉体」をキーワードに据え、両者の軌跡を多角的に振り返る。また初展示となる約30点の土門作品を紹介する。
《同時開催》KDMoP Photo Selection 渋谷典子「竹の子族 / 映画の人びと」
酒田市出身の写真家・渋谷典子(1953~)は、1974〜1976年に存在し細江英公も講師に名を連ねた伝説的な私塾「WORKSHOP写真学校」で東松照明(1930~2012)と森山大道(1938~)に学んだのち、約半世紀にわたりフリーランスの写真家として歩んできた。写真雑誌や展覧会などを舞台に幅広く活動を展開してきた渋谷ですが、近年ではフランスの出版社から写真集が刊行されるなど、国内外でより一層注目を集めている。
多様なフィールドで撮影に取り組んできた彼女の作品の多くは、時代を象徴するような力強いエネルギーに満ちた人々の姿を被写体としたものである。本展では、渋谷のこれまでの仕事の中から、東京・原宿の歩行者天国に集り煌びやかな衣装とダンスで社会現象を巻き起こした若者たちにレンズを向けた「竹の子族」(1979〜1982年撮影)と、雑誌取材あるいはスチール撮影のカメラマンとして多数の映画作品に参加し、高倉健(1931~2014)や吉永小百合(1945~)といった日本を代表する俳優や現場を支えるスタッフたちの姿を活写した「映画の人びと」(1982〜1999年)の2つのシリーズを紹介する。また、これまでの足跡を示す貴重な資料や、渋谷が近年取り組んでいる地元・酒田の風景を写した最新作品群なども併せて展示する。
※KDMoP Photo Selection 渋谷典子「竹の子族 / 映画の人びと」は9月23日まで
