ソ・ジソブ主演のSBSドラマ『エージェント・キム:リアクティベーティッド』(Netflixで日本配信中)が、2026年下半期の韓国ドラマ界を席巻している。韓国では、放送開始からわずか4話で視聴率20%を突破し、これまでテレビドラマから離れていた20~30代の男性視聴者まで取り込み、大きな注目を集めている。

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    作品を支えるのは、ソ・ジソブ(48)、チェ・デフン(45)、ユン・ギョンホ(46)の3人が繰り広げる迫力満点のアクションだ。表向きは平凡な中年男性として暮らしながら、愛する家族や仲間を守るため、元特殊要員として再び命懸けの戦いに身を投じる。その泥臭くも熱いドラマが、世代や性別を超えて支持を集めている。

    そんな最強の”アジョシ・トリオ”を演じるこの3人は、本作で圧巻のアクションと存在感を放つ一方で、過去作では本作のイメージとはまったく異なる役柄を演じてきた。ヒッピー風ファッションに身を包む孤独な青年、家族に煙たがられる偏屈な老人、プライドばかり高い超小物な医大教授──。『エージェント・キム』で見せる精悍で頼もしい姿とのギャップを知れば、3人の俳優としての奥深さを改めて実感するはずだ。

    傷だらけで戦う哀愁のヒーロー「ソ・ジソブ」(写真=SBS)

    本作でソ・ジソブが演じるのは、愛する娘のため、自ら傷つき、限界を超えて戦い続ける一人の父親だ。圧倒的なアクションを見せながらも、表情には疲労や焦燥、父親としての切実な思いがにじむ。年齢を重ねた今だからこそ漂う哀愁が、キャラクターに深みを与えている。

    そんなソ・ジソブの代表作として欠かせないのが、2004年の大ヒットドラマ『ごめん、愛してる』だ。壮絶な人生を歩んできた孤独な青年ムヒョクを演じ、無造作なロングヘアにニット帽、重ね着スタイルやカーゴパンツを合わせたヒッピー風のファッションは、それまでの韓国ドラマの男性主人公像を覆す斬新なスタイルだった。

    このワイルドでアンニュイなビジュアルは当時の若者の支持を集め、「ムヒョクスタイル」を真似する男性が続出。ファッションや髪型までが社会現象となり、作品の中毒性と合わせて、ソ・ジソブの代表作として今なお語り継がれている。

    寡黙で荒々しい雰囲気をまといながら、愛する人の前では切ない表情をのぞかせるムヒョクと、『エージェント・キム』で傷だらけになりながら戦う現在の姿には、20年以上の時を経ても変わらないソ・ジソブならではの哀愁が息づいている。

    “クセ俳優”がついに本来の色気を発揮「チェ・デフン」

    『おつかれさま』では、IU演じるヒロイン・エスンの見合い相手として登場。嫉妬深く見栄っ張りな男を演じ、「ハクシ!(クソッ!)」という口癖も反響を呼んだ。さらに晩年まで演じ切り、頭頂部だけ髪が残ったバーコード頭に、ぽっこりと出たお腹、背中を丸めた歩き方で、家族に小言を言い続ける偏屈な老人へと変化。その徹底した役作りが高く評価され、百想芸術大賞助演男優賞を受賞している。

    (写真=SBS)

    一方、『エージェント・キム』では、184cmの長身に引き締まった体を生かし、テコンドーの胴衣姿も様になるエージェントを熱演。流行の黒縁メガネをかけた知的なビジュアルに、冷静な判断力と鋭いアクション、時折のぞかせるユーモアが絶妙に調和している。筆者も、「えっ?なんだ、かっこいいじゃない!」と思わず唸ってしまった。

    もともとチェ・デフンは端正な顔立ちの持ち主だ。それにもかかわらず、これまで『愛の不時着』ではユン・セリ(演者ソン・イェジン)に毎回やり込められる頼りない財閥家の長男、『おつかれさま』では見栄っ張りで器の小さい男と、「イケメンだからこそ痛々しさが際立つ」役柄を数多く演じてきた。『エージェント・キム』では、そんな「残念な男の名手」だったチェ・デフンが、本来持っている正統派の色気と格好良さを存分に発揮している。

    戦車のような破壊力で存在感を放つ「ユン・ギョンホ」(写真=SBS)

    普段は大声でしゃべり続け、場を引っかき回すムードメーカーだ。けれど、ひとたび戦闘が始まると一変し、恰幅のある体格を生かした重量級アクションで敵をねじ伏せる。その豪快な戦いぶりは、本作に大きな迫力をもたらしている。

    対照的に『トラウマコード』では、小心者の大学病院教授を好演。プライドは人一倍高いものの、ライバルに押され続ける情けない人物として笑いを誘いながらも、娘の命が危険にさらされる場面では、父親としての切実な感情をむき出しにする。コミカルさと人間臭さを自在に行き来する演技力は、本作での屈強な戦士像にも確かな説得力を与えている。

    『エージェント・キム』の魅力は、迫力あるアクションだけではない。ソ・ジソブ、チェ・デフン、ユン・ギョンホという実力派3人のそれぞれ積み重ねてきたキャリアが、キャラクターに厚みを与えている。彼らの過去作から本作への変化を知れば、『エージェント・キム』で見せる”アジョシ・トリオ”の姿は、さらに味わい深く映るはずだ。

    (文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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