県立図書館 舞台裏ストーリー 職員が書籍出版 多彩企画や空間づくり 試行錯誤つづる

    「新しい図書館でイベントを企画する」を手にする田村俊作館長(左)と宮原佑介さん=金沢市小立野の県立図書館で

     2022年7月の開館以来、人気を集める県立図書館(金沢市小立野)の舞台裏をつづった本「新しい図書館でイベントを企画する」が出版された。利用者を増やすために仕掛けた多種多様な企画、本の並べ方などの工夫を職員たちが明かしている。(谷口大河)

     「本に囲まれて仕事をしていたら、本を書きたくなった」と、執筆した県職員の宮原佑介さん(37)が語る。新図書館整備推進室時代から準備に携わり、開館後のイベント企画などを担った。開館後の人気に手ごたえを感じるとともに前後の職員の活動を活字に残したいと考えた。相談した田村俊作館長(76)に背中を押され、空良寛(そらよしひろ)さん、長谷部涼子さんと分担して書き上げた。

     同館は旧館からのリニューアル以来、図書館に関心が薄い層を呼び込もうと、イベントを積極的に開催。関連図書を展示するなど、本に手が伸びやすい環境をつくってきた。「いつも何かが開かれている図書館なら、何度も来てくれると考えた」と宮原さん。主催、共催のイベントは22年度は193回、23年度は266回、24年度は335回に上った。

     本ではマージャン大会、ピアノの設置、オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏会、ツエーゲン金沢のパブリックビューイング、恋活支援などの事例を紹介している。参加者が少ないなど「手ごたえがなかった」事例も明かされていて、試行錯誤が垣間見える。

     また4階まで吹き抜けになった円形の閲覧空間や、本と出合ってもらうためのテーマに沿った並べ方などの狙いを解説。子ども連れ、勉強したい人、静かに本や新聞を読みたい人など、多様な利用者が居心地よく過ごせる空間づくりを目指したことを伝える。

     図書館で働く人や設置する自治体の職員、図書館好きにはさまざまな発見が詰まった一冊。「失敗も含めて、気軽に読んでもらえたら」と宮原さん。監修した田村館長は「職員たちが今の県立図書館をどう作ったかが率直に書かれている。新しい図書館を考えるヒントになれば」と話した。勁草(けいそう)書房刊、2970円。県立図書館では郷土エリアに並べている。

    Share.

    Comments are closed.