愛知県美術館(名古屋市東区)で、「中日新聞社創業140年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」が7月9日から開催されます。

    北欧の国、スウェーデン。本展は、近年世界的に注目を集める北欧美術の中でも、スウェーデンの絵画に特化した日本初の展覧会です。1870年代後半、スウェーデンの若い芸術家たちはフランスに渡り、写実主義や自然主義、外光派の表現を学びました。しかし、次第にスウェーデンならではの絵画を描こうという思いを強めた画家たちは、故郷に帰り、北欧特有の風景や暮らしに目を向けます。日常にひそむささやかな喜びや、厳しくも美しい自然を詩情あふれる表現で描き出した画家たちの絵画は、のちの「スウェーデンらしさ」をかたちづくっていきました。本展ではスウェーデン国立美術館の全面協力のもと、19世紀末から20世紀初頭にかけて制作された約80点の傑作をとおして、スウェーデン美術の「黄金時代」が紹介されます。

    オット・ヘッセルボム《夏の夜(習作)》1900年頃 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Cecilia Heisser / Nationalmuseum

    中日新聞社創業140年記念
    スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

    会場:愛知県美術館[愛知芸術文化センター10階]
    (〒461-8525 名古屋市東区東桜1-13-2)

    会期:2026年7月9日(木)~10月4日(日)

    開館時間:10:00-17:00
    ※金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)

    休館日:月曜日(ただし7月20日、8月10日、9月21日は開館)、7月21日(火)、9月24日(木)

    観覧料(当日券):一般 2,000円、大学生 1,200円、高校生 700円
    ※中学生以下 無料
    ※本展のチケットで会期中に限りコレクション展も観覧可能
    ※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳(愛護手帳)、特定医療費受給者証(指定難病)
    または指定難病登録者証のいずれかをお持ちの方とその付き添いの方(1名)は無料で観覧可能
    当日会場で各種手帳(ミライロID可)または特定医療費受給者証(指定難病)
    または指定難病登録者証を要提示
    ※学生・生徒は当日会場で学生証(生徒手帳)を要提示

    アクセス:
    地下鉄東山線・名城線「栄」駅/名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、オアシス21連絡通路利用徒歩3分

    詳細は、展覧会特設サイトまで。

    展覧会の見どころ
    1. 100%スウェーデン!

    展示作品はすべてスウェーデン人作家によるもの。スウェーデンならではの厳しくも豊かな自然や、日常へのあたたかなまなざしが作品のなかで表現されています。「自然」「光」「日常のかがやき」といったキーワードから、現代のスウェーデンを象徴するウェルビーイングな暮らしのルーツを読み解いていきます。

    アーンシュト・ヨーセフソン《少年と手押し車》 1880年 油彩、板 スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Nationalmuseum
    2. 新たな表現を切り拓いた芸術家たちのまなざし

    19世紀後半、スウェーデンの画家たちは自国のアイデンティティを示す画題と、その表現にふさわしい方法を模索しました。画家たちはフランスで学んだレアリスムや自然主義から離れ、自身の感情や叙情的な雰囲気を重視した、独自の表現方法を築き上げます。この1880年代から1915年にかけての時期は、スウェーデン絵画の「黄金時代」と言われています。

    グスタヴ・アンカルクローナ《太古の時代》1897年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Åsa Lundén / Nationalmuseum
    3. 近年世界的に注目を集める、スウェーデン絵画に特化した展覧会

    近年、スウェーデン絵画はフランスやアメリカなどスウェーデン国外でも大規模な展覧会が開催され、世界的な注目を集めています。本展はスウェーデン国立美術館の全面協力のもと、約80点の作品でスウェーデン絵画の黄金時代を紹介する、日本初の展覧会です。展示作品のなかには、同国の国民的画家カール・ラーション、劇作家としても知られるアウグスト・ストリンドバリなど、今世界的に評価の高まっている画家たちの作品も含まれています。

    カール・ラーション《カードゲームの支度》1901年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Anna Danielsson / Nationalmuseum
    展示構成
    I スウェーデン近代絵画の夜明け

    芸術を志す者の多くが学んだスウェーデン王立美術アカデミー。1850年頃になると、画家たちはドイツのデュッセルドルフ派の劇的な表現を取り入れながら、北欧の歴史や神話を主題とする絵画を制作しました。

    ニルス・ブロメール《草原の妖精たち》 1850年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Cecilia Heisser / Nationalmuseum
    II パリをめざして――フランス近代絵画との出合い

    1870年代後半にフランスに渡った若い画家たちは、現実世界の観察に基づく絵画の表現に魅了されました。戸外での制作を通じて、画家たちは外光表現を身につけ、印象派にも接近していきます。

    ヒューゴ・サルムソン 《落穂拾いの少女》1880年代初頭 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Anna Danielsson / Nationalmuseum
    III グレ=シュル=ロワンの芸術家村

    パリ郊外に位置する小村グレ=シュル=ロワン。この素朴で穏やかな田舎の村に集ったスウェーデンの画家たちは、田園生活を送りながら光にあふれる牧歌的な絵画を制作しました。

    イエーオリ・パウリ《レース編み》1885年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum
    ブリューノ・リリエフォッシュ 《4種の鳥の習作(セアカモズ、ウズラクイナ、ズアオアトリ、キタヤナギムシクイ)》 1887年 油彩、板(左上)、カンヴァス (その他) スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum
    IV 日常のかがやき――“スウェーデンらしい”暮らしのなかで

    自らの国独自の芸術を創出する必要性を感じ始めた画家たちは、1880年代末までには故郷に帰り、身近なモチーフへと目を向けました。また、近代化の陰で失われつつあった伝統的な暮らしや、民俗文化なども取り上げました。

    カール・ラーション《アトリエ(『ある住まい』より)》1894-1899年 水彩、紙 スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum
    アンデシュ・ソーン《故郷の調べ》1920年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Viktor Fordell / Nationalmuseum
    V 現実のかなたへ――見えない世界を描く

    フランスから帰国した画家たちの中には、感情や気分といった自身の内面の表現に関心を寄せる者、また精神的な危うさを絵画に投影しようとする者も現れました。北欧神話やおとぎ話なども、神秘的なイメージを生み出す源泉となっていきます。

    アウグスト・ストリンドバリ《ワンダーランド》1894年 油彩、厚紙 スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Erik Cornelius / Nationalmuseum
    アーンシュト・ヨーセフソン《水の精(ネッケン)》1882年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Anna Danielsson / Nationalmuseum
    VI 自然とともに――新たなスウェーデン絵画の創造

    かつて「描くべきもののない国」とさえ言われたスウェーデン。しかし画家たちは様々な表情を見せる豊かな自然にこそスウェーデンらしさを見出し、独自の色彩感覚や構図で描き出しました。

    オーロフ・アルボレーリウス《ヴェストマンランド地方、エンゲルスバリの湖畔の眺め》 1893年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Cecilia Heisser / Nationalmuseum
    グスタヴ・フィエースタード《冬の月明かり》1895年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Hans Thorwid / Nationalmuseum
    カール・ノードシュトゥルム《テューン島のホーガ盆地》1897年 油彩、カンヴァス スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Anna Danielsson / Nationalmuseum

    北欧特有の厳しいながらも息をのむほど美しい自然と、その中で育まれた温かく穏やかな暮らしの情景。本展は、これまで日本で広く紹介される機会の少なかったスウェーデン近代絵画の魅力を、スウェーデン国立美術館の全面協力による約80点の傑作を通して心ゆくまで堪能できる極めて貴重な機会です。カール・ラーションをはじめとする巨匠たちが捉えた、日常にひそむささやかな喜びや美しい光のかがやきに包まれる空間へ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)

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