〇映画『氷血』とは?
『氷血』は、小泉八雲の怪談「雪女」をモチーフにしたサスペンス・ホラーです。
舞台は豪雪地帯。雪に閉ざされた旧家を中心に、家族の秘密と不可解な出来事が描かれます。ホラーというよりも、日本の怪談を現代風にアレンジしたような空気感が特徴の作品です。
〇キャスト
* 稔(みのる):北山宏光
* 悠希(ゆうき):加藤千尋
* 茂(しげる):佐野史郎
* 出演:佐津川愛美、渡辺哲、福島リラ ほか
〇良かった点
「 怪談らしい空気感が心地いい」
本作で最も印象的だったのは、ホラー映画というより日本の怪談を見ているような雰囲気です。
「雪女」という題材は映画でも何度も扱われていますが、本作はジャンプスケアに頼るのではなく、不穏な空気や静かな恐怖で魅せてくれます。
豪雪地帯という逃げ場のない環境も恐怖を引き立てており、家の中ですら安心できない閉塞感が作品全体を包んでいました。
「 雪景色を生かした映像演出」
雪原を空撮で捉えたシーンは非常に印象的でした。
ネタバレになるため詳しくは触れませんが、真っ白な雪原に描かれるある「痕跡」が、美しさと不気味さを同時に演出しています。
また、雪女が夜だけではなく昼間にも姿を現すことで、「いつ現れるか分からない」という新たな恐怖を生み出していました。
「子供の視点で描かれる恐怖」
個人的に本作で最も評価したいポイントです。
主人公夫婦の息子・晶は、親の都合で都会から豪雪地帯へ引っ越してきます。
夜になると吹雪の音は女性の叫び声のように聞こえ、祖父の叫び声や物を叩く音まで響いてくる。
恐る恐る部屋を覗いた晶の目には、母が祖父を殴っているように映ります。
しかし実際には、祖父が食べ物を喉に詰まらせ、それを助けようとしている場面でした。
大人には理解できる出来事も、子供には恐怖として映る。
こうした「子供だからこそ感じる怪談」が丁寧に描かれており、本作ならではの魅力になっていました。
〇気になった点
「 後半はご都合主義な展開が目立つ」
前半の雰囲気づくりは非常に良かっただけに、後半は少し惜しく感じました。
ネタバレは避けますが、
* 拘束された人物が簡単に脱出する
* 重傷を負った人物がすぐ動き回る
* 記録的豪雪の中を軽自動車で難なく移動する
など、細かな部分が気になってしまいます。
ホラー作品なので多少は割り切れますが、前半の完成度が高かっただけに残念でした。
「北山宏光の熱演は賛否が分かれるかも」
主人公・稔は劇中で妻や息子に激しい暴力を振るう場面があります。
かなり迫力のある演技なので、北山宏光さんのファンは驚くかもしれません。
ただ、それだけ役に入り込んでいたとも言え、俳優としての新たな一面を見ることができました。
※過去に横浜流星さんが映画『流浪の月』の役柄でインスタのフォロワーが激減したように。
〇総合評価
評価:★★★☆☆
小泉八雲の「雪女」の世界観を現代風の怪談として再構築した点は非常に魅力的でした。
豪雪地帯という舞台設定、音響、映像演出、そして子供視点による恐怖表現は、本作ならではの見どころです。
一方で、後半は展開を急ぎすぎた印象があり、ご都合主義に感じる場面も少なくありませんでした。
それでも、静かな怪談ホラーが好きな人には十分おすすめできる作品です。
〇こんな人におすすめ
* 日本の怪談や民話をモチーフにしたホラーが好きな人
* ジャンプスケアより雰囲気で怖がらせる作品が好きな人
* 雪景色や閉鎖空間を生かした映像演出を楽しみたい人
* 北山宏光さんの俳優としての新たな一面を見てみたい人
以上
