『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』#3
伊藤敏
2026/07/03/ 11:00
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『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』では、古代から21世紀に至る人類の経験した主要な戦争を通じて、戦争が人類にどのような変革をもたらしたかを詳説している/写真はイメージです(GettyImages)
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「国のために戦う」という考えは、いつから当たり前になったのでしょうか。人々が戦争に向き合う理由は、時代によって大きく異なります。宗教改革、三十年戦争、植民地戦争、フランス革命――その前後を追うと、現代の「国家」や「国民」の誕生が見えてきます。伊藤敏監修『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』から一部抜粋して読み解きます。
【画像】ビフォーアフターが一目でわかる『戦争が変えた世界史』表紙はこちら
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宗教改革と植民地戦争年表
ローマ教会の衰退から起きた宗教改革は、新教と旧教の激しい対立を生みました。一方、大航海時代の到来とともに世界はつながり、スペインやポルトガルなどの海洋国家が覇権を争いました。
この時代の戦争の特徴は?
主権国家の誕生と領土・覇権を巡る対立
15世紀から18世紀にかけての近代の戦争は、それまでの普遍的な宗教権威が後退し、明確な領土を持つ「主権国家」同士の生き残りをかけた争いへと変貌しました。まずは16世紀、宗教改革によってキリスト教世界が分裂し、信仰を名目とした凄惨な内戦が欧州全土を覆いました。特にドイツを舞台とした「三十年戦争」は、当初の宗教対立から、フランスやスウェーデンなどによる国家の勢力均衡を目的とした権力政治へと変質しました。この終結により、教会ではなく「国家」が外交や戦争の主体となるウェストファリア体制が確立され、近代国際社会の骨格が形成されました。
その後、対立の舞台は欧州大陸を越え、海を隔てた植民地や世界市場の覇権争いへと拡大しました。イギリスとフランスを中心とする列強は、重商主義のもとで新大陸やインドの利権を奪い合いました。七年戦争などの衝突は、実質的に「最初の世界大戦」としての側面を持ち、富の源泉である貿易路の独占をかけた熾烈な「経済的生存競争」となりました。この時期の戦争は、王家の名誉以上に、国家の威信と膨大な財政を投じる国家事業へと進化しました。そして18世紀末、軍事力の肥大化は絶対王政の財政を圧迫し、フランス革命という巨大な社会変動を引き起こしました。主権者となった国民が自ら武器を取る「国民軍」の誕生は、戦争を再び新たな次元へと推し進めることとなったのです。
年表
『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』から/戦争や戦争技術などは、どのように世界史を変えてきた? 豊富な資料と図解で、古代〜2026年のイラン戦争まで、約3000年・65のエポックメイキングを振り返ります
『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』から/戦争や戦争技術などは、どのように世界史を変えてきた? 豊富な資料と図解で、古代〜2026年のイラン戦争まで、約3000年・65のエポックメイキングを振り返ります
戦争を知る
戦争規模が拡大するいっぽうで新たに戦争を担ったのは?
中世から近世は戦争の主役が貴族から傭兵になっていった。しかし、それには多額の資金が必要となる。そうしたことから、三十年戦争の際にスウェーデンは「徴兵制」を導入。しかし、部隊の質の低下は否めなかった。また、プロイセンのフリードリヒ大王も志願制だけでは兵力が不足していたため、農民を強制的に駆り出した。
近世ヨーロッパの戦争はこうした問題にぶつかっていたが、それを解消したのが「フランス革命」である。王を処刑し、「国民国家」を誕生させたフランスは、周囲の国々(王朝)から革命思想の拡散を警戒され、戦争状態に陥る(フランス革命戦争→ p102)。
この危機にフランス政府は国民に「祖国」を守るよう呼びかけると、各地から庶民が義勇軍として駆けつける(この時、マルセイユの部隊が歌っていたラ・マルセイエーズはフランス国歌となった)。これまで王や貴族の戦争に巻き込まれていた庶民が自分の国のために戦うという意識へと変わった。
こうして「国民軍」が誕生したのである。のち徴兵が行われて常備軍として革命戦争を戦った。この国民軍を率いてヨーロッパを席巻したのがナポレオン・ボナパルトだ。
『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』から/戦争や戦争技術などは、どのように世界史を変えてきた? 豊富な資料と図解で、古代〜2026年のイラン戦争まで、約3000年・65のエポックメイキングを振り返ります
(書籍『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』から一部抜粋)
『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』から/戦争や戦争技術などは、どのように世界史を変えてきた? 豊富な資料と図解で、古代〜2026年のイラン戦争まで、約3000年・65のエポックメイキングを振り返ります
【AERA Books MEMO】
■『ビフォーとアフターが一目でわかる 戦争が変えた世界史』
本書の第3章では、バラ戦争のほか、チャルディラーンの戦い、ユグノー戦争、オランダ独立戦争、レパントの海戦、三十年戦争、三十国戦争、大北方戦争、スペイン継承戦争、七年戦争など宗教改革と植民地戦争を詳説。豊富な資料と図解で、古代〜2026年のイラン戦争まで、約3000年・65の戦争史を網羅した一冊。
