音楽、アニメ、ゲーム、キャラクター、イベントなど、人に感動を提供するエンタテインメントにはさまざまなジャンルがあり、そのジャンルの数だけ多種多様な職種が存在する。
連載企画「エンタメ業界のお仕事紹介」では、ソニーミュージックグループで働くスタッフの生の声から、エンタメ業界に存在する職種と業務内容、そして、その仕事にどんな“やりがい”や“魅力”があるのかを紐解いていく。
今回は、音楽CDやグッズを販売するEコマース(以下、EC)サイト「Sony Music Shop」の運営に携わる、ECサイト運営担当者に話を聞いた。

KOHEI
ECサイト運営(Sony Music Shop担当)
キャリア:5年目
【解説】ECサイト運営
ソニーミュージック公式直販サイト「Sony Music Shop」や、特典付き商品の応募、購入専用サイト「forTUNE music」などEコマースサイトの運営、マーケティングを行なう。また、各種Eコマースサイトの制作、運営を行なうと同時に、自社物流を持つ強みをいかし、タイムリーなサービス提供を実現する。
ソニーミュージックグループを志望した理由は?
大学時代は、文学部で美学美術史学を専攻していました。そこで学芸員資格を取得するカリキュラムもありましたが、私が興味を抱いたのは博物館や美術館、コンサートホールなどの施設運営の経営。“場”を通じて表現者を支える裏方の仕事をしたいという思いがありました。
そのうえで、エンタテインメントのジャンルで特に好きだったのが音楽です。中学時代、ドラマの主題歌になっていたザ・ローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」を聴き、すごくカッコイイと感じたんですね。“最近の洋楽かな”と思って調べたら、当時、既に40年以上前に生まれた楽曲であるということに驚いて。そこから1960年代以降の洋楽をよく聴くようになりました。
音楽は国と地域、言語を超えて人と人をつなげることができる“共通言語”だと思っています。実際、自分が海外旅行に行ったときも音楽がきっかけで現地の人と打ち解けたことがあり、そこから音楽の魅力を広めていく仕事にも興味を持つようになりました。
そういった背景があって就職活動を始め、エンタテインメント関連の企業をいろいろと調べたところソニーミュージックグループが、音楽の企画、制作に加えて、ライブやイベント、展覧会の企画、制作、運営なども手がけていることを知って、入社を志望しました。

ECサイト運営(Sony Music Shop担当)ってどんな仕事?
ソニーミュージックの公式直販サイト「Sony Music Shop」の運営を担当しています。
具体的には、CDやグッズなど、ショップで取り扱っている商品のシステム登録から、発送までの流れを一元で管理。一般的な音楽営業(セールス)がパッケージ商品を店舗に流通させる役割を担うのに対し、ECサイト運営では「Sony Music Shop」のバックオフィスから、物流を担っているJAREDと連携して、商品の出荷業務まで携わっています。
また、近年のCD販売は、グッズやイベント参加の抽選券などの特典付き商品が主力になっています。その特典や施策を、レーベルのA&R(音楽企画制作)やマーケティング担当にヒアリングしたり、ファンの動向をリサーチして、こちらからも特典企画をレーベルに提案したりしながら、さまざまな施策にも取り組んでいます。
ECサイト運営(Sony Music Shop担当)のやりがいや魅力は?
「Sony Music Shop」では、音楽番組の特番やフェス、イベントなどに合わせて“出演するアーティストの特典を企画しよう”“この期間だけポイントを2倍にして顧客の定着を図ろう”といったように、独自のキャンペーン施策を展開しています。
こういった施策は、世の中のトレンドに合わせてスピーディに動かなければいけないわけですが、上長たちが「現場の判断に任せます」と言ってくれて、若手でも裁量を与えてもらっているので、やりがいを持って取り組むことができています。加えて、サイトデザインの変更や特設ページの制作に関わることもあって、自分が担当したページの売上が大きく伸びたときは、やっぱりうれしいですね。

また、ソニーミュージックグループはカタログのラインナップも非常に豊富なので、新譜と旧譜を組み合わせた購入特典や、旧譜購入時のポイントアップキャンペーンなど、ソニーミュージックグループならではの強みをいかした施策も行なっています。そうした施策が、しっかり成果につながったときも、達成感につながっています。
なかでも印象に残っているのが、あるアーティストの再結成時に行なった施策です。レーベルの担当者と相談しながら特典内容を検討し、一定金額以上の購入者にアルバムジャケットを並べたデザインの特典をプレゼントする企画を実施。その特典が好評で、旧譜でありながらも多くの反響をいただきました。
さらに、ファンの方々の反応を直接見ることができるのも、この仕事の醍醐味です。ライブ会場で自分たちが販売したグッズを身につけているファンの方を目にするとうれしくなりますし、SNSでリポスト企画やプレゼント施策を行なった際に“「Sony Music Shop」で買って良かった”という声を目にしたときは、自分の仕事が誰かの喜びや幸せにつながっているということが実感できて、やりがいを感じます。

どんな人がECサイト運営に向いている?
僕たちのチームでは、商品の売上、販売数はもちろんのこと、サイトのアナリティクスデータからさまざまな情報を得ることができます。それらの数字を読み解き、次の施策にどのようにいかしていくかが重要になります。
いっぽうで、データだけでなく、ファンの方々の声に触れることも欠かせません。SNSやキャンペーンを行なった際の反響を通じて、その企画、特典がニーズに合っていたのか、喜んでもらえたのかを自分の目で確認し、もし、そこに不満があったなら、次はそういう声が出ないように課題としていかしていく。
定量的な分析と定性的な感覚の両方が必要になってくるので、ECだからといってデータだけに頼らず、その画面の向こうに生身の人間が存在しているという意識をしっかり持てる人。そういう感覚を大事にしている人が向いているのかなと思います。
それともうひとつ大切なのは、パッケージ商品やIPに対する熱量。アイドル、アーティスト、グッズなど、何かに対して“好き”という気持ちと所有欲がある人、何かに対して強い興味を持ち、深く知ろうとする姿勢がある人ほど活躍できる仕事だと思います。
部署や会社の雰囲気は?
毎年、新入社員が部署に加わるため、年齢層は若く20代のメンバーが中心です。僕自身も入社5年目ですが、在籍年数としては長いほうに入るくらいなので、若手の人ほど働きやすい環境だと感じています。
それと、お話しした通り、何かしらの分野に強いこだわりや熱量を持っている人が多いのも特徴ですね。音楽に限らず、お笑いや演劇など、それぞれに“好き”を持っている人が多いです。自分も採用面接では、昔の洋楽だけでなく古今東西のトレンドも追っていることを伝えるために、“今、トルコのラッパーが熱いんです!”という話をしました。そうした自分なりの関心や熱意をしっかり言葉にできる人が、ソニーミュージックグループという環境には合っているのかもしれません。

入社前と入社後でギャップはあった?
正直なところ“CDってまだこんなに売れるんだ!”というのが、入社してすぐに感じたギャップでした。自分は入社するまでCDをほとんど買ったことがなく、音楽を聴くときはストリーミングがメインだったので、CDの予約や購入特典といった文化に馴染みがありませんでした。実際に業務に関わるなかで、日本の音楽業界においてはパッケージ市場がしっかり成立していることと、その市場を支えるコアなファンの方々の熱量の高さに驚かされましたね。
思い描くキャリアプランは?
ソニーミュージックグループでは、キャリアを積んでいくと会社内での異動はもちろん、グループ内の会社間異動もあって、多い人は複数回、少ない人でも一度や二度は異動を経験しています。自分も新卒入社で、既に5年が経過していることを考えると、そう遠くない未来で次のステップに進むことを意識しています。
そのうえで、今の部署では音楽商品の販売、流通、サイト制作など、さまざまな業務に携わらせてもらっているので、この経験を配信など別の分野でも何かしらいかせる道に進めたらと考えています。「Sony Music Shop」の運営業務で培った“お客様に近い場所で仕事をした経験”を大きな力に変えていきたいですね。

文・取材:野本由起
撮影:干川 修
