
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
川久保玲は、これまで混迷を極める世界への怒りや憂い、危機感、祈り、そしてわずかな希望をコレクションやショーで表現してきた。張り詰める空気の中、それは観るものの心を揺さぶるだけでなく、時に恐怖を感じさせることさえある。しかし、6月26日にパリのエリゼ・モンマルトル劇場で行われた「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS)」2027年春夏コレクションのショーは、意外にも軽やかで明るいムードにあふれていた。
今季のタイトルは、「もし戦争が終わったら(If The War Were To End..)」。川久保は、「Anti War(反戦)」をテーマにした15年春夏や「To Hell with War(戦争なんてうんざり)」と題した25-26年秋冬でも、戦争に対する思いを軍服の解体・再構築などでデザインに直接的に落とし込んでいたが、今季は空気感によって希望や新しい未来を表現したかったという。
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクション
そんなコレクションは、軽やかなテーラリングが主役。フレアに広がるフロックコートや、裾にプリーツや中綿を加えたジャケットに、チュニックやシャツ、裾がひらひら揺れるショーツやクロップドパンツ、ニッカボッカ、スカートなどを合わせる自由なスタイルを連打する。ただ用いる色柄はカラフルで多様。シャツのような薄手のストライプ地のセットアップルックから始まり、パステルカラーのパッチワークやプリントで描く迷彩風の柄、コントラストの効いた色合わせ、タータンチェックなどが続く。
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
中盤以降は、ブランドの代名詞である「黒」も登場したが、インナーに赤や黄色のシャツを合わせたり、ビビッドカラーの生地やメッシュをはぎあわせたり。終盤は、鮮やかなカラーブロッキングと大胆なタイポグラフィで、ブランド名や「MY ENERGY comes from freedom and a rebellious spirit(私の原動力は自由と反骨精神)」など川久保の信念を映し出すメッセージをグラフィカルに表現した。
そしてショーの最後にザ・ラングレー・スクールズ・ミュージック・プロジェクト(The Langley Schools Music Project)の子どもたちの無邪気な歌声が流れると、色とりどりのTシャツやシャツを着たモデルたちが一斉に登場。和気藹々とランウエイを駆ける姿に、会場は歓喜に包まれた。

「コム デ ギャルソン・オム プリュス」2027年春夏コレクションから PHOTO:KO TSUCHIYA
ただ、今季のコレクションはそれだけでは終わらない。川久保はショーという限られた空間だけでなく、より開かれた場でも自身の思いを表すため、ドーバー ストリート マーケット パリ(DOVER STREET MARKET PARIS)の中庭でインスタレーションを開催。ショー終盤に用いたプリント生地の旗を吊り下げて円形に並べた作品を展示している。

ドーバー ストリート マーケット パリでのインスタレーション PHOTO: MAURITS PETERS
振り返ると、半年前に彼女は「ブラックホールから抜け出そう」というメッセージをコレクションに込め、ショーの演出を通して小さな希望を示した。今季描いたのは、その暗闇のような混沌とした今を抜け出した後の彩り豊かな未来なのだろう。ショーのラストやインスタレーションからは、「もし戦争が終わったら」という願いの先にある平和に必要な「団結」を示しているようにも感じられた。
