マイケル・ジャクソンについては、80年代のアイコンというイメージが強く、楽曲も詳しいわけではありませんが、『スリラー』や『BAD』など、誰もが一度は耳にしたことのある曲ばかりで、存在そのものが文化になっていた人物なのだと改めて感じました。
本作は、ジャクソン5時代から始まり、厳格で暴力的な父親の支配から独立していく過程を描いています。兄弟との関わりは意外と少なく、父親、母親、そしてマイケル本人の関係性が中心となっていました。
最初は成功とお金を手に入れていく物語なのかと思っていましたが、見終わってみると、むしろ「逃避の物語」だったように感じました。幼少期に失ったものを埋めるかのように、子どもや動物を愛し、世界中の人々を幸せにしようとする姿が印象的でした。ネバーランドも、現実から逃れられる理想郷を作ろうとしていたのかもしれません。
一方で、マイケルの本当の影の部分については、あえて深く踏み込んでいない印象も受けました。晩年の孤独や薬物依存、精神的な苦悩など、複雑な部分はほとんど描かれず、「永遠の少年」という神話的な人物像として描かれていたように思います。
主演の俳優は、最初はそこまで似ているとは感じませんでしたが、物語が進むにつれて少しずつ私たちの知っているマイケル・ジャクソンの顔に近づいていき、その変化を見ているだけでも楽しめました。ただ、本人が持っていた圧倒的なカリスマ性までは再現しきれないのも、それだけマイケル本人が特別な存在だったということなのでしょう。
終盤になっても死まで描かれず、「続く」という形で終わったので驚きましたが、これだけ壮絶な人生を2時間程度で収めるのは難しいのだと思います。伝説のスターの人生を暴く作品というよりも、「永遠の少年になろうとした一人の人間」の物語として見ると、とても興味深い作品でした。
鑑賞方法: IMAX (オープニングのムービーが変わっていた)
評価: 80点
