調布国際音楽祭2026 権代敦彦×鈴木優人 オペラ≪ZEN≫について語る

    調布国際音楽祭2026 権代敦彦×鈴木優人 オペラ≪ZEN≫について語る

    オペラ《ZEN》の生みの親である作曲家・権代敦彦と、調布国際音楽祭のエグゼクティブ・プロデューサーであり本作で指揮を務める鈴木優人。初演直前の緊張感の中、制作秘話や作品に込めた思想を語り合うスペシャルトークイベントが行われた。
    このオペラが頭に浮かんでから10年。そして今年、ようやく初演を迎える。

    金沢にあるオーケストランサンブル金沢、岩城宏之のもと、石川県と金沢市によって、日本初のプロフェッショナルの常設室内管弦楽団として1988年に設立され、座付作曲家による新曲の演奏や録音、また積極的な海外公演など、設立当初より独自の活動を展開してきている。「そのコンポーザーに、岩城さんの時代に、まず一度選んでいただいた」と権代敦彦。金沢時代に『84000×0=0 for Orchestra 作品88』を発表し、その後、『Vice Versa —逆も真なり』を発表。また、権代敦彦は建築に興味があったそう。今回のオペラ≪ZEN≫に登場する人物、鈴木大拙と親友の西田幾多郎という日本を代表する2人の哲学者。金沢より北に20km。 かほく市に安藤忠雄が設計した西田幾多郎記念晢学館がある。日本で唯一の「哲学の博物館 Museum of Philosophy」。ここに行ったことがあると権代敦彦。そして鈴木大拙、金沢市内に鈴木大拙館がある。それでこの二人を題材にしたオペラをかきたいと思い、OKももらったそう。そこから紆余曲折を経て、この調布国際音楽祭2026で世界初演を迎える。脚本は堤晴恵が担う。鈴木優人とはコロナ禍のタイミングで会ったそう。
    物語の時代背景は第二次世界大戦、日本は敗戦国となる。物語の最初は1941年、「鈴木大拙と西田幾多郎の議論から始まって、そして戦争が始まって」と語る。戦争が終わり、徴兵された者の中にはBC戦犯として裁かれた者もいた。シンガポールのチャンギ刑務所、そこに戦犯として囚われていた木村和夫、同じ刑務所で鷹野清と知り合う。木村は鷹野に西田の本「哲学の根本問題」を借りようとするも断られる。だが、鷹野は思い直し、木村に本を貸す。木村は死刑になり、鷹野は減刑される。木村は最後のその言葉をその本の片隅に書く。後に鷹野は帰国し、木村の妹の正子の元を訪れて…というのが物語の大体の流れ。
    今回のオペラでの注目すべき点は言葉と音楽。どういう作品なのか、演出はどうなるのかは観てのお楽しみ。「言葉がまずないことには、いかなる音楽も生まれないのではないか」「このオペラは最後、没入することが目的」と語る。
    構想10年、出演する歌手は全員男性、出演は鈴木大拙:加耒徹(バリトン)、西田幾多郎:与那城敬(バリトン)、木村和夫:櫻田亮(テノール)、鷹野清:加藤宏隆(バスバリトン)、木村正子:村松稔之(カウンターテナー)、看守:渡辺祐介(バス)。黒田鈴尊(尺八)、演出:田尾下哲という布陣。タイトルの≪ZEN≫、このタイトルにはさまざまな意味が込められている。『Z』はアルファベットの最後の文字、『N』は日本語で『ん』、あいうえお順で最後の文字。真ん中の『E』は『endless』『end』そして『禅』etc.
    最後に「いい形で初演が迎えられそう」と権代敦彦と鈴木優人。公演はもうすぐ。2幕もの。

    【あらすじ】
    第二次大戦前夜、哲学者西田幾多郎と仏教学者鈴木大拙は敵と味方を分ける西洋の二者択一の論理を乗り越えようと苦闘する。しかし戦争が始まり、鷹野清は軍医として、木村和夫は学徒出陣で戦場に赴く。敗戦直前に幾多郎は世を去る。

    終戦直後のシンガポール戦犯刑務所。木村は南の島で島民を殺害したとして死刑を宣告され、鷹野もまた上官の命令でスパイを殺し死刑判決を受ける。減刑された鷹野は木村に西田幾多郎の著書「哲学の根本問題」を譲り、木村は本の余白に遺書を書き残して絞首台に登る。

    10年後に帰国した鷹野は、木村の妹から本を受け取って木村の遺書を読む。スパイを殺した自分が生き残り、無実だった木村の最後の言葉を背負う重さに耐えかねて、鷹野は地下の幾多郎に本を返して死の世界に赴こうとする。大拙は鷹野を二者択一を越えた禅の教えへと導き、自他が一つになる「妙」、すなわちWonderfulの境地を世界に説く。

    公演概要
    日程・会場:2026年6月26日 調布市文化会館たづくりくすのきホール
    指揮:鈴木優人
    作曲:権代敦彦
    脚本:堤 春恵
    演出:田尾下哲
    出演:
    鈴木大拙:加耒徹(バリトン)、西田幾多郎:与那城敬(バリトン)、木村和夫:櫻田亮(テノール)、鷹野清:加藤宏隆(バスバリトン)、木村正子:村松稔之(カウンターテナー)、看守:渡辺祐介(バス)
    黒田鈴尊(尺八)
    バッハ・コレギウム・ジャパン(管弦楽・男声合唱)

    公式サイト:https://chofumusicfestival.com

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