『超節約生活で星野リゾート全制覇に400万使ったOLの極論』インタビュー前編
OLのミカ。
2026/06/23/ 16:30
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『超節約生活で星野リゾート全制覇に400万使ったOLの極論』著者のOLのミカ。さん/「具体的な金額目標があり、それに向けてランチを玄米ご飯にするといった、いい感じの“貧乏性”が発揮されていて、ただの豪遊レポートではないおもしろさがありました。社内の複数の編集者から担当したい、書籍化したいとの声があがる作品でした。」という選評とともに創作大賞2025・朝日新聞出版賞を受賞。書籍化デビュー。(撮影:写真映像部・山本二葉)
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創作大賞2025(note × TALES主催)で朝日新聞出版賞を受賞し、書籍化が決まった『超節約生活で星野リゾート全制覇に400万使ったOLの極論』。著者であるOLのミカ。さんに、「星野リゾート全制覇」に挑戦した経緯と、創作大賞の選評で「いい感じの“貧乏性”」と評価された節約術について聞きました。
【写真】星野リゾート全制覇! 前代未聞の旅行ガイド×節約術×エッセイ集はこちら
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前髪カットのみ! 400万円節約術
――なぜ「星野リゾート全制覇」に挑戦しようと思ったのでしょうか?
当時付き合っていた7歳年下の彼氏に「ミカちゃんよりも面白いコンテンツが世の中にはたくさんあると思った」と突然振られたことがきっかけでした。たかが失恋だと思いつつも引きずるし、毎日自分のどこがいけなかったのかなとか、考えても仕方がないことまで考えてしまう……。少しでも意識を飛ばしたいなと思い、2021年の11月に「リゾナーレ小浜島」(沖縄県)に行ったところから始まりました。
1カ所行ってみても、30代の失恋を癒やすには足りない。星野リゾートが当時60施設ほどあったので、毎月行けば5年くらい楽しめるんじゃない?と思い立ち、全制覇を決意しました。
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――海外施設も合わせて全制覇のために400万円という大金を使われたそうですね。
約15年頑張っているとはいえ、普通のOLです。星野リゾート制覇のため、節約を徹底しました。
例えばご飯は親戚からもらった「玄米」をベースに、会社にもおにぎりを持参。そうしていると、周りの人には「本当に節約してるんだね」と認識してもらえます。節約のためにも一番避けたいのは飲み会なので……(笑)。ブレそうになったときは「伝説の二次会はめったにないし、伝説の三・四次会は記憶にない」を胸に抱きしめていました。
あとは髪形です。もともとはカット・カラー・トリートメントなどで、一度に2万円とかをかけていましたが、今は前髪カットのみで600円です。お金をかけて髪色を変えても誰にも気づいてもらえないことがある。でも前髪を切ったときって「すごい切ったね」みたいに声をかけられることが異常に多いんです。コスパもいいし、清潔感が保たれているなら問題ないかなと思い、今でも継続しています。友達に「剛毛だったらそうはいかないよ」と言われました(笑)、髪質がよかったですね。
出産した友達が「半年美容院行けてないんだよね……」と言っているのを聞き、黒髪ロングであれば美容院代節約も可能と発覚。推しがCMをしている「8 THE THALASSO」でぷるんとした美髪を維持(撮影:写真映像部・山本二葉)
――「星野リゾート全制覇」という大義名分はありますが、極端な節約にくじけそうになったことはないのでしょうか?
一番きつかったのがネイルをしなくなったことです。それまでは7年ほど継続して行っていたので、自分の爪を見て切ない気持ちになったり、「何をしてるんだろう」って思ったりしたこともありました。洋服ならばメルカリで売ってメルカリで買うということもできますが、ネイルだけはそれができない。でもネイル代って金額が分かりやすいんですよ。1万円を12カ月なので、やめるだけで12万円捻出できる……。一時期家にあるマニキュアを塗ってみたこともありましたが、どうしてもジェルネイルが恋しくなるので、それも全部捨てましたね。
――節約できる範囲は切り詰め、1563日(約4年半)をかけて星野リゾート69施設全制覇を達成されました。終わったときはどのような感情になりましたか?
はじめはスケジュールと予算の関係で海外を対象に入れておらず、区切りとして国内の62施設を制覇したのが2025年の9月でした。
国内では山口県の「界 長門」を最後に訪れたのですが、その後「リゾナーレ下関」など新たな施設ができるのは分かっていたので、自分の中ではそれほど区切りとして感じていなかったんです。でも、「界 長門」宛てに母親と、10施設を一緒に巡った友達からお花や電報が届いており、そこで本当に終わったんだと実感しました。
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今思えば確かに母親には何日に行くの?としつこく聞かれていたのですが、そんなに不自然には思わなくて……(笑)。私よりも周りの人たちのほうが、この挑戦をすごく楽しみにしてくれていたんだな、ということをすごく感じましたね。
次の挑戦は「カナダ留学」
――そもそもなぜnoteで書こうと思ったのでしょうか?
やっぱり元彼に言われた「ミカちゃんよりも面白いコンテンツ」という言葉を根に持っていて(笑)、コンテンツにしなくちゃなって……。もともと旅行は好きなので、ブログに書いたり、インスタに載せたりしたことは過去にもあったのですが、せっかく星野リゾートを制覇するならまとまった数も書けるし、それがいずれ本になればいいなとうっすら思っていました。
「これから起こることを、このノートを日記帳にして記録しなければ」と決意した2025年10月1日。(撮影:写真映像部・山本二葉)” loading=”lazy”>
創作大賞2025受賞連絡をうけ、閉店間際の文房具屋さんに駆け込み買ったという少しお高いノート。「これから起こることを、このノートを日記帳にして記録しなければ」と決意した2025年10月1日。(撮影:写真映像部・山本二葉)
私が大学生くらいの頃はアメブロ(アメーバブログ)から本になるのが主流だったのですが、今の時代はnoteになったのかなと思い、アカウントを開設しました。
――「コンテンツ」という言葉を投げかけてきた元彼は、ミカさんの挑戦をご存じですか?
知っています。確認したのは2年目ぐらいのタイミングだったのですが、「節約したお金で趣味にめちゃくちゃ投資する人」としてテレビ番組に出演したことがきっかけでした。出る際にディレクターさんから「元カレの写真を貸してください」と言われて、意を決して連絡を取ってみたんです。別れのセリフについても本人は「記憶にはないけど、そのようなことは言いそうだ」とは言っていました(笑)。
――次なる目標はあるのでしょうか?
そうですね。全制覇したと思いきや、次々と施設が増えていて、「星野リゾート全制覇」も終わるようで終わらないのですが……(笑)、今は40歳までにどうにか英語をしゃべれるようになりたいと思い、カナダ留学への準備を進めています。
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「終わったら何をするのか」というのはいろんな人から聞かれるだろうと思っていて、自分としても燃え尽き症候群の予感もあったので、昨年の頭ぐらいから答えを用意しておかないと、と考えていました。「アパホテルを制覇するんですか?」とか、「帝国ホテルですか?」みたいなことを聞かれたりしていたんですが、人が想像できる違うホテルグループに行くのでは、次の挑戦としても多分面白くないだろうと思ったりもして(笑)。だから「カナダに行く」って言って「なんで?」となる感じもいいかなって思っています。
――「カナダ」というのには何か理由があるのでしょうか?
書籍の中にも出てきますが、実は星野リゾートの挑戦の合間にひと夏の恋がありました。でもその恋もすぐ終わってしまって、「まずい、星野リゾートだけでは気持ちがもたないぞ」と大ピンチな状態に陥っていたんです。そのとき、たまたま「アウト×デラックス」に『ようやくカナダに行きまして』の宣伝で光浦靖子さんが出ているのを拝見して……。私も一度、16歳の頃に1カ月だけ留学していたのですが、そこから20年近く何も勉強していなかったなと思ったんです。気づけば人生で一番頑張ったことが受験勉強から更新されないまま30代後半になっていました。留学しないまま人生終わってしまうのかな、というのはどこかで心残りにもなっていると気づいたので、どうにか頑張ろうと思っています。
「星野リゾート全制覇」も「カナダ留学」も、両方失恋で一回落ちたところから始まっているので、もしそれがなかったら挑戦しようと思っていなかったかもしれないですね。
OLのミカ。
1988年生まれ。都内で働く会社員兼エッセイスト。立教大学観光学部卒業。語れるほど好きなものは、平成テレビドラマと深夜ラジオとマンガ。マンガ愛が高じて、宝島社『このマンガがすごい!2026』各界のマンガ好き選考員に選出。著書に『超節約生活で星野リゾート全制覇に400万使ったOLの極論』(朝日新聞出版)。
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構成/山際美佑(AERA Books)
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