宇都宮美術館(栃木県宇都宮市)で、「カンディンスキー 世界は鳴りひびく 日本のコレクションでたどる画業と反響」が7月19日から開催されます。

    ロシアに生まれ、活動期のほとんどをドイツやフランスという異国で過ごしたワシリー・カンディンスキー(1866-1944)は、「抽象絵画」の創始者のひとりとして知られています。事物の外面的な姿に頼らず、世界に感応する心の震えをそのまま映し出す絵画。それはいわば、感性の直接話法の探求でした。

    色を聴くように、あるいは音を視るように、自らの全てと世界の全てを響き合わせる。そうした彼の取り組みは、ひとつの感受性がさまざまなメディアを複合する現代の多次元的な表現を先駆するものでもあります。

    カンディンスキーは東洋や日本の芸術から多くの示唆を得ており、いっぽう日本もまた1910年代という早い時期から彼の実作と理論を積極的に受容してきました。本展は、日本との関係にも着目しつつ、国内に収蔵される作品を集結させて初期から晩年までの彼の画業を通覧する、はじめての機会となります。

    画家自身が「童話のような」「新しいロマンティシズム」と呼ぶ、深い華やぎにみちた甘やかにして晴朗な「響き」の世界をご堪能ください。

    ワシリー・カンディンスキー《浮遊》1927年 厚紙、油彩 45.9×54.0cm 宇都宮美術館蔵
    ワシリー・カンディンスキー《横切る赤》1931年 厚紙、油彩 69.4×79.2cm 宇都宮美術館蔵

    カンディンスキー 世界は鳴りひびく 日本のコレクションでたどる画業と反響

    会場:宇都宮美術館(栃木県宇都宮市長岡町1077)

    会期:2026年7月19日(日)~9月3日(木)

    開館時間:9:30~17:00 ※入館は16:30まで

    休館日:月曜日(7月20日は開館)、7月21日(火)

    観覧料:一般1200円、高大生1000円、小中生800円
    ※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護者(1名)は無料
    ※宇都宮市在学または在住の高校生以下は無料。宮っ子の誓いカードまたは学生証を要提示
    ※「家庭の日」(7/19、8/16)は高校生以下を含む家族での来館で、企画展観覧料が一般・大学生は半額、高校生以下は無料

    アクセス:
    JR宇都宮駅西口から関東自動車バス「宇都宮美術館」行きで約25分
    東北自動車道 宇都宮インターから車で約20分

    詳細は、宇都宮美術館公式サイトまで。

    本展の見どころ
    見どころ① 日本各地のコレクションが集結

    「絵画にできること」を決定的に拡張したカンディンスキー。その美術史上の重要性ゆえ、日本の多くの美術館が彼の作品を収蔵し、いまや国内にある作品だけで、彼の画業を通観できるようになりました。本展でそれが実現します。

    ワシリー・カンディンスキー《商人たちの到着》1905年 カンヴァス、テンペラ 92.5×135.0cm 宮城県美術館蔵
    ワシリー・カンディンスキー《3本の菩提樹》1908年 油彩、板 33.0×41.0cm 石橋財団アーティゾン美術館蔵
    ワシリー・カンディンスキー《「冷たいかたちのある即興」のための習作》1914年頃 紙、水彩・グアッシュ・鉛筆 33.0×24.0cm 静岡県立美術館蔵
    ワシリー・カンディンスキー《生き生きとした白》1934年 カンヴァス、油彩 60.0×73.0cm 愛媛県美術館蔵
    見どころ② カンディンスキー、ロマンティック!

    「抽象絵画」がまやかしではないことを証明するため、明晰な理論家ともなる必要のあったカンディンスキー。けれども、理知のタガをはめなければ収拾がつかなくなるほどのロマンティシズムが、その作品にはあふれています。その饗宴を楽しんでみてはいかがでしょうか。

    ワシリー・カンディンスキー《尖端》1920年 カンヴァス、油彩 110.0×91.5cm 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館蔵
    ワシリー・カンディンスキー《支え無し》1923年 カンヴァス、油彩 97.3×93.7cm ポーラ美術館蔵
    ワシリー・カンディンスキー《活気ある休息》1923年 カンヴァス、油彩 58.5×70.2cm 笠間日動美術館蔵
    見どころ③ 日本の反響を徹底検証
    萬鉄五郎《構図》1915年頃 紙本墨画 25.2×27.6cm 岩手県立美術館蔵
    神原泰《スクリアビンの『エクスタシーの詩』に題す》1922年 カンヴァス、油彩 117.0×91.0cm 東京国立近代美術館蔵
    山岡良文《作品》1940年 紙本着色 73.5×55.3cm 京都国立近代美術館蔵

    水墨画や草書など東洋の美学にも通じる側面をもつカンディンスキー。その作品や著作に、日本の美術作家や美学者たちは、1910年という早い時期から敏感に反応しました。その受容の様相に対して、最新の研究をふまえて光が当てられます。

    絵画における従来の常識を鮮やかに塗り替え、事物の具体的な形に頼らない「抽象絵画」という新たな地平を切り拓いた巨匠ワシリー・カンディンスキー。本展は、日本国内に大切に収蔵されてきた彼の貴重な作品の数々が一堂に会します。画風を完成させるまでの初期作品群、独自の理論に裏打ちされた中期の展開、形成、そして晩年の洗練された造形に至るまでの歩みを、国内のコレクションだけで網羅して通覧する初の機会となります。また、萬鉄五郎や神原泰ら日本の作家たちによる「反響」の軌跡にも焦点を当てるなど、見応えのある内容となっています。画家の純粋な感性が反映された、深い華やぎと甘美に満ちた独自の抽象表現を心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)

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