
伊フィレンツェで6月16〜19日にかけて開催されたメンズファッションの最大級の見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ」。出展ブランドの離反や渡航費の高騰などによって開催意義が問い直されている昨今ですが、多彩な出展社や期間中に繰り広げられるイベントを通じ、リアルな展示会ならではの面白さやエネルギーを感じることができました。今回は今秋発売する肝入の新作シューズのプロトタイプをお披露目した「アシックスウォーキング(ASICS WALKING)」の出展ブース、創刊25周年を迎えた「レオン(LEON)」のイベントを取り上げます。
アシックス廣田会長の号令で開発
「究極のウォーキングシューズ」
「アシックスウォーキング」のブース
「アシックスウォーキング」のブース
「究極の』ウオーキングシューズ」のプロトタイプ
「究極の』ウオーキングシューズ」のプロトタイプ
「アシックスウォーキング」のブース
今回で2回目の出展となる「アシックスウォーキング」のブース最大の目玉は、9月に発表を予定する“究極のウオーキングシューズ”のプロトタイプのお披露目です。同ブランドを擁するアシックスの廣田康人会長の大号令によって、約1年で開発された一足”バウンス(BOUNCE、仮称)”は、アシックスウオーキングの鈴木徹氏曰く「究極のウオーキングシューズ」を目指したのだそう。会場で実際に足を入れた別の編集者は、そのはき心地に驚いていました。鍵は、窒素を吹き込んで発泡させたミッドソール。柔らかい素材と硬い素材を組み合わせ、硬い部分をカップ状に成形して安定性を確保し、踏み出す部分は抜くことで、弾むような反発を生み出します。
ランニングシューズの反発技術「ノヴァブラスト(NOVABLAST)」をベースにしながら、足元への荷重のかかり方がランニングとは異なるウオーキング向けに推進力を生み出す構造へと作り替えています。ただ「歩くのが楽」な靴ではありません。一歩ごとの弾みが心地よく、どんどん歩きたくなる、歩くこと自体が楽しくなる。その感覚こそが“究極”のウオーキングシューズたる所以のようです。この形状・寸法・配置は「アシックススポーツ工学研究所」と共同で開発し、特許も取得しています。素材を替えた伊勢丹新宿本店限定のスエードモデルも別途発売するというので、これも楽しみです。
ブースでは、”バウンス”以外も商品を機能別に整理・解説していました。速く歩くための“スピード(SPEED)”、長い距離を省エネルギーで歩くための“エナジーセーブ(ENERGY SAVE)”など、着用シーンや目的別にモデルを用意し、それぞれ設計を変えているそう。鈴木さんは「色々な歩き方を楽しむことで、『歩く』行為そのものの豊かさを提案したいといいます。そのためには、「ウオーキングシューズを売ることだけにこだわらない」とも。例えばウオーキング時に楽しめるポッドキャスト配信やオーディオブックのプレイリスト、歩きながら楽しむフレグランスや、「食べ歩き」イベントなど、「歩く」を軸に提案できることは幅広いといいます。歩くことそのものをデザインし、その価値に共感してもらう——“究極の一足”は、その入り口に位置づけられています。
この秋からアジア圏を起点に、海外展開も本格化。グループ全体でグローバル市場の比重が高まる中、「アシックスウォーキング」もグローバルかつプレミアムなブランドイメージを保つため、ホールセールより直営(オウンドショップ)を基本に据える考えです。会場を訪れたバイヤーの反応も上々で、どのエリアに可能性があるかを探りながら、段階的に広げていくといいます。
「レオン愛」は海の向こうまで
雑誌の枠を超え広がるコミュニティー
そして、日本のメンズ誌の雄としてずっと「走り続けて」きた「レオン(LEON)」のパーティへ。イタリアの伊達男たちへの憧れを日本の男性たちに届けてきた同誌は、創刊25周年にあたり、ピッティで記念イベントを開催しました。会場にはゆかりの業界人たちが駆けつけ、シャンパン片手にお祝い。「レオン」の表紙をモチーフにしたパネルの前で、記念撮影に収まりました。
「レオン」はコロナ前まで、「レオン・イン・ミラノ」と題したイベントを、メンズ・ファッション・ウイークの期間中などに定期開催してきました。ホテルや商業施設を会場に、ブランドの日本法人のPRやマーケティングチーム、ディストリビューター、ジャーナリストらを招いてパーティを開いてきたといいます。2月に就任した堀川正毅編集長は「僕らはイタリアのアペリティーボ(夕食前のパーティー)文化が大好き。ファッションウイークは、せっかく日本からいろんなブランドやジャーナリストがいらっしゃるのに、本国で朝から晩までミーティング、ショールームからホテルへ、みたいな生活をしているのがすごくもったいないと思っていた。だったら、僕らが場をつくることで、いろんな方が交われる場ができたら、と思って続けてきた」。
すると、当初は日本人中心の集まりだったものが、本国のブランドチームなども噂を聞いて集まってくるようになり、輪が広がっていったそう。「景気のいい雑誌、元気な雑誌って、魅力的に映ると思う。イベントをやることで、面白がってグローバルブランドにも一目おいてもらえる。もちろんそんな下心があったわけではないけれど、それがきっかけで、僕らみたいな極東のローカルのマガジンにも出稿をいただけたりした。イベントはコロナ禍以降しばらく中断していましたが、創刊25周年の特別なタイミングということで、復活を決めた」。
同誌は月額制の読者コミュニティー「クラブレオン」を通じ、様々なイベント企画などを提供しています。「僕らの読者はデジタルよりも、対面で“タッチできる”イベントや企画にすごく反応してくれる方が多い。月に一度のミートアップにお呼びしたり、年末や大きなイベントのときは優先的にお声がけしたりして、『レオンのファンでいてもらう』メリットを提供しながらコミュニティーをつくっている」。今回のピッティ、ミラノでも行われる周年イベントには、読者から「どうやったら参加できるの?」「JTBとツアーを組んでくれないか」といった声も多く寄せられたそう。クラブレオンのコアなメンバーには『もう体は空けています』という方も何人かいらっしゃったのですが、今回は力及ばず申し訳ない気持ちでいっぱいです」。誌面を超えたコミュニティーづくりは「レオン」の真骨頂。「コミュニティーは、本を作るうえで、メディアであるうえで、今すごく大事です。『レオン』を一緒につくってくださる方が本当にたくさんいらっしゃるし、その方々をもっと巻き込んでいきたい。どうすれば、もっと『レオンが好き』と言ってもらえるか。それを考え抜きながら、試行錯誤していきたい」。
