【レポート】『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』Grand Ceremony、最優秀アーティスト賞は2年連続Mrs. GREEN APPLE「報われて嬉しいです」

“世界とつながり、音楽の未来を灯す(ともす)。”をコンセプトとした国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』が6月13日、東京・TOYOTA ARENA TOKYO他で開催された。“Premiere Ceremony”、“Red Carpet”に続き、主要6部門などの受賞者を祝福する“Grand Ceremony”も、心に残る場面の連続だった。様々な豪華アーティストたちのライブパフォーマンスも繰り広げられた会場の模様をレポートする。
【Grand Ceremony 第1部】
少女が音楽に没入していく姿を、カセットテープとラジカセを用いてイメージさせるオープニングパフォーマンスを経て、サカナクションのライブがスタート。披露されたのは「怪獣」だ。ミステリアスなメロディは、やがて祈りのような清らかさを帯びる。演奏するメンバーたちと、ダンサーチームのパフォーマンスがスクリーン上で、次々と融合する様から目を離せない。現実と幻想世界の間を行き来するかのような演出で彩られた「怪獣」は、『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』の一夜限りで咲き誇った美しいアート作品だった。
▼サカナクション



▲サカナクション 画像42点
▼菅田将暉



▲菅田将暉 画像27点
サカナクションのライブが終了し「Grand Ceremony」の司会を務める菅田将暉がステージに登場。彼の挨拶と何組かのアーティストとの短いトークを経て、各門の受賞者の発表が始まった。【最優秀アルバム賞】に輝いたのは、藤井風『Prema』。プレゼンターの松たか子からTHE RUBY(トロフィー)を受け取った藤井は、アルバムに込めた想いを語り、今後の活動への意欲を滲ませた。
▶最優秀アルバム賞
Prema / 藤井風
そして、2番目にライブパフォーマンスを行ったのはHANA。キャンドルが灯る円卓をメンバーたちが囲みながら歌い始める幻想的なオープニングで幕開けた。メンバーたちのラップ、歌、ダンス、表情、息遣い、動きの全てが表現と化しているのを感じた「NON STOP」と「ROSE」。五感の全てを揺さぶって来るかのような渾身のライブだった。
▼HANA



▲HANA 画像13点
▼FRUITS ZIPPER / 岡本多緒

▲FRUITS ZIPPER / 岡本多緒 画像18点
作曲家の都倉俊一、トヨタ自動車代表取締役会長・豊田章男がプレゼンターを務めた【Best Global Hit from Japan】を受賞したのはXG『HYPNOTIZE』。俳優・岡本多緒がプレゼンターを務めた【最優秀ガールズアイドルカルチャ―アーティスト賞】はFRUITS ZIPPERが受賞。「応援してくれるふるっぱー(ファンの呼称)の皆さん、大好きです!」と笑顔をみせた。
▶Best Global Hit from Japan
HYPNOTIZE / XG
▶最優秀ガールズアイドルカルチャーアーティスト賞 (グループ/ソロ)
FRUITS ZIPPER
その直後、会場前の特設ステージに登場した米津玄師による「IRIS OUT」のパフォーマンスは、間近からステージを見守ったアーティストたちはもちろん、配信映像などを観ていたあらゆる人々に鮮烈な印象を残したはず。歌う米津を大人数のダンサーチームが囲んでいたのだが、彼らの動きのひとつひとつによって、無数のグラフィックがステージ上で描き上げられた。ダンサー全員の衣装の前方部分は真っ白の上下+赤のネクタイ。背中側の全面は赤。身体の向きを変える毎に変化する色彩と、米津の歌声が絶妙にシンクロしていた。終盤で彼が乗り込んだTOYOTAマーク入りのサメ型カートが火花を放ってエンディングを迎えるまで、刺激の連続だった。
▼HANA / 布袋寅泰

布袋寅泰がプレゼンターを務めた【最優秀ニュー・アーティスト賞】では、布袋のコメントも胸を打った。「いくつもの夢を叶えてきました。でも夢に終わりはありません。僕も初心を忘れず、いつまでも尖っていたい」という言葉に続いて、受賞者がHANAであることを告げた。グループを代表してTHE RUBYを手にしたCHIKAが感謝の言葉を語った。
▶最優秀ニュー・アーティスト賞
HANA
▼MISAMO



▲MISAMO 画像5点
続いては、MISAMOのライブパフォーマンスがスタート。届けられたのは「Confetti」だ。ダンサーチームに囲まれても埋没することなく、3人の輝きが圧倒的。しなやかなダンス、響かせる柔らかな歌声の全てがスター性の塊だった。“Confetti=紙吹雪”という意味を持つ言葉だが、手にした紙を細かく破り、紙吹雪を舞い散らす姿も優雅で気品がある。視覚も聴覚も温かく満たしてくれたパフォーマンスだった。
俳優・戸田恵梨香がプレゼンターを務めた【最優秀ロック楽曲賞】に輝いたのは、サカナクション「怪獣」。サカナクションの受賞登壇は、この日幾度となくあった。受賞スピーチの最後に「感無量です…やった!」と叫んで、無邪気な笑顔を浮かべた山口の姿に和まされた。
▶最優秀ロック楽曲賞
怪獣 / サカナクション
▼東京スカパラダイスオーケストラ with Special Guests




そして、Grand Ceremonyの第1部を締めくくったのは、東京スカパラダイスオーケストラ with Special Guests [LiSA、TAKUMA(10-FEET)、アイナ・ジ・エンド]だ。1曲目は「ルパン三世のテーマ’78」。ハードボイルドな世界観を醸し出すあのお馴染みの旋律が、カーチェイスをするかのようにスピーディーに駆け抜ける。完璧に温まったステージが、最初のスペシャルゲストLiSAを出迎えた。スカパラの演奏で彩られた「紅蓮華」は、数万人の鬼が一気に押し寄せても一気に討伐できそうなパワーの塊。歌声が強く、凛々しく咲き誇っていた。
続いて、TAKUMA(10-FEET)との共演による「第ゼロ感」。ギターを弾かず、ハンドマイクで歌うTAKUMAの姿は新鮮だが、スカパラサウンドに包まれると非常にしっくりくる。男くさい骨太なエネルギーがステージ上で吹き荒れた。ライブ配信などを観ていた人は、歌っている途中でTAKUMAが「KOUICHI! NAOKI!」と10-FEETメンバーの名前を呼んだことに気づいただろう。さり気なくもグッとくる一瞬だった。




そして、アイナ・ジ・エンドが歌う「革命道中 – On The Way」。カッコよさ、茶目っ気、野性味、キュートさを絶妙なバランスで滲ませる彼女のハスキーボイスは稀有で唯一無二。ガチンコ勝負を楽しむかのような自由奔放な歌いっぷりを、スカパラのメンバーたちも楽しんでいたようだ。
ラストの曲「Paradise Has No Border」に突入すると、LiSA、TAKUMA、アイナ・ジ・エンドが全員集合して観客を激しくアジテート。これら4曲が一気に届けられたが、アドレナリンの分泌腺を刺激される瞬間だらけだった。

【Grand Ceremony 第2部】
30分程度の休憩を挟んで再開したGrand Ceremony第2部のオープニングは、BGMを藤井風のピアノ演奏が務めた。円卓前で藤井が弾く鍵盤を手で支えていたのは星野源。他では絶対に観られない豪華な共同作業だ。
そして本日急遽、パフォーマンス出演がサプライズ発表されたMrs. GREEN APPLEによる「クスシキ」からライブがスタート。何本ものレーザービームの柱で囲まれた円形ステージ内で演奏が繰り広げられ、その周りではダンサーチームたちが群舞。ダイナミックな舞い踊りは、血の通った人間の生命力で溢れていた。特別な空間での演奏は、すべての人にとって特別な昂揚感を噛み締めるひと時だったに違いない。終盤で降り注いだ大量の金テープに負けないくらい、メンバー3人も素敵な笑顔を浮かべていた。
▼Mrs. GREEN APPLE




映画監督・大根仁がプレゼンターの【最優秀ミュージック・ビデオ作品賞】はサカナクション「怪獣」、ダンサー・俳優・アオイヤマダがプレゼンターの【最優秀ボーイズアイドルカルチャーアーティスト賞】はM!LKが受賞。「信じられない気持ちです。すべての人たちに感謝を申し上げます。アイドルという職業は本当に素晴らしいもので、たくさんの人を笑顔にする力があると思います。これからも日本中をもっと元気にできるように精進します」とM!LKを代表して山中柔太朗がスピーチした。
▶最優秀ミュージック・ビデオ作品賞
サカナクション「怪獣」 / MV Director:⽥中裕介
▶最優秀ボーイズアイドルカルチャーアーティスト賞(グループ/ソロ)
M!LK
M!LK / アオイヤマダ


そして、Premiere Ceremonyで【最優秀オルタナティブアーティスト賞】を受賞した⽺⽂学がライブパフォーマンスで「Dogs」を披露。ギター、ベース、ドラムの轟音によって、初っ端から会場が振動。ジャキジャキと刻まれるサウンドをスリリングに乗りこなしながら放たれる歌声、哀愁を帯びたメロディの揺らめきが刺激的だ。
譜面では表記しようがない生音、生声の複雑なニュアンスを交えた爆音は、オルタナティブなロックバンドの醍醐味で満ちていた。どれだけテクノロジーが発達しても、機械ではどうしても表現できない領域があるのが、音楽の奥深さだ。最小限の編成である3ピースで膨大なエネルギーを放った羊文学は、それを再認識させてくれた。
▼羊文学




音楽プロデューサー・J.Y.Parkがプレゼンターを務めた【最優秀アジア楽曲賞】は、HUNTR/X「Golden」が受賞。【MAJ Timeless Echo】を受賞した山下達郎からは、音声メッセージが届けられた。「今年でソロデビュー50周年を迎えることができました。ミュージシャンを始めた20歳の頃には、齢70を超えて現役で活動ができているとは夢にも思っておりませんでした。そしてそれは何よりもこの長い年月に、たゆまず応援を続けてくださった全国のファンのみなさまのおかげであります」と感謝が語られた。
▶最優秀アジア楽曲賞
【South Korea】「Golden」 / HUNTR/X
▶MAJ Timeless Echo
山下達郎
そして、この時を待ちかねていた人がたくさんいたはず。『MAJ』のGrand Ceremony初の海外アーティスト・ライブは、言わずと知れたスーパースターでありイギリス出身のシンガーソングライターのサム・スミスだ。パートナーへの揺るぎない愛を表現した「My Guy」がパフォーマンスされた。優しく語りかけてくるような歌声だが、その奥に神聖な何かが息づいているのを感じずにはいられない。“天使の歌声”と評されるのが決して誇張ではないことを実感した。歌い終えた彼を、客席で聴いていたアーティストたちがスタンディングオベーションで賞賛した。
▼サム・スミス




映画『国宝』で人間国宝の歌舞伎役者・小野川万菊役を演じた田中泯がプレゼンターの【最優秀オルタナティブ賞】は羊文学「声」が受賞。塩塚モエカ(Vo, G)は「既存のものに対する憧れと反抗心の間で頑張ってきました。支えてくださったスタッフの皆さん、この曲を作るきっかけとなったドラマ『119エマージェンシーコール』チームの皆さん、ファンの皆さん、本当に感謝しています」と喜びを語った。
▶最優秀オルタナティブ賞
声 / ⽺⽂学
続いては2組のアイドルグループによるライブが繰り広げられた。最初に登場したのはFRUITS ZIPPER。楽曲「わたしの一番かわいいところ」は、白と黒を基調とした衣装に身を包み、落ち着いたトーンによる歌とサウンドアレンジで届けられた。キュートな魅力の輝度をじわじわ高める展開が新鮮。“かわいい”には、様々な形があることに気づかせてくれた。
▼FRUITS ZIPPER



▼M!LK



M!LKは「好きすぎて滅!」を披露。冒頭で「今日は夢じゃなかったって証明して!」と語ったが、正真正銘の真実だ。楽曲がスタートすると、その独特な振り付けを真似る人々が場内に続出。人懐っこさがある振りだが、ライブで観ると高度なダンススキルで裏打ちされていることに気づかされる。5人のタイム感、角度、フォーメーションが完璧で惚れ惚れとさせられた。
いよいよGrand Ceremonyは佳境に差し掛かってきた。俳優・本木雅弘がプレゼンターを務めた【最優秀楽曲賞】はサカナクション「怪獣」が受賞。山口は、「サカナクションは3年前に活動休止しました。僕が鬱病を患ったからです。その間、メンバーやファンの皆さん、支援者の皆さんに支えられながら、なんとか復活しました。休養明け最初に書いた曲が「怪獣」です。この曲をこのように評価していただきまして、まだまだ頑張れるなと、勇気をいただきました。本当にありがとうございます」というスピーチが感動を呼んだ。
▶最優秀楽曲賞
怪獣 / サカナクション
▼藤井風




藤井風がライブ披露した「Prema」が素晴らしかった。ホーンセクションが鳴り響き、藤井の歌、キーボードとドラムの演奏、コーラスが重なった瞬間、会場は温かな何かで満たされた。かけていたサングラスを途中で外して浮かべた笑顔が慈愛に満ちていた。ピアノを弾きながら躍動させる歌声が本当に楽しそう。歌うことを心から愛している姿が伝わってくる。たくさんの幸福感を噛み締めることができたパフォーマンスだった。
長時間にわたった『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』のラストに発表されたのは、【最優秀アーティスト賞】だ。プレゼンターは俳優・渡辺謙。彼が読み上げた受賞者の名前は、Mrs. GREEN APPLE。2025年に続き、2年連続で同部門に輝いたメンバーは、驚き交じりの歓喜の表情で発表を受け止めた。大森元貴は受賞の喜びを以下のように語った。「昨年に続いての【最優秀アーティスト賞】、とても嬉しく思います。最近、我々はバラエティを始めたり、粉まみれになったり、広告の仕事をやらせていただいたり。たくさんの皆さんに楽しんでいただきたくて、すべてがありがたいんですけども、我々は16歳の時にバンドを組んで、やっぱり我々はバンドで。今でも粛々と曲を孤独に作って、みんなと一緒にMrs. GREEN APPLEの曲にしています。報われて嬉しいです。ありがとうございます」
▶最優秀アーティスト賞
Mrs. GREEN APPLE


【最優秀アーティスト賞】を2年連続でMrs. GREEN APPLEが受賞するという快挙と共に締めくくられた『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』。その全編でこの1年間の音楽シーンの濃密さを感じ取れたが、コンセプトである“世界とつながり、音楽の未来を灯す(ともす)。”が着々と具現化されていることも示されていた。「皆さんの音楽、ライブ、言葉、顔。最高でした。今日は本当にありがとうございました! またお会いしましょう!」という菅田将暉の締めの挨拶が、爽やかな余韻を残してくれた。
構成◎BARKS
文◎田中大
(c) CEIPA / MUSIC AWARDS JAPAN 2026

■『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』
開催日時:2026年6月13日(土)
※開催ウィーク:2026年6月5日(金)~6月13日(土)
会場:TOYOTA ARENA TOKYO 他
放送:NHK総合にて生中継(Grand Ceremony)
協力 :経済産業省、文化庁、日本貿易振興機構(ジェトロ)(予定)
後援 :東京都、国際交流基金
公式サイト:https://www.musicawardsjapan.com/
