Rainbowをめぐる訴訟で裁判所に提出された画像Rainbowをめぐる訴訟で裁判所に提出された画像。ニューヨーク州統一裁判所システム提供、タイラー・リー/BI

    2025年6月、米ファッション小売業者レインボー(Rainbow)のファッションモデルたちのもとに警告が届いた ── AIの活用が急速に拡大しており必要な人員が減っていく、というものだった。

    「すでにスタジオ内とサイト上の両方で変化が起きているのに気づいているかもしれません」と、レインボーのスタジオマネージャー、フィル・キャラウェイ(Phil Caraway)氏は書いた。「AIの支援を受けて、特定の商品のスタイリングやアバターの生成を始めた」と説明し、フリーランサーが仕事を失うかどうかは確実には言えないが、「それを前提に準備しておいてほしい」と続けた。

    「長期的には、必要な人員は少なくなります」とキャラウェイ氏はこれまで報じられていなかったメールに書いた。「今年の秋には、AIの利用が大幅に増える可能性が非常に高いです」

    それが、モデルたちが『1年にわたる不安、そしてその後の怒り』と表現するようになる経緯の始まりだった。

    モデルたちはBusiness Insiderに対し、自分たちが働く場所のすぐそばで、会社がAIを使って合成モデルを作成するのを目撃したと語った。同時に、ニューヨークオフィスでの仕事の日数が減っていき、多くが仕事を失ったという。

    あの6月のメールから約1年が経った今、レインボーは一部のモデルの再雇用を始めたが、多くはまだ仕事のない状態が続いている。

    自分に似た「AIモデル」が現れた

    2026年3月、モデルたちはレインボーのマーケティング画像の中に「自分に似た存在」を見つけ始めた。しかしそれらは、自分が参加した撮影とは異なるポーズや場所で写っていた。

    多くがAIによるものと疑い、その「そっくりさん」たちはレインボーのサイト、SNS、ニュースレターに続々と登場した。レインボーへのメールが相次ぎ、あるモデルは訴訟を起こした。

    AI技術が進歩する中、全国の職場ではその活用方法を模索しながら、人間の雇用への影響というやっかいな問題にも向き合っている。モデリングのようなクリエイティブ産業は、AI生成の写真や動画の質が向上するにつれて、特に影響を受けやすい。

    ファッション業界で、AIはますます一般化しつつある。

    コーネル大学ILRスクール(Cornell University ILR School)のワーカー・インスティテュートと、データ・アンド・ソサエティがモデル・アライアンスと協力して実施した2025年の調査では、Eコマースの仕事は「AI技術による代替をより受けやすい」と研究者たちが指摘している。

    レインボーのモデル、フランチェスカ・プホルスレインボーのモデル、フランチェスカ・プホルス(Francheska Pujols)は左のスカートを着用してモデルを務めた。訴訟の中で彼女は、右の画像のようなポーズは取っていないと述べたが、その画像は彼女に似ている。出典:ニューヨーク州統一裁判所システム

    Business Insiderはレインボーの複数の従業員、および請負業者に取材した。全員が匿名を求め、また数十件のメールのやり取りや画像、さらにモデル契約書も確認した。

    「レインボーは市場に出回っているAI新技術を責任ある形で評価しており、適切な方法でそれを継続することにコミットしている」と、レインボーの最高デジタル責任者(CDO)、デビッド・コスト(David Cost)はBusiness Insiderへの声明に書いた。

    フォローアップメールの中でコストは、「レインボーの従業員や独立請負業者との取り引きは非公開だ」とし、「いわゆる『事実』の多くに異議を唱える」と述べた。Business Insiderが送った具体的な質問へのコメントは拒否した。

    「レインボーはモデルが署名した契約書を含むコミットメントに従って、適切な行動を取ってきた」と彼は付け加えた。

    以下は、従業員たちの証言をもとにした、レインボーのAIモデル実験がいかに混乱していったかの経緯だ――人間のモデリング業務の減少から、契約をめぐるトラブル、そして一部のモデルの再雇用まで。

    ブルックリンで90年以上前に創業したレインボーは、全国に800店舗以上を展開する、未上場企業だ。Fashion NovaやPrettyLittleThingと同様に、大幅な割引で倹約家の消費者をターゲットにしている。また、同様のブランド「KissDon’tTell」も運営している。

    モデル探しを手伝っていた元スタイリストによると、Eコマース撮影のキャスティングについては、レインボーチームは事務所に所属していないモデルを探していたという。2人のモデルはInstagramで見つけられ、有償のモデル経験がほとんどなかったと語った。報酬はモデルによって異なるが、多くは時給50ドル程度だったという。

    3人のモデルは、レインボーの従業員の一人から週5日は仕事に対応できるよう待機してほしいと告げられたと述べた。

    元スタイリストによると、レインボーはフリーランサーに月曜から金曜まで待機するよう求めていたが、それは契約書には明記されていなかったという。2人のモデルは、この会社のために前の仕事を辞めたと語った。

    2025年、モデルたちがスタジオの異変に気づき始めた

    2025年の半ばごろ、モデルたちはスタジオで異変に気づき始めた。AIのトレーニングだ。

    Share.

    Comments are closed.