作家/ゲーマーの赤野工作さんが、翻訳書『戦争に協力したゲームたち 第二次世界大戦のプロパガンダ』(三才ブックス)を6月19日(金)に刊行する。
本書では、第二次世界大戦下に制作されたカードゲームやボードゲームが、プロパガンダとして機能していた実態を紹介している。
なお、直近で赤野工作さんが携わった書籍がもう一冊刊行。星新一さんの生誕100周年を記念して、早川書房から6月18日に発売されたSFアンソロジー『ショートショートなSF』では短編小説を寄稿している。
戦時下のボードゲームとプロパガンダを辿る翻訳書
『戦争に協力したゲームたち 第二次世界大戦のプロパガンダ』は、軍事/自然史家であるニコラス・ミルトンさんによる『Children’s Propaganda Games of the Second World War』の邦訳版。
『戦争に協力したゲームたち 第二次世界大戦のプロパガンダ』/画像はAmazonより
第二次世界大戦期に制作された子ども向けカードゲームやボードゲームを通して、遊びが戦意高揚や軍事協力のためのプロパガンダとして機能していた実態を紹介する。
戦闘機や戦艦を題材にしたゲーム、敵機の識別を学ぶゲーム、軍への志願や灯火管制への協力を促すゲームなど、当時の社会と密接に結びついた娯楽が取り上げられている。
『戦争に協力したゲームたち』紙面/画像はAmazonより
日本語版には、赤野工作さんによる日本の戦争協力ゲームの紹介も追加収録。
赤野工作さんは近年、戦時下のボードゲームやカードゲームを扱った記事を執筆(外部リンク)。ゲーム文化と戦争、プロパガンダの関係を継続的に掘り下げてきた。
星新一生誕100周年記念『ショートショートなSF』にも参加
一方の『ショートショートなSF』は、星新一さんの生誕100周年を記念して刊行される日本SF作家クラブ編のアンソロジー。
『ショートショートなSF』/画像はAmazonより
筒井康隆さん、小川一水さん、円城塔さん、宮内悠介さん、高山羽根子さんら50名の作家が参加し、それぞれ書き下ろしのショートショートを寄稿している。
赤野工作さんが寄稿した小説のタイトルは「/*ナイジェルによる引継書*/」。本人はXで以下のように紹介している(外部リンク)。
数百万人を超えるクローン・キリストのクソガキが奇跡の力を悪用してゲームでチートしまくるので、勝手に他プレイヤーの状態異常を治したり水面を歩いたりしないように運営が裏で頑張るお話です!
宗教的奇跡とオンラインゲーム運営を結びつける設定は、ゲーム文化を題材にした作品を数多く発表してきた赤野工作さんらしい一編といえそうだ。
ゲームを通して社会を見つめてきた作家・赤野工作
赤野工作さんは2017年、架空のゲームレビューを連ねた小説『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』で商業デビュー。
ゲームを愛しすぎた人々の姿を描いた短編集『遊戯と臨界 赤野工作ゲームSF傑作選』や、共著『ゲーマーが本気で薦めるインディーゲーム200選』、訳書『台湾老卓遊 台湾レトロテーブルゲーム図鑑』などでも知られる。
KAI-YOU Premiumでも、ポケモンについて書かれた偽論文の著者へのインタビューや中国における海賊版『ポケモンカード』を紹介するコラムなど、ゲーム文化の周縁について取り上げた記事を執筆している。

1990年生まれの地方在住。インターネットに青春時代を持っていかれた。VRとesportsが関心領域。最近はnoteを拠点に活動している。
