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    今年4月から米国ほか各国で順次公開され、早くも世界中で記録的な大ヒットとなっている映画「Michael マイケル」。6月12日の日本公開に向けたプロモーションで主演俳優のジャファー・ジャクソンらとともに来日したプロデューサー、グレアム・キング氏が映画.comの単独インタビューに応じ、自身が手がけた音楽伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」の次にマイケル・ジャクソンを選んだ理由、ジャファーの第一印象、初タッグとなるアントワン・フークア監督との絆、マイケルのパフォーマンスを体感させる映像の撮り方などについて語った。(取材・文/高森郁哉)

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    ――まずは「マイケル」のアメリカおよび各国での大ヒットおめでとうございます。2026年6月第1週の時点で、音楽伝記映画の歴代世界興収1位の「ボヘミアン・ラプソディ」、これもキングさんのプロデュース作品ですが、それを超えて「Michael マイケル」が首位に立つのが確実と予想されています。この驚異的な大成功について、まず今の率直なお気持ちを聞かせてください。

    とてもシュールで、現実の出来事に思えないほどです。ここまで来るのに長い長い道のりでした。マイケル・ジャクソンだからこそ世界中から注目されているというプレッシャーを感じてきましたが、各国の人々が映画館で「Michael マイケル」を観て、ある種の現実逃避をしてマイケルと一緒に歌ったり踊ったりして楽しんでいることが嬉しいですね。若い世代にとってマイケル・ジャクソンがどんな人だったのかを知る機会になっていることも、とても喜ばしく思います。

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    ――2018年の「ボヘミアン・ラプソディ」が記録的な成功を収めた後、音楽伝記映画の企画が多数持ち込まれたそうですが、その中でマイケル・ジャクソンを選んだ大きな理由は?

    実に大変な挑戦でした。フレディ・マーキュリーの人生を描いた後、より高いレベルの次作にふさわしいのはマイケル・ジャクソンだという直感がありました。マイケルがどのように生き、どんな性格で、どうやって音楽を作っていたかを若い世代に示せれば、世界はそれを本当に楽しんで受け入れてくれるだろうと思ったのです。そして何より私たちには、(マイケル・ジャクソン財団協力のもとで)誰もがうらやむ素晴らしいマイケルの楽曲のリストが手元にあり、これを出発点にできました。マイケルの名曲たちが彼の人生のストーリーを描き映画を推し進める助けになりました。また、私は1981年にマイケル・ジャクソンと知り合い、その年に彼の家族であるジャーメイン、マーロン、ティト、ジャッキーとも知り合いになっていたので、もちろんこの企画について彼らと話をして、マイケルの映画を作ることが適切だと確信したのです。

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    ――マイケルの家族に関連して、マイケルの甥にあたり主演を務めたジャファー・ジャクソンについてうかがいます。資料によるとジャファーは俳優としてもダンサーとしても未経験だったそうですが、映画の中であれほど素晴らしいパフォーマンスを見せていることは嬉しい驚きでした。キャスティングの段階から彼のポテンシャルは明らかでしたか?

    ジャファーに初めて会った日のことをを覚えています。私が「叔父(マイケル)役のオーディションを受ける気はある?」と尋ねると、「いえ、僕は俳優ではないので」と。それでも、この若者に特別な何かを感じました。マイケルにとてもよく似ていて、私が出会った頃のマイケルもジャファーと同じくらいの年齢でした。ジャファーのエネルギーが強く感じられ、微笑むときの表情や眼差しなど、すべてが自然に彼を思い出させました。私はすぐに、これは可能性を秘めているかもしれないと思い始めました。ともあれ、物真似芸人を含め190人以上もオーディションをするなど、マイケル役にふさわしい人を見つけるためにあらゆる手を尽くした結果、ジャファーに決まったのです。彼と一緒にいる時間が長くなるにつれて、私たちはシーンを読み合わせたり、一緒に映画を見たり、演技のテクニックについて話し合ったりするようになりました。幸運にも私はダニエル・デイ=ルイス、レオナルド・ディカプリオ、ジョニー・デップ、ブラッド・ピットと仕事をする機会に恵まれ、一流の俳優を育てた指導者たちも知っています。私はそうした専門家のチームを組んでジャファーを数年がかりでトレーニングしました。彼がマイケルという大役で成功することを願えばこそです。

    ドイツ・ベルリンでのワールドプレミアの模様ドイツ・ベルリンでのワールドプレミアの模様

    ――次にアントワン・フークア監督についてお聞きします。キングさんとは本作が初タッグですが、どのような経緯でフークア監督を起用することになったのでしょうか。

    アントワンとは、彼が一緒に仕事をしている撮影監督のロバート・リチャードソンを通じて知り合いました。彼と私はイタリアへ飛び、「イコライザー THE FINAL」を撮影中のアントワンに会い、しばらく一緒の時間を過ごす中で、マイケルの人生を描くストーリーを進めていることを話しました。そしてジャファーに行ったメイクアップテストの映像をアントワンに見せたところ、他のどの監督とも感じたことのないレベルでクリエイティブな繋がりが生まれたのです。彼は、私たちが観客に伝えたいストーリーの視点を私と同じように理解してくれ、すぐに相乗効果が生まれました。映画作りにおいては、脚本開発に何年も費やし、できあがったものを監督に持ち込んでビジョンを伝えるのにまた苦労したりするものですが、アントワンは私が世界に伝えたい視点をすぐに理解してくれました。こんな風に、最初から素晴らしい絆が生まれたのです。

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    ――相乗効果のお話がありましたが、共同作業は具体的にどのように進められたのでしょうか。

    脚本から始まったように記憶しています。シリアスなシーン、楽しいシーンそれぞれについて、誰の視点か、パフォーマンスにどう違いを出すか、シーンに込めるべき意味は何かなどを話し合いました。私たちは本当に兄弟のような関係、ある意味では家族のような関係になりました。でも、私にとって映画製作はとても個人的な旅で、だからこそ量産はしないのです。「ボヘミアン・ラプソディ」から8年がたったのは、監督との相乗効果を高めるために時間をかけたかったから。そうすることで、マイケルの楽曲群のどれを使うか、また選んだ曲をストーリー展開にどう活用するかを話し合い、それぞれの演技と完全にシンクロし、この映画で行うすべてのこと、つまり物語、演技、音楽、パフォーマンスが完全に一体感のある素晴らしい体験になることを目指しました。

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    ――コンサートシーンの没入感は圧巻で、ある時は会場の最前列にいる観客の視点、ある時は舞台袖で見守る関係者の視点、さらにはステージで歌い踊るマイケルをすぐ横で見つめる夢のような感覚さえ味わうことができます。こうしたダイナミックなステージのシーンはどのようにして実現することができたのでしょうか。

    実に長い時間をかけて準備と研究を重ねました。象徴的なパフォーマーについての映画を作るには、パフォーマンスを再現するだけでは不十分で、パフォーマンスに伴う情動を彼と一緒に体感できるようにする必要があります。何しろ、YouTubeで探せばマイケル本人のパフォーマンスを手軽に視聴できるわけですから。私たちが作る映画はそれとは違う、特別なものを提供しなければなりません。準備段階で特に細かく調整したのは、カメラの位置とアングルです。マイケル・ジャクソンの場合は実にトリッキーで、パフォーマンスの途中でカット編集してクローズアップに切り替えると象徴的な動きが失われ、ファンは怒るでしょう。

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    映画に登場する「スリラー」のMV制作シーンでも、マイケルは全身を撮影するよう指示していましたよね。彼は頭からつま先まで映像に収めるよう主張し、オーディエンスが動きを感じられるようにしたのです。映画でもマイケルが望むように見せることを撮影初日から念頭に置き、監督や撮影監督と話し合いながら進めました。編集段階でも、ダンスの振付とパフォーマンス、そしてジャファーがどのように体を動かしているかを見逃さないよう、全体のバランスを微調整する必要がありました。それでも手間暇をかけた甲斐あって、若い世代にとっては初めてマイケル・ジャクソンのコンサートに行く気分を味わえる映画になったと思います。

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    ――本作はマイケルが初のソロツアーで世界を回っていた1988年のシーンで終わっています。当初のバージョンでそれ以降の時代も描いていたところ、諸事情で相当部分のカットと再撮影を余儀なくされたことは、日本でも広く報じられました。そうした困難を乗り越えて完成と公開にこぎつけ、世界中で記録的なヒットを達成したわけですが、そうした撮り直しの経緯と、それをどう受け止めているかについてお聞かせ願えますか。

    それを話すには2時間かかりますね(笑)。まあ、物事が予定通りに進まず、軌道修正が必要になるのは世の常です。本作での目標は、マイケルのプライベートな面も含めた人生を余すところなく描くことでした。それも、ウィキペディアのページのように羅列するのではなく、彼の全体像を描き出すこと。そのためには、私生活のパートにも尺を割く必要がありました。法的権利の問題により再撮影が必要になったことで、私たちは1988年よりも過去の時代にさかのぼってストーリーを語り直す好機を得ました。

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    観客がマイケル・ジャクソンの人生における象徴的な瞬間だけを見るのではなく、彼の真の姿を本当に理解できるようにするため、どうすればより良くなるのか。構成を変更する判断に際して、特に重要な検討事項は、彼の人生全体を1本の映画に収めることができるかどうかでした。もし1本で全体を描こうとしたら、十分満足のいくものにはならなかったはずです。そう考えると、法的権利の問題は私たちにとって災難ではなく、素晴らしい機会を与えてくれたと言えるでしょう。

    ――5月にライオンズゲートから、「Michael マイケル」の続編が進行中と発表されましたね。続編も大いに楽しみにしております。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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