大阪・中崎町に構える「LITMUS」は、独自のスタイリングによって感度の高い層に支持されるウィメンズのセレクトショップ。顧客とのコミュニケーションを第一に考え、オンラインストアは持たずInstagramのDMからのみ販売を行うという独自スタイルを貫いている。今や全国にファンを抱える人気店だが、オーナーの川崎氏によるとそのスタートは神戸の旧居留地。ヴィンテージビル内でギャラリーを運営するオーナーとの縁から、1.5坪ほどの「古いトイレ」を改装して店を開いたのがすべての始まりだったという。店名の「LITMUS」は、環境によって色を変える「リトマス試験紙」に由来。その名の通り、同店はブレない軸を持ちながらも、時代に合わせてしなやかに変化し続けている。ベースには一貫したストーリー性が存在するが、裏テーマとして掲げているのは「二律背反(相反する要素の共存)」だ。その時代ごとのバランスに則して表現を変化させることを大切にしており、近年では「LITMUS」なりのモダナイズや、日本の「侘び寂び」にも通ずる独自のスタンスの追求へと着地しているという。

スタイリングとビジュアルメイクが個性を形づくる
そんなショップのアイデンティティを確固たるものにしているのが、彼らが最も重きを置く「スタイリングワーク」と「ヴィジュアルメイク」だ。川崎氏は他店との比較ではなく、「自分たちが見ている景色を、自分たちの責任で拡張していく」という強い意識を口にする。ただ服を売るのではなく、視覚的なアプローチと提案を通して、まだ見ぬ新しい景色を切り拓き続けている。こうした真摯で妥協のないクリエイションは、顧客との豊かな関係性を育んでいる。「LITMUS」の顧客は好奇心が旺盛で、自由にファッションを楽しむ層が多い。「私たちを応援してくださる方が多く、それが何よりの糧。同時にお客様から学ぶことも多く、とても恵まれていると感じています」と川崎氏は語る。
ただ洋服を売るだけではなく、ブランドとの「協業の意味」を問い、お客様のパーソナルな揺らぎにまで寄り添う彼ら。なぜLITMUSの提案は、これほどまでに人の心を動かすのか。彼らの言葉から、その奥底にあるブレない哲学に迫った。

媚びない、飾らない。川崎吉朗が語るLITMUS流「服・空間・人」
—ブランドやアイテムをセレクトする際、特に重視しているポイントを教えてください。
川崎:まずは、私たちが日本で運営していること、そしてローカルに属していることを自覚するところから始まります。基本的には、レーベルを運営されている皆様はご自身の売り場を持つべきだと考えています。その上で、「私たちが選ばれ、かつ協業をする意味」について熟慮した結果が、現在のレーベルセレクトに繋がっています。また、“変化”の兆しを常に覗かせてくれるブランドとは共鳴しやすいですね。約3年周期で私たちのセレクトに対するスタンスも変化していきますが、今は社会的要因も大きく影響しており、今後より短い周期でその変化が訪れてもおかしくないと感じています。

— 新しいブランドやアイテムをバイイングする際に、決めているルールはありますか?
川崎:「本音」と「建前」を、しなやかで力強いクリエイティブによってバランスできているレーベルであること。そして、“人間み”を感じる、擬人化されたようなレーベルに惹かれます。また、分かりやすくデザイン盗用をしていないことは非常に重要です。たとえそれが「売れる」と分かりきっていたとしても、受け入れることは難しいと考えています。ちなみに、これまでお取り組みを重ねてきたブランドの中では、<YOHEI OHNO(ヨウヘイ オオノ)>、<AKIKOAOKI(アキコアオキ)>、<FETICO(フェティコ)>には特に思い入れがあります。
YOHEI OHNO 2026SS COLLECTION はこちら
AKIKOAOKI 2026SS COLLECTION はこちら
FETICO 2026SS COLLECTION はこちら
— 「LITMUSらしさ」とはなんだと思いますか?
川崎:私たちらしさについて言葉にするのは少し難しいのですが……。媚びずに自由でいようとする姿勢や、夢中になることを恐れない在り方でしょうか。何をセレクトするか以上に、そういった感覚に共鳴できる方たちはとても素敵だと感じますし、そこに私たちが「必要とされたら」嬉しいなと思っています。
— 逆に「トレンド」についてはどう捉えていますか?
川崎:“トレンド”以上の物や事が、まだまだ日本には訪れていくはずなので、「トレンド」という言葉自体の再定義が必要だと考えています。この数年は、私たちにとってあまり馴染みの無い言葉のようにも感じていますね。
— 新しいブランドやアイテムを紹介する際、どのような接客を心がけていますか?
川崎:“果たしてシェアできるのかどうか”のギリギリのラインを熟慮します。大阪と名古屋という地方で運営をしている特性上、その土地の皆様の気持ちや考えていることを肌で感じながら提案し、それを受け入れていただけた時は本当に嬉しいです。


— お客様との関係性の中で、大切にしていることは何でしょうか?
川崎:私たち自身も、皆さまと同じように様々なコンプレックスや揺らぎを抱えています。だからこそ、フィジカルにお会いして言葉を交わし、しっかりと向き合えることを大切にしています。近況報告のような会話も含めて、その時々の状態や気分を共有しながら、無理のない形でお客様のニーズに応えていきたいですね。同じ時間を過ごす中で、関係性を少しずつ更新していくような感覚を大事にしています。
— 印象に残っているお客様とのエピソードがあれば教えてください。
川崎:本当にたくさんありますが、入社試験用のお洋服をお選びいただいたお客様から、後日「合格しました」とご報告をいただいた時はとても印象に残っています。また、ご購入いただいたアイテムを実際に着用してご来店いただいたり、日常の中で着ているお姿をSNSで拝見できたりするのもすごく嬉しいです。商品としての関係を超えて、その方の時間や生活の中に少しでも関われている実感があり、そういう瞬間にはショップスタッフとしての冥利に尽きるなと思います。
— 店舗の空間づくりやディスプレイにおけるこだわりはありますか?
川崎:なるべくフラットな空間にすることを意識しています。レーベルのアイテムやヴィンテージウェアが持つバラバラなベクトルを、私たちなりの“余白”や“軽やかさ”を以って編集したいと考えています。
— これから「LITMUS」をどのような場所に育てていきたいですか?
川崎:“日本”らしいバランスの中で、カオティックな余白を抱きながら。明朝も夕暮れ時も美しい、名もない見晴らしの良い公園のような、ひっそりとした色気を持つ存在になっていけたらと思っています。


FASHION
LITMUSが東京上陸!ポップアップで見つけた、常識にとらわれない自由なレイヤード | おしゃれ賢者の着こなし術
Apr 03, 2026
LITMUS
大阪・中崎町に店舗を構える「LITMUS(リトマス)」は、エッジの効いた前衛的なセレクトで、多くのファッショニスタから絶大な支持を集める気鋭のレディースセレクトショップ。「衣服を通して自己表現を楽しむ」感度の高い女性へ向け、国内外の実験的で唯一無二なデザインのアイテムを展開。<JUNYA WATANABE>、<noir kei ninomiya>から<MUKCYEN>、<Her Praha>といった挑戦的なクリエイションが光るドメスティックブランドを数多く取り扱っている。日常に刺激を与えるデコラティブなウェアから、凛とした強さを引き出すピースまで、独自の審美眼で構成された圧倒的な世界観が魅力。着る人の新しい魅力を引き出し、大阪のファッションカルチャーを牽引するショップ。
住所:〒530-0015 大阪府大阪市北区中崎西1-1-6 吉村ビル1F
Instagram:@litmuslitmuslitmus
