デヴィッド・テナントが出演する米Huluのドラマ『ライバルズ』が日本でもついにリリースされた。英国作家ジリー・クーパーの1988年の小説をもとにした本作では、1980年代のイギリスのテレビ業界を舞台に、快楽主義の富裕層たちが厚顔無恥な権力争いを繰り広げる。主要キャラクターの一人、メディア王トニー・バディンガム卿に扮するデヴィッドが本作やキャリアについて語った。
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罪悪感が強いからこそ、悪役は「楽しい」
――『ライバルズ』にはセックスシーンが多いですが、不必要な感じはありません。出演前にどんな話し合いがありましたか?
「原作小説でもそうですが、ジリー・クーパーにとってセックスは常にキャラクターを描くためのものなんです。例えば冒頭のセックスシーンは、アレックス・ハッセル演じるルパート・キャンベル=ブラックの自由奔放さや性的魅力、生命力を表しています。彼が華やかな世界の住人であることを示しているんです。対して、僕演じるトニーと妻モニカのセックスシーンは、とても慎重で秘密めいたものです。それが二人の関係性を表しています。一方、ナフェッサ・ウィリアムズ演じるキャメロン・クックのセックスシーンは、もっと攻撃的で本能的です。それが彼らの関係だからです」
「作品中のセックスはすべてそうです。醜いものもありますし、喜びや解放感に満ちたものもあります。実験的なものもあれば優しいものも。これらの人物にとって、性的な関係やそこにある力学が人生の大きな原動力だからです。あらゆるシーンが物語や人物理解を前進させます。そして同時に、スタイリッシュで楽しく、多くの場合ユーモアもあります。そこに弁解の気持ちはありません」
「クーパーが書いているのは人間なんです。人間性や欠点、人間関係、性的なものもそうでないものも含めてのね」

――『ライバルズ』における善悪の基準は独特なので、あなた演じるトニーを悪役とは呼びませんが、あなた自身はこれまで連続殺人犯、サイコパス、悪魔などを演じてきましたね。
「興味深いですね。実際の僕は対立を避けるタイプで、罪悪感も強いし、道徳心が欠如した状態を楽しめる人間ではありません。だからこそ、そういう人物を演じるのは楽しいんです。三つ揃いのオーダーメイドスーツや革靴を身に着けて、“何も気にしない人間”になったらどんな気分だろうと想像するのは、とても面白いですよ」
――「罪悪感が強い」とのことですが、何に罪悪感を感じるんですか?
「あらゆることに対してです。僕はスコットランドの長老派(プロテスタント)の人間なんです。それが僕の原動力ですね。つまり、世の中のあらゆることが、僕に“自分はダメだ”と感じさせるために存在しているようなものなんですよ。これ以上に深い自己分析なんてありません(笑)」
「育った環境もあるでしょうし、生まれ持った性格的な部分もあるのでしょう。僕はよく、“あれで正しかったのか”“もっと適切に振る舞うべきだったのではないか”“もっと人に親切にするべきだったのでは”と気にしてしまうんです」
「ただ、そういう感覚を強く持っているからこそ、トニー・バディンガムのような人物のことが理解できるのかもしれません。彼にはそうした感覚がまったくありませんからね」

――あなたは数々のシェイクスピアの舞台に立っていますが、これまで演じた役の中で最も満足感を得られたのは?
「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでハムレットを演じたのは信じられないような瞬間でした。でも同時に、とてつもなく恐ろしい経験でもありました。最も満足感と誇りを感じる仕事でしたが、同役を演じ続ける日々はかなりのストレスでした」
「公演が続く間は、毎晩こんな気持ちだったんです。“昨夜はなんとか乗り切れた。でも、今度はうまくいかないだろう”って。だから、早く終わってほしいとさえ思っていました。とはいえ、ハムレットという役は思考を大きく広げてくれるんです。素晴らしい役ですよ」
「少し前にはマクべスを演じましたが、あれほど挑戦的で刺激的なものはほかにありません。そうした作品で演じる機会に恵まれたことを本当に幸運だと思っていますし、いつか演じてみたい役もいくつかあります」
――最も演じてみたい役は?
「今なら恐らく『オセロー』のイアーゴですね。あのキャラクターの心理は不気味です。でも、とにかく魅力的な役ですよ」
『ライバルズ』シーズン1~2はDisney+ (ディズニープラス)にて配信中。(海外ドラマNAVI)
