2026年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
タイトルの感触が、ある種の可愛らしさとともに怪しく不気味な雰囲気を醸し出す作品である。陸の孤島、もしくは断絶された世界の果てのような公営住宅で、先の見えない暮らしを送る兄弟がいる。彼らに救いをもたらしてくれた一人の人物。その秘めたる過去が紐解かれる時、両者の関係性は大きく揺らぐことに・・・。根底にあるのは一つの凶悪事件だが、だからと言って本作は残虐な具象を交えることなく、不気味な透明感を保ったまま、心理パズルを周到に積み上げていく。この題材に息苦しさを感じたり、挑発的に受け取る観客もいるはず。しかしそうは言っても、人が存在する以上、何かしらの化学反応が生じるのは避けられないこと。この癒しと呪縛(または絶望)を、本作は一歩一歩、心の奥底へ踏み込むように探究し、切実に問いかける。定刻のバスが発車する。これはありふれた倫理観から解き放たれた、少年の通過儀礼のような成長物語。一見に値する異色作だ。
POCA PON ポカポン
