映画館スタッフの投票によって受賞作品を決定する「映画館大賞」が創設され、社会現象級の大ヒットを記録した『国宝』(上映中)が記念すべき第1回「映画館大賞」を受賞。5月12日に行われた授賞式は同作の李相日監督が出席して喜びを語るなど、大盛況のうちに幕を閉じた。MOVIE WALKER PRESSでは、授賞式のアンバサダーを務めたタレント・映画コメンテーターのLiLiCoと、無類の映画好きとしても知られるBE:FIRSTのLEOを直撃。一緒にアンバサダーを務めあげた感想をはじめ、自分にとっての“忘れられない映画体験”や「映画館大賞」への期待など、笑顔いっぱいに語り合ってもらった。
【写真を見る】アンバサダーを務めたLiLiCoとLEO。お互いへの信頼感が伝わる撮りおろし
■「現場の声が反映される賞が生まれるなんて、すごくステキなこと」(LEO)
「映画館に行こう!」実行委員会が、映画館に年間動員2億人を目指す取り組みの一環として、2025年に「第一回 映画業界若手戦略会議」を実施。同会議で実行アイデアとして選出された企画として、全国の映画館スタッフが「より多くの観客に映画館で観てほしい作品」を投票し、選ばれた作品を映画館で再上映することで、映画館で観ることのすばらしさを改めて感じてもらうことを目指した「映画館大賞」が創設された。
――映画館の“現場発”の熱量を感じられる「映画館大賞」がスタートしました。この取り組みを知った時の第一印象を教えてください。
LEO「僕はBE:FIRSTになる前に映画館でバイトをしていたんですが、劇場をあとにするお客さんの熱量を肌で感じるなかでは、“この映画、こんなにおもしろくて、僕は大好きなのに、なぜお客さんがあまり入っていないんだろう”と不思議に思うこともありました。こういった現場の声が反映される賞が生まれるなんて、すごくステキなことだなと思いましたし、僕としてはとても純粋な賞に感じます」
LiLiCo「“やっとできたな”と思いました。私は映画館によく足を運ぶので、売店やもぎりの方から、『LiLiCoさんが紹介していた映画、すごくお客さん入っていますよ』と声をかけてもらうことも多くて。映画業界の人たちは、“映画館の声をもっと聞かなきゃいけない”というのは日頃から感じていました。私は紹介する側ですが、実際に作品を観せてくれるのは、劇場をお掃除して、オープンして、上映してくれる映画館の皆さん。その現場ともっとコミュニケーションが取れたらいいなと思いますし、こういった賞は続いてくことがなによりも大事。絶対に第2回をやるべきだし、やらないとダメだなと感じています」
――日頃から映画談義をするなど、交流のあるお2人。一緒にアンバサダーを務めることについて喜びを感じましたか?
LiLiCo「LEOくんがやるなら、絶対にやりたい!と思いました。LEOくんがアンバサダーをやることで多くの人にこの賞を知ってもらうこともできるし、実際に多くのニュースで取り上げていただいていることがすごくうれしくて。その反応からも“みんながこういった賞を待っていたんだな”と感じることができました」
LEO「僕はもう、LiLiCoさんが一緒なら大丈夫だ!と安心しました。もし一人だったとしたら、いやいや、僕なんて…と思っていたかもしれません。LiLiCoさんの力をお借りすることで、アンバサダーをやりきることができると思いました」
LiLiCo「LEOくんはマーベル映画が好きなので、会うとマーベルの話をしたり、コミコンを訪れた際に手に入れたレアなTシャツをプレゼントしたりして。もはや母のような気持ちです(笑)」
LEO「いつもすごく貴重なグッズを買ってきてくださるんですよ!僕はコレクション癖があるので、うれしくて仕方がない。映画館に行くと、売店にあるムビチケのコーナーも必ずのぞいちゃうんです。ムビチケって集めるのも楽しかったりしますよね。LiLiCoさんは僕たちの映画も観てくださったり、お会いすると映画のお話がたくさんできて本当に楽しいです」
■「私の人生は映画が教えてくれたことばかり」(LiLiCo)
――ご自身にとって、初めての映画館体験を覚えていますか?
LEO「初めてってなんだったんだろう…。いまパッと思い浮かぶのは、『崖の上のポニョ』や『ROOKIES 卒業』を映画館で観たことです。『ROOKIES 卒業』は、小学生のころに友だちと観に行って。僕は野球をやっていたのでドラマの放送時からずっと『ROOKIES』を観ていたんですが、同世代で野球部にいた人たちはみんな大好きだったんじゃないかな。あの泥臭い野球に憧れて、映画館でも熱い青春を浴びた気がします。映画館に足を踏み入れた時は、ワクワクしましたね」
――小さなころから映画が好きだったのですね。
LEO「僕の父は、『金曜ロードショー』を必ず観ているような人で。テレビで映画が放送されていたら、いつもそこにチャンネルを切り替えるような家だったんです。気づけば、家族でご飯に行った帰りにはレンタルビデオ店に寄ったり、兄が借りてきたビデオを一緒に観たりしていたので、僕にとって映画はとても身近なものだったんですね。映画館にも自然と行くようになりましたが、劇場によってロビーや売店の雰囲気が違ったりすることもとてもおもしろくて。映画だけでなく、その場所自体も楽しんでいました」
LiLiCo「私の初めての映画館体験は、『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』です。描かれているストーリーはよくわからなくても、宇宙に行けちゃった!と衝撃を受けて。そして(ルーク・スカイウォーカー役の)マーク・ハミルにドロッドロに恋をして、“いつか絶対にこの人に会って、好きですって伝えたい!”と思ったんです(笑)。『グリース』のオリビア・ニュートン=ジョンからは“赤いリップじゃないと、女性はモテないんだ!”と教えてもらい、『ステイン・アライブ』ではジョン・トラボルタにどっぷりとハマってしまって。『デスペラード』を観た時には“カッコいい!”とサルマ・ハエックに憧れて、それからずっと彼女をイメージした髪型にしています。ほかにも『エイプリルの七面鳥』からアクセサリーの付け方を学んだり…と私の人生は映画が教えてくれたことばかりです」
――映画館に入る前と後では、自分が変わるような経験をしてきたのですね。
LiLiCo「小さなころにずっと弟の面倒を見ていた私にとって、映画館は現実逃避のできる場所でもありました。誰かをいじめたり、ひどいことをするシーンがあれば、“こういうことはやっちゃいけない”と反面教師になってくれて、“人に優しくしよう”ということを教えてくれたのも映画だし、本当にたくさんの刺激と学びをもらいました。そういえば以前、夫と話していておもしろいことがあって。私、ピアニストのフジコ・ヘミングさんが大好きで。彼女のドキュメンタリー映画を観て家に帰って、『今日はすごく気分がいいの』と夫に話していたら、『前のドキュメンタリーもよかったもんね』という答えが返ってきて!『スター・ウォーズ』しか観ないような夫が、“フジコ・ヘミングさんのドキュメンタリーを観た”というので驚いたんですが、そうしたら『フジコ・ヘミングさんもスウェーデンのハーフで、LiLiCoに似ているところがあるから観たんだ』って言うんです。夫の意外な一面も、映画が教えてくれました」
――なんてステキなお話…!
LiLiCo「観て終わりではなく、そのあとにも映画を通して話ができたり、発見があったりと、いろいろな余韻があるのもいいですよね。私は映画には、誰かの人生や考え方を変えてしまうくらいの力があると感じていて。いまは映画館が仕事の場所にもなりましたが、それでも私は、映画を観て様々な想いや衝撃を持ち帰る人たちのそばにいたいと思っています。よく“なぜいつもそんなに明るいの?”と言っていただくんですが、それはいっぱい映画を観ているから。映画がいつも、私に元気をくれるんです」
■「映画館で観たあのセリフを、いまだに思い返すことがあります」(LEO)
――LEOさんにとって、忘れられない映画館体験はありますか?
LEO「ロバート・レッドフォードの俳優引退作とされた『さらば愛しきアウトロー』を観た時のことは、忘れられません。まだBE:FIRSTになる前のことですが、日比谷にその映画を観に行って。『子どものころの僕がいまの自分を見て、誇りに思うかどうか』というセリフに、“そうあれる自分でいよう”とものすごく感銘を受けました。BE:FIRSTとして音楽をやっていくなかでも、いまだにそのセリフを思い返すことがあります。『Mainstream』という曲を出す前、“自分たちがいまやりたいことってなんだろう”とすごく考えていて。メンバーを集めて、『いま、みんなと同じ方向を向けているかと怖くなる時がある』と想いを打ち明けたことがありました。“僕は仲間にちゃんと言いたいことを伝えられているのだろうか”、“このままではダメなんじゃないか”という直感があり、そういうのは自分らしくないと思ったんです。
だからこそ自分の弱いところも全部さらけだして、『みんなはいま、どう思っているのか。それを教えてほしい』と口にしました。そこで“僕はこう思っている”、“こうやって進んでいきたい”とみんなが自分の想いを明かしながらたくさん討論をして、“ちゃんと同じ方向を向けている”と確かめ合うことができた。そうやって生まれたのが、『Mainstream』です。いまはインターネットも普及していて、いろいろな場所で様々な意見があがることもあります。もちろん苦しいことだってあるし、心の状態を整えなければいけないことだってある。そんな時に僕は、過去の自分がいまの僕を見たら、“夢を叶えている”と思ってくれるだろうなと、昔の自分から力をもらったりしています。いつでもあのセリフが、自分であることの大切さを教えてくれるようなところがある。僕にとって映画は、先生のようなものでもあるなと思います」
■「映画館で知らない人と一緒に笑ったり泣いたりする時間って、本当にすばらしいもの」(LiLiCo)
――LEOさんの人生にとっても、映画は欠かせないものですね。そんななか、“映画館で観る”ことならではのよさについてどのように感じていますか。
LiLiCo「やっぱり映画は映画館で観るために作られているものなので、臨場感がまったく違います。家だったら2つのスピーカーで聴くようなところ、いまの映画館はスクリーン全体がスピーカーですから!さらに知らない人と一緒に笑ったり泣いたりする時間って、本当にすばらしいものだと思うんです。自分ではあまり気にしていなかったところで笑い声が起きたり、シリーズものならばファンと一緒に観るとまた特別な盛り上がりがあったり。私は、いまの2000円の映画料金は安いと思っています。だって2000円で、人生が変わる可能性があるんですから」
LEO「LiLiCoさんがおっしゃるように、僕も映画は映画館で観るために作られていると感じています。僕自身、音楽をやっているうえでも、ライブ会場での体験ってやっぱり特別なものだと思うんです。もちろんその先に、映像としてまた新たな楽しみ方をしてほしいという想いはあるんですが、ライブでは目の前にいる人のことを考えてパフォーマンスをしているので、そこには特別な熱がある。映画を作っている方たちも、映画館で観てほしくて作品をつくっていると思いますし、作り手の方が込めた想いのすべてを受け止められるのは、やっぱり映画館しかないと感じています」
■「みんなで一緒に“えー!”と驚いたり、笑ったりすることに意味がある映画こそ、映画館で観る価値がある」(LiLiCo)
――お2人の熱いお話を伺っていても、映画館に行きたくなってきます。「今年、絶対に映画館で観たい!」と思っている映画を教えてください。
LiLiCo「『温泉シャーク2九州大決戦』です(笑)。前作の公開時、手作り感のある映画がバズって、あれだけのヒットをした作品。“無理しなくてもいいのに!”と思うようなところ、『2』まで作っちゃった(笑)!みんなで一緒に“えー!”と驚いたり、笑ったりすることに意味がある映画で、ああいうおバカな映画こそ、ちゃんと映画館で観るべきだなと。映画館で観る意味のある、映画です。今回も、とんでもないことになるらしいですよ」
LEO「LiLiCoさんも出ていますもんね!」
LiLiCo「私は、自分が出演する場面の台本しかもらっていなくて。だからなにが起きるのか、知らないの。でも現場にとんでもない格好のサメがいたので、暴れまくるんでしょうね(笑)」
LEO「僕は『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』を、ものすごく楽しみにしています!『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年公開ですから、まだ僕はデビュー前だったんですね。最速上映を新宿に観に行って、観終わったあとのワクワク感が抑えられずに、とりあえず家のほうに向かって歩きだしたことを覚えています。僕、映画を観た興奮や衝撃を抑えられなくて、家まで歩いて帰っちゃうことってよくあるんですよ。映画のなかのセリフや、自分に沸き起こった感情をちゃんと心に残しておこうと思って、携帯を機内モードにして歩いたりします。『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』で、またあの時のような感覚を味わいたいです」
――ヒーロー映画はやっぱり、勇気をくれるものですね。
LEO「『アベンジャーズ』のサントラで、ヒーローたちがアッセンブルする時の曲があるじゃないですか。僕、オーディションの前にはあの曲をかけて気持ちを高めていました。ヒーローが集結する瞬間を想像して、自分も一歩踏み出すような感じ。当時、JR山手線に乗っていて、通っていたスタジオの最寄駅に着いてドアが開いた瞬間に、あの曲が流れた時があって!“今日の俺は最強だ”と、勇気をもらった日がありました」
■「映画館で働く方々を応援するお仕事ができていることがとても幸せです」(LEO)
――映画談義の止まらないお2人。映画館大賞のアンバサダーとして、ぴったりの存在だと感じました。
LEO「僕は映画館で働いていたので、やっぱり映画館の現場の方々の気持ちがわかるところもあって。映画館スタッフの方々の生の声を聞いていると、“売店にズラーッとお客さんが並んで、次の映画が始まるまでになんとか間に合わせなければいけない“、“列に並んでいるあの子は、きっと『コナン』を観に来ている。時間までにちゃんと劇場に入ってもらわなきゃ!”とチームワークで乗り切っていた日々を思い出しました。そんな僕が、いま映画館で働く方々を応援するお仕事ができていることがとても幸せです」
LiLiCo「当時一緒にバイトしていた人とは、会ったりするの?」
LEO「いまでも会っています!映画館は、いい仲間ができた場所でもあります」
LiLiCo「私も映画館でバイトしたくなった!」
LEO「僕もいまだに、映画館でバイトしたいと思っています」
LiLiCo「それぞれの場所、それぞれの方法で支えてくれている人たちの仕事を知るって、とても大事なことなんだよね。やっぱりもっと、映画館の現場の声を聞きたいよね。そして第1回映画館大賞は、掘り出しもの部門でも“2館以上100館未満の規模で上映された実写作品”という決まりがあったので、今度は“1館で上映された作品”を対象にした部門もあるといいなと思いました。あと“舞台挨拶で盛り上がった映画部門”、“応援上映のファンが熱かった部門”など、また映画館ならではの部門が生まれたらおもしろいかもしれないですね」
LEO「そうやって部門が増えていったら、さらに注目度も上がりそうですよね。純粋な熱が反映されて、これからもっともっと“この賞は信じられる”と感じてもらえるような賞になっていったらうれしいと思っています」
取材・文/成田おり枝
