Amazon Prime Videoのメガヒットドラマ『ザ・ボーイズ』でホームランダーを怪演するアントニー・スター。大衆の前では完璧な英雄、裏では冷酷な怪物という究極の偽善者を演じ、世界中を恐怖と興奮に陥れている。しかし、彼が持つ底知れない演技力は、一朝一夕で培われたものではない。その原点には、2013年から2016年にかけて放送された隠れた傑作クライムスリラー『Banshee/バンシー』の存在がある。
『ザ・ボーイズ』ホームランダー役アントニー・スター、作品に別れを告げる
Amazonの大ヒットドラマ『ザ・ボーイズ』の最終章となるシ …
正義を偽る泥棒、ルーカス・フッドの戦い
米Cinemaxのドラマシリーズ『Banshee/バンシー』で主人公ルーカス・フッド役を演じたアントニー・スター。
刑務所を出たばかりの天才泥棒であるルーカスは、ペンシルベニア州の田舎町バンシーで、偶然死んだ新任保安官の身元を乗っ取る。彼は偽の保安官として新たな犯罪生活を送りつつ、過去の因縁に決着をつけていく。全4シーズンにわたるこの奇想天外な偽装劇は、当初こそ賛否両論のレビューもあったが、徐々にカルト的な人気を獲得。映画批評サイトRotten Tomatoesで平均90パーセントの好評価、IMDbでは8.4という高いユーザースコアを叩き出すに至った。批評家や視聴者は、予測不可能なプロットやダークな心理テーマ、そして何よりもアントニーが見せた道徳的曖昧さと肉体的な卓越性を絶賛した。
ホームランダーの狂気を支える「偽装」の技術
『ザ・ボーイズ』のホームランダーと『Banshee/バンシー』のルーカス。一見すると対極にあるような二つのキャラクターだが、実はどちらも極限の緊張感の中で「他人に成りすます男」を演じているという共通点がある。
ホームランダーが「悪人が完璧な善人を演じる」歪んだ偽善であるのに対し、ルーカスは「根は悪人ではない泥棒が、状況に追い詰められて本物の正義の味方である保安官を演じ続ける」という、逆の構造を持った偽装劇だ。アントニーが得意とする「目が笑っていない微笑み」や、微細な表情の変化といった演技の土台は、この4シーズンにわたる偽保安官生活の中で完全に完成された。アントニーはルーカス役において、より繊細で複雑なキャラクターの葛藤を見事に体現し、自身の正義の意図にもかかわらず善と悪の間で揺れ動く人間味を披露していた。
「今はもうできない」命を削る残酷アクションと、2026年の再評価
本作のもう一つの見どころが、テレビドラマの常識を覆すほどの容赦ないバイオレンス描写だ。アントニーは2025年のインタビューで当時を振り返り、次のように語っている。
「『ザ・ボーイズ』が一定の成功を収めて以来、多くの人々がそこでの僕の取り組みに注目し、そのまま『Banshee』へと渡っていった。人気が少し再燃したことは嬉しかったけど、実のところ、あの作品のアクションシーンは本当に残酷で、今はできないと思う。間違いなく『ザ・ボーイズ』のような作品に向けた非常に良い準備になったんだ」
毎話のように泥まみれ、血まみれになりながら骨のきしむような肉弾戦を繰り広げた経験が、後にホームランダーとして世界の頂点に立つための強靭な体躯と、スクリーンを圧倒する物理的な説得力を彼に与えたことは間違いない。
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参考元:TV Line
