『爆弾』(25)の怪演で第49回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞や第50回報知映画賞助演男優賞など、国内の映画賞を席巻した佐藤二朗。彼が数奇な運命を背負った“名前のない怪物”を演じる映画『名無し』の公開を記念し、佐藤自らが原作を手掛けた漫画版「名無し」をおトクに楽しめるキャンペーンが実施中だ。

    青春映画からサイコミステリーまで、幅広いジャンルの作品を100本以上世に送りだしてきた“映画職人”城定秀夫監督がメガホンをとった本作は、佐藤演じる右手で触れたものすべてを消し去る力を備えた“名無し”の希望と絶望、そして狂気を描いたサイコバイオレンスだ。共演には、SUPER EIGHTの丸山隆平や、近年はプロデューサーとしても活躍するMEGUMI、駆け出し時代に演劇界で佐藤と切磋琢磨した佐々木蔵之介らが名を連ねている。

    白昼のファミリーレストランで起きた、残忍な無差別大量殺人事件。警察が入手した防犯カメラ映像に残されていたのは、容疑者らしき中年男の姿。しかし、どんなに目を凝らしても凶器を握っているはずの右手のなかには何も見えなかった。世にも奇妙な“凶器なき犯行”に捜査が難航するなか、男の正体が11年前に万引きで事情聴取を受け、“山田太郎”と名乗った人物と判明。やがて山田の過去と、目に見えない力の秘密に隠された恐るべき真実が明らかにされていく。

    映画脚本から漫画、そして映画へ…『名無し』が辿った数奇な運命佐藤二朗が自ら原作・脚本・主演を務めた『名無し』佐藤二朗が自ら原作・脚本・主演を務めた『名無し』[c]佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ [c]2026 映画「名無し」製作委員会

    もともとは佐藤自らが主演兼監督を務めるつもりで脚本を執筆したことからスタートした本作の企画。しかし、「いまの日本の映画界の現状では、オリジナルの物語は難しい。親身に相談に乗ってくれた何人かのプロデューサーにそう言われたんです」と佐藤が振り返るように、その道のりは想像以上に険しいものだったようだ。

    過激なテーマと特殊な世界観ゆえに一時はお蔵入りになりかけた脚本は、その後、縁あってウェブコミック編集者の目に留まり、映画ではなく漫画として日の目を見ることとなる。「園田の歌」や「DELETE」などで知られる永田諒が作画を担当し、ウェブコミック配信サイト「HERO’S Web」で2024年10月に連載がスタート。俳優である佐藤が初めて原作を務めた作品ということで話題を集め、ようやく映画化への道が開かれる。

    “名無し”の少年時代のエピソードなど、漫画版ではさらに深掘りされている“名無し”の少年時代のエピソードなど、漫画版ではさらに深掘りされている[c]佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ [c]2026 映画「名無し」製作委員会

    「最初の脚本は、より漫画に近いものでした」と、映画化にあたって佐藤の脚本をブラッシュアップした城定監督は明かす。「山田太郎の過去や照夫とのエピソードなど、感動的な要素が多かったのですが、(映画版では)事実をもう少しフラットな目線で見つめ、彼にどんな過去があっても同情する必要はないという視点を入れた方がいいと思い、そこを軸にしていきました」。

    その言葉からもわかるように、漫画版と映画版では物語の展開自体に大きな差はないながらも、“見せ方”に決定的な違いがある。映画版では描ききれなかった山田太郎の内面や、より濃密なドラマ性、そして“凶器”の演出など、佐藤が最初に構想したオリジナルにもっとも近い状態に触れられることこそ、漫画版「名無し」の最大の見どころといえるだろう。

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