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    会うべくして会えたソウルメイトだと思う(磯村)

    ― 本作のお話を受けたとき、脚本のどこに惹かれましたか?

    磯村勇斗(以下、磯村):余白で伝えている部分です。僕は登場人物の中に流れている時間や感情を脚本に落とし込んでいる作品が好きなので。そして琉という人物は、自分がこれまで演じてきた役の中でも新しいキャラクターで、彼の10年もの長い時間を描くということにワクワクしました。

    オク・テギョン(以下、テギョン):キャラクターと彼らが持つストーリーに多様性があるなということがファーストインプレッションでした。恋人同士の愛、家族愛、友情愛などさまざまな愛を、いろんなかたちで表現しています。また、キャラクターを描く際にも断片的な切り取り方をすることなく、本来隠されているはずの人間の内面性を美しく描いているなと感じました。

    ― 10年間という長い時間を演じるうえで意識したことは何でしょう?

    磯村:琉とヨハンはベルリンで初めて出会い、最後にまたベルリンで再会しますが、どれだけ時間が経っても僕らの中で流れている魂の愛はずっと変わらない。その気持ちだけは大事にしながら、10年間を表現していきたいと思いました。

    テギョン:そうですね。出会ったときから最後までソウルメイトだと思っていたので、10年間で琉に対する気持ちの変化自体はほとんどなかったと思います。監督からは、ヨハンの日本語がだんだん上達していく様を見せたいので、最初はもっと下手にしてほしいと指示をいただいたので、その変化は意識しました。

    ― 共演を通じてお互いにどんな人間性を感じ、どんな刺激を受けましたか?

    磯村:テギョンさんは本当にポジティブな方です。現場でも常に明るく振る舞っていて、それがヨハンと重なる。ヨハンの大胆さや豪快さは、もともとテギョンさんが持っているものがそのまま影響している気がしました。

    僕はテギョンさんが支えてくれたからメンタルが保てたところもあります。自分が暗くなっても隣で明るくいてくれて、お互いにないものを補い合ってこられたので、本当に会うべくして会えたソウルメイトなんだろうなと思っています。

    お芝居も本当に切り替え能力が高く、どんなに感情的なシーンでもスッと入れる。僕はこの作品でずっと迷っていたので、テギョンさんのズバッと切り込んでいく姿はかっこいいなと思いながら見ていました。

    テギョン:磯村さんと共演して感じたことは、すごく繊細なお芝居をするということと、性格がすごく落ち着いているということ。そこからかなり刺激を受けました。というのも私は現場は明るくあるべきだと思って、盛り上げようとするんですが、そのせいでときに散漫になってしまうときもあって。磯村さんの姿を見て、シリアスなシーンでは自分も集中しようと顧みることができましたし、自分の内面のお芝居に集中するきっかけをいただいたような気がしています。

    また先ほどヨハンにすぐスイッチを切り替えられるとおっしゃってくださいましたが、それも磯村さんがすべて受け入れてくれるという安心感があったからできたことだと思っています。

     

    人生の岐路では直感に従う(磯村)

    ― それぞれの役に共感できた部分と、共感できない部分を教えてください。

    磯村:共感できないのは、逃げるという部分でしょうか。僕自身、背中を見せたくないと思って前に進んできましたし、逃げずに立ち向かうような役がほとんどだったので。だからこそ琉に魅力を感じたのかもしれません。

    琉の逃げる弱さは、ある意味で強さだとも思っていて。共感はできないのですが、彼の良さとして理解はできると感じています。

    テギョン:ヨハンは人生が辛すぎるんですよね。本当に頼れる人、心の拠り所にできる人がいない状況が、自分には想像もできない。もし自分が彼の状況に置かれたらどうなるのか、本当に考えられない。そこも含めて、逃げるところが共感できないなとは思います。

    ― 琉もヨハンも一度は自分の状況に背を向けながらも、再びそれぞれの人生に誇りを持って向き合っていく過程が描かれていました。おふたり自身が生きていくうえで携えている誇りや信念について教えていただきたいです。

    磯村:僕は自分の直感を大事にしています。人生の岐路で、道を選ばなければいけないとき、最終的には直感に従っています。言葉でうまく説明できないのですが、直感で選んだ先はもう運命で決まっているような気がしていて。それは神様からのお告げのようなもので、今の自分に足りないものを補えるよ、学べるよというメッセージかもしれません。あまり楽な道を選ばず、茨の道を選ぶことが自分のモットーです。

    ― 直感であっても、大体険しい道を選ぶことが多い?

    磯村:自分でも、なぜそんなに大変な道を行くのだろうと思うときがあります(笑)。たぶんそっちが好きなんでしょうね。

    テギョン:私は、後悔のない人生を送ることが一番大切だと思っています。中学校や高校のときに片思いしていた女の子がいるんですけど、告白できなかったことをすごく後悔して、眠れない日がありました。そういう経験を経て、今は毎日寝る前にモヤモヤを残さないようにしようと意識しています。仕事でも人間関係でも、とにかく後悔しない選択をすることがモットーです。

    ― それもまた困難な道ですよね。

    テギョン:そんなことはないですよ。自分の心が赴くままというか、自分の心が一番コンフォータブルな選択をするだけなので。

    ― 琉とヨハンは国境も立場も異なり、相入れない状況からソウルメイトとして分かり合っていきます。希望を感じられる作品でしたが、実際の世の中で人と人が理解し合うためには何が必要か、おふたりの立場から今思うことはありますか?

    テギョン:それは共感ではないでしょうか。国が同じであろうと、立場が同じであろうと、結局は別の人間ですし、価値観も考えも違ってくる。だからこそ相手を理解しようとすること、配慮をすることから生まれる共感がすごく重要なポイントなんじゃないかと思っています。

    磯村:僕もテギョンさんがおっしゃるとおりだと思っているのですが、極端なことを言いますといまだに戦争が起きてしまっているということは、恐らくこの先も難しいんですよね。そして理解し合うことは難しくても、だからこそ生まれる文化もあるので、それはそれでいいとも思うんです。ですが理解できないからと、武器や暴力に頼ることだけは絶対的に反対という立場です。

    ― ではご自身が他者と向き合う際に意識していることはありますか?

    磯村:自分は価値観や意見が違う相手のことも、理解しようとトライします。ですが相手がそう思わない限り分かり合うことは難しいので、そういう場合は引いちゃいます。

    だからといって腹が立つ、嫌いになるということはなく、そういう違いを持っている人なんだと思うだけです。みんながそう思ってくれたら平和なのですが。

     

    今まで演じてきた作品の中で最も詩的で美しい物語(テギョン)

    ― 完成した作品をご覧になった感想をお聞かせください。

    磯村:一瞬一瞬の画を美しく切り取ってくださっていたんだなと感じました。家族はこうあるべきだなど、自分たちの中に固定されたものはあるけれども、この作品はそうではなく、いろんなかたちがあっていいと背中を押してくれる。暖かい気持ちになれるドラマだと思いました。観ていると、自分のソウルメイトは誰だろうと皆さん考えてしまうと思いますし、僕もやはり探しました。

    ― 見つかりましたか?

    磯村:テギョンさんです(笑)。

    ― テギョンさんはいかがでしょう?

    テギョン:僕が今まで演じてきた作品の中で最も詩的で美しい物語だと感じました。韓国とは異なる技法でもいろんな撮影が行われ、現場にいるときと完成した作品で印象が違ったところも面白かったです。

    ― 本作を経て、どんなものが得られましたか?

    磯村:韓国の現場では、ファンの方や先輩の方々がカフェトラックやフードトラックを入れてくださるんです。今回もテギョンさん宛に入り、うわぁすごいな、豪華だなって。それが韓国での撮影中ずっと続き、ベルリンに行ったらまた毎日フードトラックが2台来て、みんなで一緒にご飯を食べるんです。日本はお弁当文化ということもありますが、食事に関しての価値観や捉え方がかなり違いますし、正直日本は遅れているんだろうなと感じました。

    僕はこの作品をきっかけに、 “磯ワゴン”という名前で自分のカフェワゴンをときどき出すようになりました。

    テギョン:マジで?

    磯村:コーヒーマシンを置いたり、いろんな食べ物などを出していました。

    テギョン:すごい。たしかに、食文化の違いは肌で感じましたね。個人的には、韓国、日本問わず今まで演じてきた役とは全く異なる詩的な作品に携われたことにすごく感謝しています。こんなに素晴らしい役者とスタッフの皆さんと出会えたこと、そして撮影から長い時間が経っても良い関係が続いていること自体が、本作で得られた一番大きなものだと思っています。

     

    Profile _

    磯村勇斗(いそむら・はやと)
    1992年9月11日生まれ。静岡県出身。20214年俳優デビュー。テレビドラマ「仮面ライダーゴースト」(15-16/EX)で頭角を現し、その後、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)でヒロインの夫役を演じて脚光を浴びる。映画『ヤクザと家族 The Family』、『劇場版きのう何食べた?』で第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、映画「月」で第47回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞、さらに、第97回キネマ旬報ベスト・テンで助演男優賞、2024年エランドール賞を受賞。近年ドラマは「今際の国のアリス シーズン2&3」(Netflix)、「不適切にもほどがある!」(TBS)、「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS)、「僕達はまだその星の校則を知らない」(CX系)など。主演映画「mentor」が2026年10月16日公開。
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    オク・テギョン(OK TAECYEON)
    1988年12月27日生まれ。韓国出身。2008年、2PMのメンバーとしてデビュー。近年は俳優としても活動の幅を広げ、国内外で活躍。ドラマ「キスして幽霊!」(16/tvN)、「ザ・ゲーム〜午前0時:愛の鎮魂歌〜」(20/MBC)などで着実にキャリアを重ね、「ヴィンチェンツォ」(21/tvN)での演技が日本でも話題となる。その後「ブラインド」(22/tvN)、「ハートビート」(23/KBS)、「主役の初夜、私が奪っちゃいました」(25/KBS)などに出演し、ジャンルを問わず存在感を発揮。確かな演技力が評価され、KBS演技大賞優秀演技賞を受賞するなど俳優としての地位を確立。映画では『時間回廊の殺人』(17)、『ハンサン ―龍の出現―』(22)、そして『グランメゾン・パリ』(24)で日本作品への出演も果たし、俳優としてグローバルに活動の場を広げている。
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    Information

    Netflixシリーズ「ソウルメイト」

    独占配信中

    出演:磯村勇斗、オク・テギョン、橋本愛、水上恒司、古舘佑太郎、イ・ジェイ、加藤千尋、安田顕、南果歩、三浦友和
    脚本・監督:橋爪駿輝
    主題歌:「Our Heart」STUTS & butaji Our Hearts (ft アイナ・ジ・エンド)

    視聴はこちら

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