2026年は、エリザベス2世の生誕100周年にあたる。1952年に即位したエリザベス女王は、2022年9月に崩御するまでの70年間、激変する文化、政治、社会を目の当たりにしながら、英国史上最も長く君主を務めた。

    そして、第二次世界大戦中に成人した若き王女のファッションは、国家の状況を反映していることが多かった。ノーマン・ハートネル(NORMAN HARTNELL)が手がけた彼女のウエディングドレスに使われたダッチェスサテンの生地は、当時の多くの花嫁たちがそうしたように、衣類用の配給券を貯めて購入したという有名な逸話も残っている。献身的に公務にあたった生涯を通し、エリザベス女王は外交の席での色選びから、身に着けるジュエリーの歴史的な背景まで配慮し、ファッションを通じてさりげなくメッセージを発信し続けた。

    黒いロウナー(LAUNER)のハンドバック、上品なパンプス、そして王室に受け継がれるブローチのコレクションなどの定番アイテムは、即位から70年間にわたって常に女王の装いの土台であり続け、数え切れないほどの視察や国賓訪問、世界各国のリーダーたちの会合の場において披露されてきた。また、彼女が好んでかぶり、現在ではキャサリン妃のスタイルにも受け継がれている鮮やかな色合いや個性的なハットは、エリザベス女王を世界でも有数のアイコニックな存在たらしめた。

    即位当初のスタイルは、ハートネルやハーディ・エイミス(HARDY AMIES)などの王室御用達のクチュリエが手がけた衣装に特徴づけられていたが、後年ではエリザベス女王のシニア・ドレッサー(衣装係)であり、親しい相談相手でもあったアンジェラ・ケリーが、即位60周年のダイヤモンド・ジュビリーや相次いだロイヤルウエディング、さらにはコロナ禍のZoom上での公務に至るまで、主要な行事における女王のファッションを統括してきた。

    国民のために生涯を捧げたエリザベス女王。彼女は最後まで、おしゃれにも余念がなかった。

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