エリザベス・ハーレイを一夜にしてスターへと押し上げたレッドカーペットはロンドンにあった──彼女は当時の恋人ヒュー・グラントと『フォー・ウェディング』(1994)のプレミアに出席する際、大きな安全ピンがあしらわれたヴェルサーチェ(VERSACE)のリトル・ブラック・ドレスを纏い、強烈な印象を残したことで知られている。だが、彼女はその後ほどなくして、それに匹敵するグラマラスな装いを披露する。1997年、ハーレイはグラントの腕に寄り添ってカンヌのレッドカーペットに登場し、レオパード柄のドレスで会場を魅了した。そのストラップレスのドレスはしなやかに身体に沿い、ネイキッドドレスが流行する何十年も前にして、ほぼ完全にシアーな一着だった。

    カンヌは、そうした装いを披露するのにこれ以上ない舞台だった。ミニマルなスタイルを好むスターでさえ、世界屈指の華やかさを誇るカンヌ国際映画祭では、ボリュームを一段引き上げる傾向にある。ジョディ・ターナー=スミスが着用したグッチ(GUCCI)のイエローフェザーのドレスに象徴される豪奢なトレーンや、リアーナが身につけたショパール(CHOPARD)の最高峰のダイヤモンド、あるいはベラ・ハディッドが纏ったトム・フォード期グッチの極めて希少なアーカイブピースなどが、次々と登場する。

    もちろん、2025年のレッドカーペットは過去とはやや様相が異なっていた。というのも、開幕前夜にドレスコードへ新たな但し書きが加わったからだ。現在ウェブサイトには「体面上、露出の多い服はレッドカーペット、および映画祭の他エリアでも禁止」と記されており、「ボリュームのある衣装、特に大きなトレーンのある衣装は、ゲストの動線を妨げ、劇場内での着席に支障をきたすため、着用不可」とある。とはいえ、アレクサンダー・スカルスガルドが思いとどまることはなかった。彼はBDSM的要素を含む出演作『Pillion』(2025)のプロモーションのため、サンローラン(SAINT LAURENT)のサイハイブーツ姿でレッドカーペットに登場し、この2つの規定を同時に破ってみせた──それは確かに“不適切”で、動線を妨げるには十分な装いだった。

    今年、スターたちがどれだけ厳格にルールを守り続けるかはさておき(かつての“ヒール着用義務”規定をめぐっては反発も起きた)、この時期の業界の視線は、やはりスターたちの装いに集まる。5月12日(現地時間)に開幕したカンヌ国際映画祭に合わせて、歴代のレッドカーペットルックを写真で振り返る。

    Share.

    Comments are closed.